トルコリラ円見通し 4か月サイクル及び40週サイクルの下落期(19/12/23)

トルコリラ円は12月13日から12月20日まで5日連続の日足陰線で下落、20日安値18.33円の後は新たな安値更新を回避して下げ渋っている。

トルコリラ円見通し 4か月サイクル及び40週サイクルの下落期(19/12/23)

【概況】

トルコリラ円は12月13日から12月19日まで5日連続の日足陰線で下落、20日安値18.33円の後は新たな安値更新を回避して下げ渋っている。
10月後半からは「18.80円前後を下値支持線、19円台を維持できない範囲での持ち合い」が続いてきたが、持ち合い中の最安値だった11月15日未明安値18.77円を12月7日未明への下落で割り込んで持ち合い下放れに入った。12月10日夜安値18.64円から12月13日夜高値18.95円までいったん戻したものの、12月13日夜から再び下落に転じて12月17日には12月10日安値を割り込み、12月2日からの下落は二段下げ型へと発展した。

トルコリラ円の持ち合い下放れは、ドル円が12月13日以降も109円台中盤での持ち合いに止まっている中で、ドル/トルコリラでのドル高リラ安が加速したためであるが、ドル/トルコリラは12月13日から12月19日まで日足で5連騰(ドル高リラ安)となり、12月19日高値では1ドル5.9448リラをつけて10月15日高値5.9414リラを上抜き今年5月以来7カ月ぶり高値水準となっている。

新興国通貨全般はタイバーツや南アランド等が対ドルで上昇基調にあり、トルコリラの下落が際立っているのだが、ドル高リラ安の背景としては、@米連銀の利下げ打ち止めとトルコ中銀の利下げ継続姿勢、A米国議会によるトルコ批判とトルコ側の反発、Bトルコのロシア製兵器導入を巡る米国との対立、Cトルコ経済指標も昨年の通貨危機の時期からは持ち直しているもののまだ不安定な状況にあること等が考えられる。しかしいずれも全般的な傾向としてのリラ安環境を示すものの、12月後半から状況がよりリラ安へと傾斜したことへの重大な影響を与えた要因とまでは言えない。

米中通商協議の第1段階合意で金融市場全般が落ち着き、NYダウやナスダックが連日のように史上最高値を更新する楽観ぶりを示しているが、トルコの代表的株価指数であるイスタンブール100指数は11月に入ってから7週連続で上昇している。2018年1月の高値にはまだまだ及ばないものの今年5月以降の高値を更新中であり、トルコも株高は続いている。そうなると現在の対ドル及び対円でのトルコリラ安は、米連銀の利下げ打ち止めとトルコ中銀の利下げ継続の差に着目したリラ売りの側面が強いということと、上値が重くなって持ち合いから下放れし始めたことによるテクニカルな先安感が大きく影響していると言えるかもしれない。

【中勢は40週前後と80週前後の底打ちサイクルでボトム形成へ】

【中勢は40週前後と80週前後の底打ちサイクルでボトム形成へ】

トルコリラ円週足

2013年以降の週足では、概ね40週前後(34週から50週のレンジ)の底打ちサイクルと、このサイクルが2セットでの80週前後の底打ちサイクル(71週から88週のレンジ)で推移してきた。直近では2017年4月14日底から71週目となる2018年8月13日安値(米・トルコ対立によるリラ暴落)で80週サイクルの底をつけた。
40週前後のサイクルでは、2018年8月13日安値から39週目となる2019年5月9日安値で底をつけたが、その後は7月31日高値19.65円まで戻したところがピークであり、8月26日にフラッシュクラッシュによる一時的な急落が発生し、10月1日高値19.15円の後も10月30日高値19.08円、12月2日にも19.08円に留まって戻り高値が切り下がり気味の推移となり、特に10月後半からは18.80円前後を支持線としつつも19円台へ到達しても維持できない持ち合いに止まり、12月10日への下落でこの持合いから転落した状況に入った。

