トルコリラ週報:『トルコ国内での新型コロナウィルス感染拡大を背景にリラ安基調継続』(3/28朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。

トルコリラ週報:『トルコ国内での新型コロナウィルス感染拡大を背景にリラ安基調継続』(3/28朝)

トルコ国内での新型コロナウィルス感染拡大を背景にリラ安基調継続

今週のレビュー(3/23−3/27)

今週のトルコリラ円相場は、週初16.90円で寄り付いた後、早々に週間安値16.67円まで下落しました。しかし、@米FRB(連邦準備理事会)による無制限量的緩和の発表(量的緩和拡大→米主要株価指数反発→リスクオンのクロス円買い→新興国通貨買い)や、A米与野党による総額2兆ドル規模の大型経済対策の発表(大型景気対策→米主要株価指数上昇→リスクオンのクロス円買い→新興国通貨買い)、B上記@Aを受けた投資家心理の改善(リスクアセットの買い戻し→新興国通貨買い)、C市場予想を上回るトルコ・3月消費者信頼感指数(結果58.2、予想57.3)が支援材料となると、週央にかけて、3/5以来、約3週間ぶり高値となる17.48円まで急伸しました。もっとも、その後は、Dトルコにおける新型コロナウィルスの感染者数急増や、E小池都知事による外出自粛発言を受けた本邦における先行き不透明感の高まり(円高圧力)が重石となり、週末にかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、16.72円近辺まで押し戻される展開となっております。

来週の見通し(3/30−4/3)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、3/16には、約1年6ヶ月ぶり安値となる16.40円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(今週も結局、一目均衡表基準線に続伸を阻まれ急反落)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)で燻る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムード(トルコ国内での感染者数の急増)など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。今後も新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した投資家心理の悪化ムードや、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げと、インフレ高止まりが背景)を受けた投資妙味減退(資本流出)の流れは続くと見られ(株安・新興国通貨安・債券安のトリプル安)、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週はトルコの貿易収支や物価指標、日銀短観、米雇用統計に注目)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):16.30ー17.20

トルコ国内での新型コロナウィルス感染拡大を背景にリラ安基調継続

トルコリラ円日足

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