<< 東京市場の動き >>
週明け9日の東京市場は、ドル安・円高。一時101円半ばまで急落するなど、昨年1月3日の「フラッシュクラッシュ」を彷彿とさせる値動きも観測されていた。
先週末も、引き続き新型コロナウイルスに関する話題が席巻。たとえば、米国においてカリフォルニア州に続き今度は「NY州が非常事態宣言」を発令、被害拡大の様相がさらに鮮明となった。また、7日に発表された中国の貿易収支において、輸出が実に17%もの大幅減。これは2016年以来の悪化となっている。
そうしたなか、週明けのドル/円は104.20円レベルと、前週末のNYクローズより1円程度円高レベルで取引開始。その後しばらくは底堅く推移したが、下支えしていた103円半ばを割り込むと、一気に日中安値である101円半ばまでドルは2円程度急落している。時間にすれば、わずか30分かそこらの出来事で、市場筋の一部からは「フラッシュクラッシュ」との指摘も聞かれていた。ただ、その後は持ち直すと、下げが急激だったこともあり、戻りもなかなか荒っぽい。102円後半まで買い戻されると、16時時点では102.55-60円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型ウイルス」と「本邦要人発言」などについて。
前者は、引き続き中国本土以外における感染者の拡大傾向が話題に。たとえば、「伊与党党首がウイルス感染」、「バチカンで初の感染者発生」といった欧州情勢も取り沙汰されていたほか、米国において前述した「NY州が非常事態宣言」発令、「トランプ大統領ら出席イベントで感染者が確認される」とする報道が思惑を呼んでいた。
対する後者は、東京時間だけでドルがトータル3円超の変動をたどったうえ、日経平均株価も大引けベースで1000円を超える下落となっており、本邦要人による警戒発言、口先介入などが相次いでいた。幾つか例を挙げると、菅官房長官「市場動向を十分注視」、麻生財務相「為替介入についてはコメントを控える」、黒田日銀総裁「G7声明で、適切かつ効果的な施策を行う用意があることを確認」などとなる。
<< 欧米市場の見通し >>
先でも指摘したように、日経平均株価は終値ベースで1000円を超える下落。また時間外で取引されているNYダウ先物も1200ドル以上値を下げるなど、依然として荒っぽい動きだ。それを受けてドル/円など為替も大荒れの展開をたどったのは、やむなしと言えるだろう。
なお、昨年1月3日の「フラッシュクラッシュ」を彷彿とさせるドルの急落が観測されたことで、セリングクライマックスを迎えたとする市場筋の声も一部で聞かれている。短期的には、確かに底堅く推移する可能性も否定出来ないが、すでに大底を示現したとの見方は早計だろう。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因はいまだ数多い。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題で、とくに欧米諸国における感染状況を注視している向きは少なくないようだ。たとえば7日段階で合計300人とされる米国の感染者が急増したり、首都ワシントンで感染者が確認されたりすれば、再びドル売りに傾斜しても不思議はないだろう。また、米株や金利の動きとともに、原油相場の動きを警戒する声も多く、動静はしっかりと見極めたい。
テクニカルに見た場合、アッという間のドル急落劇。先週末にはかすりもしなかった昨年8月安値104.44円は言うに及ばず、2016年安値98.65円を起点とした下げ幅のフィボナッチ76.4%押しにあたる103.35-40円などをことごとく下回り、東京時間には101円半ばまでドル安が一時進行している。足もとは102円台まで小戻しているが、東京安値101円半ばを再び下回ると100円台割れトライの可能性もありそうだ。
本日はとくに目立った米経済指標の発表などは予定されていない。また、来週17-18日のFOMCを前にFRB理事などは「ブラックアウト期間」に入るため、今週は要人発言も抑えられ気味だ。ただ、たびたび指摘している米株や金利、そして原油相場の動きには要注意で、その動き如何で為替市場に波乱がある可能性も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、101.00-103.00円。ドル高・円安方向は、103円前後に弱い抵抗が存在しており、まずはその攻防に注目。
対するドル安・円高方向は、東京安値の101円半ばが最初のサポート。割り込むようだと明確な節目はなく、かなり遠くに感じていた100円レベルも、現実的な下値メドとして意識されそうだ。
ドル円15分足
オーダー/ポジション状況
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