<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、一時ドル高に振れるも「行って来い」。110円台を回復する局面も見られたが続かなかった。
ドル円は109.75円前後で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。週末ゴトー日ということで仲値不足観測や、日経平均をはじめアジアの株価が堅調に推移したことが材料視されていた。110円台を回復し、日中高値の110.05円レベルを記録している。
しかし、「米政府が25%の対中関税を正式発動」したことや、株価が上げ幅を削ったこともあり、ドルは反落に転じると結局「行って来い」。109.60円台まで軟落し、16時時点では寄り付きレベルの109.75-80円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」について。
9-10日の日程で実施される閣僚級協議は、東京時間午前に一日目の討議が終了したが、当局者は記者団にコメントせず。しかし、ブルームバーグが関係者の話として、「協議はほとんどないし、まったく進展なし」と報じ物議を醸していた。そののち、東京時間午後1時に「米政府が25%の対中関税を正式発動」されるとともに、中国サイドからは「報復せざるをえない」との見解が聞かれ、亀裂拡大懸念も。なお、FOXニュースは中国副首相が「自分としてこれ以上できることはなく、事態打開はトランプ氏と習国家主席次第だ、などと発言した」と報じていた。
そのほか単発モノとして、トランプ米大統領「北朝鮮の飛翔体発射は『極めて深刻』」、「宮崎県南部平野部などで震度5弱の地震発生」、ブルームバーグ「米報告書、為替操作監視リストの対象国拡大へ」、「米特別代表が韓国外相と会談、北朝鮮情勢を協議」−−などといった発言やニュースが報じられている。
<< 欧米市場の見通し >>
日経平均株価は、結局5日続落。さすがに下げ足は若干鈍ってきたものの、それでも地合いの弱さを感じさせ、為替市場においてリスク回避志向を招いていることは間違いない。まだ一抹の底堅さもうかがえるが、最新のシカゴIMM投機ポジションを持ち出すまでもなく、市場は依然として大きな円ショートに傾斜している。さらなるドル安・円高の進展を警戒する市場筋は少なくないようだ。
材料的に見た場合、4日に続き9日にも事実上の「ミサイル」を発射した北朝鮮情勢に対する警戒感も日に日に強まっている。4日の段階では「不問に処す」考えを示していたトランプ米大統領も、先でも指摘したように今回は「極めて深刻」などと強い不快感を示しており、黄信号が灯った感も否めない。一方、それとは別に10日までの日程で実施される「米中閣僚級貿易協議」も引き続き要注意。米国による対中関税発動前、日本時間では本日未明の話になるが、トランプ氏は習中国国家主席から書簡がとどいたことを明らかにしたうえ、「電話会談実施の可能性」を言及していた。果たして妥結、あるいはそれに向けた進展はあるのだろうか。
テクニカルに見た場合、下値もそれなりに堅いものの、上値は徐々に切り下がっており、ドルの戻りは限られるようになってきた。本日の東京時間をみる限り、110円レベルからオファーは厚くなりつつある。
対して、ドルの下値は3月安値109.70円を一時的とはいえ下回ってきたことで、次のターゲットは年初来安値104.10円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻しの109.20-25円か。そのレベルを下回ると108円台突入の可能性も。
一方、材料的に見た場合、4月の生産者物価指数といった米経済指標が発表されるほか、ボスティック・アトランタ連銀総裁やウィリアムズNY連銀総裁による講演が実施される見込みだ。それらは当然要注意。
また、「米中閣僚級貿易協議」はもちろんのこと、12日に帰国する訪米中の菅官房長官の動静も気掛かり。菅官房長官は現地時間の10日午前にペンス副大統領と会談するとされている。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、109.30-110.30円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値も近い110円前後が最初の抵抗。超えてくれば、一目の雲の下限が位置する110.30円などが次のターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日記録したドル安値109.47円の攻防にまずは注視。割り込めばフィボナッチサポートの109.20-25円などを目指す。ポジションの偏りを加味すると、本日ではないにせよ108円台に突入する可能性も残る。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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