<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、ドルが小高い。上値も重いが、一時戻り高値を更新する局面も観測されていた。
ドル/円は107.90円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。107.80-00円といったレンジで一進一退をたどるも、上抜けると日中高値である108.10-15円まで小幅に値を上げた。トランプ米大統領の発言に加え、3連休前となる本邦勢からの駆け込み的な仲値需要、仲値不足などが材料視されて。しかし高値示現後、ドルはジリジリと値を崩すと107.95-05円といった非常に狭いレンジで横ばいに。16時時点では108円前後で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」と緊迫化した「トルコ情勢」について。
前者は、引き続き好悪それぞれの情報が錯綜するも、全体を通してはやや楽観論が優勢か。たとえば、協議に参加している中国の劉副首相から「通商協議で双方が重要とみなす問題で合意を目指す意向を持っている」との発言が聞かれたほか、トランプ氏も初日を終えた閣僚級協議について「中国との協議はとてもうまくいった。協議は明日も継続する」などと前向きに指摘していた。さらに、トランプ氏はその後も「中国は非常に素晴らしい。我々は中国と合意できるか目にすることになる」−−とコメント、ドル買いを後押ししている。
対して後者は、トルコ政府が「シリア北東部で181ヵ所の標的を攻撃、作戦は成功した」と発表し、物議を醸す。そうしたなか、トランプ氏は「規範に従わなければ、トルコに制裁を科し、経済的に強烈な打撃を与える」と警告を発するも、トルコ側は聞く耳を持たず。エルドアン大統領は「我々の作戦を侵略と呼ぶなら、360万人のシリア難民をEUに送る」などと、攻撃停止を求めるEUを名指ししての挑発を行っていた。
<< 欧米市場の見通し >>
「米中協議」に関し、連日繰り出されるトランプ発言などを好感し、市場はドル買い安心感が非常に強い。リスクはドル高方向に考えざるを得ず、テクニカルに見た次の上値メドは直近だけで2度上げ止まっている108円半ばか。そして、仮に同レベルを抜けると、移動平均の200日線も程近い109円レベルがターゲットになりそうだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして昨日新たに加わった「トルコ情勢」にも要注意。それぞれの要因に注意を払いたいが、目先最大の材料と言えばやはり「米中情勢」になる。11日まで実施される「閣僚級協議」については、前述したようなトランプ発言もあり、やや楽観論が優勢。ただ、フタを実際に開けるまで予断を許さないうえ、実際に何らかの部分合意などが実現しても、「噂で買って事実で売る」の相場格言通り、逆にドル売りが進展する可能性も一部で取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、ドルは小幅に続伸し、過去1ヵ月程度推移している106.50-108.50円というレンジの上限を視界内に捉えた動き。
そうした状況をフィボナッチの観点でいえば、目先高値108.48円を起点とした61.8%戻し(107.70-75円)に続き76.4%戻し(108円レベル)も突破しており、すでに100%戻し(108.48円)しか存在しない。基本的には、さらなるドル高進行が期待されている。
一方、材料的に見た場合、10月のミシガン大学消費者信頼感指数速報など幾つかの米経済指標が発表されるほか、本日もローゼングレン・ボストン連銀総裁をはじめ、複数の米地区連銀総裁が講演を実施する予定となっている。それらの要因にまずは要注意だ。
また、先で指摘した「米中閣僚級協議」をはじめ米国ファクターは数多いが「英国情勢」、具体的には本日実施される「バークレー英離脱担当相とEUのバルニエ首席交渉官による会談」も気掛かりだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.50-108.50円。ドル高・円安方向は、本日東京で記録した高値108.10-15円が最初の抵抗。上抜ければレンジ上限である108円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の25日線が位置する107.65-70円めぐる攻防にまずは注目。ただ、割り込んでも下方向にテクニカルポイントは多く、ドルは底堅いイメージがある。106円台は目先かなり遠くなったようだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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