ユーロ週報「クリスマスで動きも流動性も低下」(12月第4週)

市場参加者の注目はポンドに集まった一週間となりました。

ユーロ週報「クリスマスで動きも流動性も低下」(12月第4週)

年末年始のレポート配信について

ユーロ週報は本日が年内最後となります。
30日はお休みをいただき、年明け6日に再開となりますのでご了承ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週初こそ買いが先行したものの、イベント通過によるポンドの利食い売りに、ブレグジット移行期間(2020年末)の延期はしないとのジョンソン首相の発言も手伝ってポンドが値を崩す動きに引っ張られてのユーロ売りの動きとなりました。週初の上げた水準からでも下げ幅は100pips強とドル円よりは動きが大きいものの、市場参加者の注目はポンドに集まった一週間となりました。

今週ですが、予定を見てもわかる通りで経済指標は1件のみ、しかもそれほど重要度の高いものではありません。欧州にとっては、春のイースター休暇と冬のクリスマス休暇が各人の夏休みを除いて年2回のホリデーシーズンとなり、各金融市場はほとんど参加者がいなくなります。為替市場は24時間動いているとはいっても金融機関のディーラーは休みますので、今週は余程のことが無ければ動きは期待できないと思われます。

そうした季節要因を除いても今年のユーロドルは冴えない一年でした。年初から本日までの値幅はわずか685pipsとユーロが始まった1999年以来の年間最低値幅を大きく更新です。次に狭かったのが2013年の1150pipsですし、動きが鈍かったドル円よりも更にpips幅が狭かったというのはある意味驚きです。

材料的には欧州議会選から英国総選挙まで政治的に各国とも様々な変化は見られましたが、ポンドこそ動きはあったもののユーロは一時的な動きに留まりましたし、ECBによる追加緩和やラガルド新総裁就任も振り返ってもあまり大きな材料とはなってきませんでした。ただ、年間を通してみると値幅こそ狭いものの長期的なユーロ安トレンドは今年も続けてきたと言えます。

その理由として考えられるのが、ユーロからドルへの資金移動、そしてそのドルでのS&Pやダウといった米国株買いです。以前は円でもよく聞かれたキャリートレードです。低金利通貨を売ってリスク資産で運用するという動きですが、今年のように為替も株価もボラティリティ(変動率)が低い中では、キャリートレードは非常にうまく回ったと考えられます。

さすがに、年内はもう大きな動きは期待できませんが年明けになると、いよいよ英国の離脱が1月末に迫ります。こちらは予定通りの離脱となり、2020年末までは移行期間となり現在の枠組みでの貿易等を続けながら、英国はEUだけでなく各国との交渉を進めていくことになります。総選挙で保守党が過半数を取ったことで多くの案件が迅速に審議されていく期待があるいっぽうで、EUが懸念するように遅れが生じると実質的に合意が無いままに移行期間を終了するというリスクがあり、年明けの最初の注目材料は英国の動向ということはこれまでと大きな変化は無さそうです。

あまり変化はありませんが、チャートも見ておきましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドル日足

上下に見えるピンクの太線はそれぞれ年初来高値から引いたレジスタンスラインと年初来安値から引いたサポートラインです。中期的にはそれぞれ気にすべき水準ではあるものの、現時点ではどちらも距離がありあまり参考にはなりません。1.1200は高値のダマシのような動きとなってきたことや、先週後半の動きを見ていると現状1.11台半ばは既に売りたい向きが出てきている様子です。

いっぽうで下値は11月安値と12月高値の61.8%押しの水準でいったん止まってはいるものの、サポートラインと78.6%(61.8%の平方根)押しが重なっていることを考えると1.10台前半が下げ止まりやすい水準と言えるでしょう。今週から来週にかけては大きな動きが出ない前提で1.1020レベルをサポートに、1.1150レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

流動性が低下しますので、ニュース等が出ても焦らないようリスク管理だけは普段以上にきっちりとしておきたいものです。

今週のコラム

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。

ドル円と同様に夏以降は上下しながらも上昇トレンドを続け、12月には高値122.65レベルと随分上がってきた印象です。今年のユーロが動かなかった理由として、ユーロ売りのキャリートレードを原因としてあげましたが、ユーロ円でも円売りが出たことで、ユーロの売りを一定部分吸収したため、ユーロの下げが緩やかなものとなったと考えることもできます。

ユーロ円は現状ではピンクの太線で示した上昇ウェッジの中での動きとなっていて、短期的には10月安値からのサポート(ピンクの細線)も効いていると考えられます。今週来週も基本的には、これらの上昇ウェッジの中での動きを考えておくとよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

12月23日(月)
16:00 ドイツ11月輸入物価指数

12月24日(火)
**:** 東京を除く主要市場は短縮取引

12月25日(水)
**:** 東京を除く主要市場は休場

12月26日(木)
**:** 東京、NYを除く主要市場は休場

12月27日(金)
(特になし)

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月16日(月)
ユーロドルは株高の動きがユーロ円の買いとなり終日じり高の動きとなりました。欧州市場序盤に弱い経済指標に反応して売りが入る場面も見られましたが、NY昼前には1.1158レベルの高値をつけ、その後は若干押しての引けとなりました。


12月17日(火)
ユーロドルは、ジョンソン英首相が2020年末となっている離脱後の移行期間を延期する方針が無いとしたことでポンドが続落。ユーロも欧州市場序盤には追随して売りが出たもののすぐに反発、ただ上値も限定的でNY市場では反落後に狭い値幅でもみあいのまま引けました。

12月18日(水)
東京市場では弱い株価の動きがユーロ円の売りに反応したことで、ユーロドルは売りが先行しました。その後欧州市場では実需売りも散見されたことや、米金利上昇による全般的なドル買いの動きにも支えられ、NYの引けまでじり高の動きとなっていました。


12月19日(木)
ユーロドルは、欧州市場まではドル売りの流れの中でユーロ買いの動きとなっていました。NY市場に入りドル円の売りが強まった際にはユーロ円でも売りが広がり、その動きに引っ張られてユーロドルは反落、1.1107レベルと前日安値をわずかに更新したものの下げきれずにやや戻して引けました。

12月20日(金)
ユーロドルは、欧州市場までは動かず、欧州市場に入り前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら週末前のポジション調整による売りが目立ちました。NY市場ではダウ史上最高値更新によるドル買いの動きから1.1067レベルまで下押しして安値圏での引けとなりました。


--年内は本日で最後となります。また1月6日にお会いしましょう。良い年をお迎えください。--

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