このため、80週サイクルを2つで構成する後半の40週サイクルにおいて、7月31日高値でサイクルトップをつけ、10月後半からの持ち合いから転落したことにより40週サイクルのボトム形成期に入ってきていると思われる。5月9日安値から先週までが33週を経過したところであり、やや短い場合には既に底打ちしてもよい日柄を経過したともいえるが、平均的にはあと7週で越年となり、長引く場合は来春にかけて下落基調が続く可能性もある位置と思われる。

10月後半からの持ち合い下放れには、こうした中勢レベルのサイクルにおける下落期入り、ボトム形成への売り圧力が背景にあると思われる。より細かく日足で見れば4か月前後の底打ちサイクルで推移しているが、日足の4か月サイクルでも、8月26日を底とし、10月1日と10月30日及び12月2日の三つの高値でピークをつけ、持ち合い下放れからボトム形成期に入ったということになるのだろうと思われる。4か月サイクルで見れば12月末から年明けにかけての間がボトム形成期と想定されるが、このサイクルがもう一つ分加わると、来春へ下落期が継続してゆく可能性も考えられる状況だ。
中勢の80週、40週サイクル、そして日足レベルの4か月前後のサイクル、これから重層的に下落期に入っているとすれば、徐々に下落が加速してゆくことも心配される。このため8月26日への下落時におけるフラッシュクラッシュ分を捨象した18.00円、さらに5月9日安値17.49円等まで下値目処が切り下がる可能性もあると注意したい。

【当面のポイント】

12月20日未明安値18.33円から20日夜高値18.48円まで戻したのは直前の5日間の下落一服での買い戻しによるものと思われるが、23日朝には再び18.40円を割り込んでいるため戻りが続かずに既に一段安へ進みやすい状況に入っている印象がある。
(1)当初、12月20日未明安値18.33円を下値支持線、12月20日夜高値18.48円を上値抵抗線とする。
(2)18.33円を割り込まない内は20日夜高値超えから18.50円台後半へ戻す可能性も考えられるが、これまでのリラ安基調を踏まえると18.50円以上は段階的に戻り売りにつかまりやすい水準と思われる。
(3)12月20日未明安値割れからは一段安入りとなるため18.10円前後、さらに18.00円前後を試して行く流れと考える。18.00円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、先行きは5月9日安値17.49円を目指す可能性も出てくると注意したい。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月26日
16:00 12月景況感 (11月 102.00)
16:00 12月設備稼働率 (11月 77.2%)
12月30日
16:00 12月経済信頼感 (11月 91.3)
12月31日
16:00 11月貿易収支(10月 -18.1億ドル)
1月02日
16:00 12月のイスタンブール製造業PMI(11月 49.5)
1月03日 12月消費者物価 前年比 (11月 10.56%)
     12月消費者物価 前月比 (11月 0.38%)

【最近のトルコ・シリア情勢推移】

10月14日 米国がトルコに経済制裁発動
10月23日 トルコが米国提案の恒久的停戦を受け入れ、米国のトルコ制裁解除
10月27日 トランプ大統領、IS指導者バグダディ氏殺害を報告。
10月29日 米下院によるトルコ制裁決議可決
11月01日 トルコとロシア、シリア北東部の合同巡回開始
11月11日 トルコ政府、IS戦闘員の本国送還を開始
11月13日 トランプ米大統領とエルドアン大統領がワシントンで首脳会談
11月23日 トルコ国防相、米国がF35売らないなら別の道を選択
11月23日 第14回シリア保証国会議を12月10-11日に開催
11月25日 トルコがロシア製S400ミサイルシステムの試験開始
11月26日 シリア北部ラスアルアイン付近で自動車爆弾による大規模テロ事件発生

12月03日 NATO首脳会議、英独仏とトルコの首脳会談
     米トランプ大統領、トルコのロシア製ミサイル調達への制裁検討中と発言
12月04日 米トランプ大統領とエルドアン大統領会談、特に動き無し
12月11日 米上院外交委員会がトルコによるロシアからの防空システムS400の購入とシリア侵攻に対する制裁法案を可決
12月12日 米上院本会議で、オスマン帝国によるアルメニア人の殺害事件を「ジェノサイド認定」する決議案を全会一致で可決
12月21日 トルコとリビア西部暫定政府が軍事協定締結、武器輸出の場合は国際的批判の可能性

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