ドル円見通し もみあい継続予想も流動性低下に注意(週報12月4週)

リスクシナリオとしては参加者が激減するため流動性も低下し、ニュースが出た場合には普段以上に反応し、振れる可能性もあります。

ドル円見通し もみあい継続予想も流動性低下に注意(週報12月4週)

年末年始のレポート配信について

ドル円週報は本日が年内最後となります。
30日はお休みをいただき、年明け6日に再開となりますのでご了承ください。

今週の週間見通し

先週のドル円は、振り返りを見てもわかりますが、ほとんど動意の無い一週間となり週間レンジも52銭と、今週は海外ではクリスマス休暇が既に始まっているかのような週となりました。今週のクリスマス休暇は主要市場で通常通りなのは東京市場のみ、明日のクリスマスイブはドイツが休場、他の欧米主要市場は短縮取引となります。そして、クリスマス当日は主要市場で開いているのは東京市場のみ、翌26日も英国と欧州は休場となります。米国市場は再開しますが、本格的に市場参加者が戻ってくるのは27日です。

ということで、今週は実質月曜と金曜のみということとなりますので、メインシナリオは先週同様に動かないということになりますが、リスクシナリオとしては参加者が激減するため流動性も低下し、ニュースが出た場合には普段以上に反応し、振れる可能性もあります。基本的には前者の可能性が高いのですが、オーダーやポジションの管理には注意が必要です。特に25日は取引レートを供給する金融機関がほぼ東京のみとなりますので、ほとんどのFX業者は短縮営業、海外系業者の場合には取引停止となるところもあります。

インターバンクディーラー時代の話をしますと、東京後場の遅い時間帯に比較的大口のドル買いがお客さんから来たのですが、それを少しずつカバーしているうちに思った以上にドルが上がってしまい結果として想定以上の損失となったという苦い経験があります。インターバンクでは断ることが困難ですが、個人投資家の皆さんは積極的にリスクを取る必要性はまったくありません。デイトレは極力しない、スイングトレードも火曜から木曜の間はポジションを持たないというのが最大の防御です。

さて、今週はそんな具合で目立った材料も無いのですが、金曜のNY市場でひとつだけ気になったニュースがあります。米中通商協議に関してのムニューシン財務長官とトランプ大統領の発言です。ムニューシン財務長官は「来年1月初めに署名することに自信を持っている」と述べ、トランプ大統領も「習近平主席と合意について素晴らしい協議をした」と述べました。

これらのニュースに対して、米株高、ドル高と市場参加者はリスクオンで反応していましたが、署名についての合意は既に決まっているのではないのかというのが、個人的には不思議な印象でした。両者の発言からすると、ひょっとすると1%くらいは署名に辿り着けない可能性があるのではないかと考えてもおかしくありません。1%はほとんど無いともいえるのですが、今まで90%以上だの、ほとんどだの、それに近い表現で何度も決裂してきたことから考えると、土壇場で中国が数値目標は受け入れないとか言い始めるのではないかという懸念があります。

既に株式市場をはじめ好材料はほとんど織り込んできていると思いますので、何かリスクがあるとすればドル売りしか残っていないと言えるでしょう。クリスマス中も含めて東京が年末年始の間に今年のお正月のような動きが無いことを願うばかりです。

チャートも見てみましょう。

チャートにも大きな変化は見られません。大きなピンクの上昇チャンネルの中で、現在は小さな青の上昇チャンネルの中での動きになっています。しかし、昨年11月からの長期レジスタンス(赤の太線)が間近に迫っていて、これを上抜けるのはそう簡単ではありません。

短期的には高値を見たということは先週同様ですが、今週から来週にかけては流動性が低下してくるため、一時的に上抜ける(上ヒゲで抜ける)可能性もあるかもしれませんし、懸念材料に示した通り、急に下げることもあるかもしれません。それでも上値は110円の大台が強いレジスタンスとなりますし、下値は108円台半ばが強いサポートです。今週から来週にかけての年末年始相場は、振れに注意しながらも108.50〜110.00レベルとやや下方向に余裕を見たもみあい相場を考えておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート


このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月23日(月)
**:** 日中首脳会談
16:00 ドイツ11月輸入物価指数
22:30 米国11月耐久財受注
24:00 米国11月新築住宅販売

12月24日(火)
**:** 東京を除く主要市場は短縮取引
08:50 日銀会合(10月)議事要旨公表
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数


12月25日(水)
**:** 東京を除く主要市場は休場

12月26日(木)
**:** 東京、NYを除く主要市場は休場
**:** 黒田日銀総裁講演
22:30 米国新規失業保険申請件数

12月27日(金)
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
08:30 本邦12月東京区部CPI
08:50 日銀会合(12月)主な意見公表
25:00 週間原油在庫統計

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月16日(月)
ドル円は底堅い株価とともにじり高の展開を辿りましたが、NY市場までは値幅も狭く基本的に動意薄の状態でした。NY市場に入りダウが大幅高となる動きとともにドル円もリスクオンで上昇、昼前には109.68レベルの高値をつけNY後場は若干押しが入っての引けとなりました。

12月17日(火)
ドル円は終日ほとんど動かず、値幅も19銭と完全に蚊帳の外状態でした。次の円相場の材料として日銀会合待ちではあったものの、海外がクリスマスに近づいていることから動きが鈍い状態は続きそうな状況となりました。

12月18日(水)
ドル円は欧州市場の昼ごろまで全く動かず、欧州市場に入ってからは米金利上昇がユーロドルでのドル買いとなったことに引っ張られ、若干水準を切り上げました。しかし値幅は伴わず、ドル円は目立った動きがないまま、もみあいでの引けとなりました。

12月19日(木)
ドル円は仲値で一時的にドル買いが入った後は、じり安の展開となり予想通りに現状維持となった日銀会合も無風通過で欧州市場に入りました。欧州市場でも全般的にドル売りが見られましたが、NY市場に入り弱めの米国経済指標に反応し、ドル売りが強まると前日安値を下回り、ストップオーダーも巻き込んで109.18レベルの安値をつけました。引けにかけては買い戻しも出て前日安値圏へと戻しました。

12月20日(金)
ドル円はNY市場まではほとんど動きが見られませんでしたが、欧州市場でユーロドルが下げていたこと、NY市場に入りダウが史上最高値を更新する動きとなったことからドル買いの動きとなりました。しかし一日の値幅は30銭にも満たない冴えない展開での週末クローズとなりました。



今年はこのまま変動相場制移行後の最低値幅を更新して終わりそうですね。来年はもう少し動いて欲しいものです。それでは、よい年をお迎えください。

ディスクレーマー

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