トルコリラ週報 『米トルコ関係の悪化懸念がリラの重石に。約2カ月ぶり安値圏へ』(12/21朝)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.84円で寄り付いた後、早々に高値18.85円まで上昇しました。

トルコリラ週報 『米トルコ関係の悪化懸念がリラの重石に。約2カ月ぶり安値圏へ』(12/21朝)

米トルコ関係の悪化懸念がリラの重石に。約2カ月ぶり安値圏へ

今週のレビュー(12/16−12/20)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.84円で寄り付いた後、早々に高値18.85円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線に続伸を阻まれると、@米上院が、「1915年から1923年にかけてアルメニア人が殺害された事件はジェノサイド(民族虐殺)」とする決議案に可決したこと、Aこれを受けてエルドアン大統領が「米国の核弾頭が配備されているトルコ南部インジルリク空軍基地を閉鎖する」対抗措置を滲ませたこと、B上記@Aを受けて、米国とトルコの関係悪化懸念が再燃したこと等が重石となり、週後半にかけては、10/17以来、約2カ月ぶり安値となる18.37円まで急落しました。

もっとも、Cトランプ米政権が事態を鎮静化させる目的でジェノサイド決議案に不支持の姿勢を示したことや、Dトルコ当局がリラ安防衛を目的に「リラ売り・外貨買い」を規制する新規制案を検討している旨が一部メディアより報じられたこと等が支援材料となると、週末にかけて持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では18.44円近辺で推移しております。

来週の見通し(12/23−12/27)

今週のトルコリラ円相場は、週を通して軟調推移が継続しました。12/19には一時18.37円まで下げ幅を広げるなど、約2カ月ぶり安値を記録しております。この間、強い売りシグナルを表す三役逆転が点灯した他、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生しました。テクニカル的に見て、「続落リスク」が意識されるチャート形状となっております。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(市場やエルドアン大統領による利下げ圧力)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dシリアを巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイドを巡る米国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。状況次第(米トルコ関係を巡るヘッドライン次第)では10/10に記録した直近安値18.20円を試すシナリオも想定されます。リラ安防衛策(新規制案)を巡る思惑がひとまず下値を阻んではいるものの、上値余地は乏しく、当方ではトルコリラ円相場が一巡後に再び下げ足を速める展開をメインシナリオとして予想いたします。

トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 18.00ー18.60

米トルコ関係の悪化懸念がリラの重石に。約2カ月ぶり安値圏へ

トルコ円日足

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