ランド円レポート月曜版
今週は格付け引き下げがありましたので、予定を変更してランド円とさせていただきます。
まず、先週の振り返りですが、下値を探る展開が続きやすいと見て「5.80レベルをサポートに6.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が6.09レベル、高値が6.48レベルと、ムーディーズの格付け見直しを前に思いのほか安定した値動きを続けた一週間となりました。
先週のランドは、南アフリカでも新型コロナウイルスの感染者急拡大が続いていることから、ラマポーザ大統領が現地時間月曜夜に演説を行い、26日から3週間の外出禁止令を出しました。この演説後の市場の反応は思った以上に少なく、逆に25日まではランドは対ドル、対円で緩やかに上昇するといった状態でした。既に非常事態宣言が出た時点で織り込んでいたということもあるのでしょうが、反応薄は意外なほどで週末のムーディーズ発表に注目が集まり、週を通してみるとわずかに前週安値を下回っての引けとなりました。
先週は個人的な見解として「現状維持になるのではないか・・ここで格付けを引き下げジャンクとなると南アフリカからの資金流出は当然・・他の新興国にも波及し信用収縮をさらに悪化させる」といったことを書きました。市場参加者の予想はロックダウンの中で先送りになるといった予想や、予定通り格付けが引き下げられるといった予想など意見が分かれていました。そして、金曜のNYが引けてから発表が行われました。
結果は、格付けが「Baa3からBa1へと引き下げ」となり、投資不適格のジャンクとなりました。また見通しも「ネガティブ」のままとなり、これらの見直しの理由についてムーディーズは「新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞し、景気減速が見込まれるため」としましたが、それはそうだろうというところです。見方によっては大手格付け会社の中でムーディーズだけが投資適格としていた南アフリカに対して本来あるべき格付けにしたというところでしょうか。
実際に格付けが引き下げられジャンクとなったことで、週明けのランド相場はギャップを空けての下げで始まり、ランドの安値は対ドルで18.073、対円で5.95とどちらも史上最安値を更新しています。先週末の水準と比べ対ドルで0.462(2.6%)、対円で15銭(2.5%)の動きと考えると、比較的落ち着いた下げに留まっていると見ることもできます。おそらく格付けの見直しがあるならば下げられることをそれなりに織り込んでいたということだと考えられます。
ただ、そうは言ってもジャンク債になることで、これまで投資対象にしていたファンドから外されることとなり、ランドが現在の水準で留まるとはとても考えられません。南アフリカが格付けを引き下げられた際の流出額はあくまでも想定となりますが、こちらのレポートでも2017年11月に推定をしていますので、同記事から一部を抜粋します。
この最後の部分が要注意で、今回のムーディーズの格付け引き下げによって双方ジャンクとなり、このインデックスからは外れることとなるはずです。2017年当時に外れる場合のインパクトは100億ドル以上の資金流出につながると書いています。その後南アフリカからは着実の資金が流出していたため、当時ほどのインパクトではないものの、引き続きランド売りにさらされることとなるのは明らかです。
既に史上最安値にありますので、月足チャートからフィボナッチ・エクスパンションを計算します。
ランド/円月足
2018年高値を起点に2019年安値までの下げ、その後2019年末高値を3点とした逆N波動を見ると、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが5.86で、かつ下降チャンネルの下限と一致していることとなります。おそらくは、金融市場全体の動きを見ながらいったんは様子見となる可能性もありますが、最終的には100%エクスパンションの5.32を目指す可能性は考えておいた方がよさそうです。
こうしたことを前提にしつついつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
前述の5.86に黒い水平線を引いてありますが、目の前の水準と言ってよく、いつ割り込んでもおかしくはありません。いっぽう上値はここ数週間の安値圏と重なる6.20が限界的な水準になってくると見ています。今週も下値を探る展開が続きやすいと見て、5.80レベルをサポートに6.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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