ムーディーズによる格下げを受けてWGBIからの除外が決定。ランド続落に注意
今週のレビュー(3/23−3/27)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.31円で寄り付いた後、@米FRB(連邦準備理事会)による無制限量的緩和の発表(量的緩和拡大→米主要株価指数反発→リスクオンのクロス円買い→新興国通貨買い)や、A米与野党による総額2兆ドル規模の大型経済対策の発表(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→新興国通貨買い)、B上記@Aを受けた投資家心理の改善(リスクアセットの買い戻し→新興国通貨買い)を背景に、週央にかけて、高値6.48円まで上昇しました。
しかし、C新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的としたロックダウン(3/26から4/16まで)の発動や、D南アフリカで初となる新型コロナウィルスに伴う死者の確認、E南アフリカ国債利回りの上昇に伴う財政圧迫懸念、F小池都知事による外出自粛発言を受けた本邦における先行き不透明感の高まり(円高圧力)が重石となると、週末にかけて、週間安値6.11円まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局6.12円での越週となっております。尚、米国時間引け後に格付け会社ムーディーズは南アフリカ国債の格下げを発表しました(Baa3からBa1)。これを受けて、同国債券はジャンク級となり、WGBI(World Government bond Index=世界国債インデックス)から除外されることとなります。
来週の見通し(3/30−4/3)
南アフリカランド円相場は、2/21に記録した高値7.48円をトップに反落に転じると、3/9には史上最安値となる6.02円まで急落しました(その後一時的に持ち直すも、今週末にかけて再び反落)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状が続いております(史上最安値6.02円割れが射程圏内に)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFやムーディーズは南アフリカ経済見通しを大幅下方修正。また新型コロナウィルスに端を発した中国経済の減速懸念も対中依存度の高い南アフリカに強い下押し圧力を加える恐れあり)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速→GDPの更なる悪化懸念)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、Cムーディーズによる格下げ決定を受けたWGBIからの除外(南アフリカ債券市場からの資金流出リスク)、D中東を巡る地政学的リスク、E南アフリカ国内におけるロックアップ発動や感染者数の拡大リスク、F南アフリカ国債利回りの上昇に伴う財政赤字拡大懸念など、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウィルスの感染拡大や、ムーディーズによる格下げ決定を受けた株安・通貨安・債券安のトリプル安の流れは続くと見られ、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(年初来安値6.02円を下抜け、初の5円台へ突入する展開を想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):5.80ー6.40
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