今週の週間見通し
先週のドル円は、米国を中心とした株安の動きがFOMCの利上げと事前のハト派発言とは異なり比較的景気に自信を見せたことからNYダウが大幅安となり、年初来安値を更新することとなりました。これまでは株式市場だけでなく他の金融市場でもリスクオフの動きが目立っていましたが、ここに来て円相場もようやくリスクオフの動きに追い付いてきた一週間となりました。
リスクオフの動きは株価の下げ、特にNYダウでの下げが目立っていますが、世界の主要株価指数も同様に下げていますし、米国内の資産では株を売って米国債を買う動きともなって、これが長期金利の低下にもなっています。また商品市場では需給のアンバランスと景気減速懸念から原油価格が大きく下げるいっぽうで、避難資産という点で金価格(ドル建て)の上昇も見られます。長期的には株価の下げは10月からですが、金価格は今年の安値を既に8月につけていて、着実にリスクオフを警戒した流れへと動いてきたことがわかります。
週末にはトランプ大統領がパウエルFRB議長の解任も検討と、これまでの経緯から考えると不思議では無いものの株価が下がる中での利上げと今後の見解に対して、かなり不満を持っていそうなヘッドラインが入ってきました。即座にムニューシン財務長官が否定のコメントを入れていますが、何らかの話に上ったということはありそうです。週明け早朝の株価指数先物は、連邦機関の一部閉鎖とこのニュースを受け一段安。ドル円も再び110円台へと入り込む動きを見せています。
今週は月曜が東京が休場、欧州を中心に主要市場が短縮取引、火曜はクリスマスで東京を除いた主要市場は全て休場、水曜も東京とNYを除いた主要市場が休場と、週前半は海外を中心に完全にクリスマス休暇入りです。また木曜以降も年末年始を控えて東京勢を中心に取引は低調となります。逆に参加者が少ない中で株価指数が下げるような動きが出てくると流動性が低いだけに思わぬ値動きになる可能性もあり注意が必要です。
流れとしては既にリスクオフの動きが強まっていますので、ドル円は10月の戻し高値で既に高値を見たことは決定的となり、逆に年初来安値を更新するほどの動きもさすがに不可能に近いと思いますので、今年の年間レンジは変動相場制移行後最低の9円96銭と10円未満で確定しそうです。値動きが出てくるとすると今週よりは年明け以降であると思いますが、可能性の高いポイントについて触れておきます。
日足チャートをご覧ください。少し長めの期間を表示してあります。
先週金曜のドル円ショートコメントで書いた通り、ドル円の年初来安値(3月104.57)と年初来高値(10月114.53)、どちらもチャート上の表示をそのまま使いますが、これらから計算される最初の大きなターゲットは38.2%押しの110円台後半で金曜安値圏です。そして、次の大きなターゲットは半値押しの109円台半ばで早晩110円の大台をトライする可能性が高いと考えていた方がよいでしょう。
こうして考えるとドル円は周辺市場がいまだリスクオフの状況が続いていること、さらにテクニカルにも10月で高値を確定し、その後のトライアングルを下抜けして110円割れのターゲットを目指しやすいことなど年末年始も円高リスクが大きいと言えます。特に年末相場はクリスマスもありますし、FX業者によっては取引が行われない日も存在します。リスク管理にだけは十分に注意してください。
年末年始(今週・来週)の予想レンジとして、109.50レベルをサポートに111.80レベルをレジスタンスと円高方向に余裕のあるレンジを見ておきたいと思います。
なお、年内の週報は本日が最終、年明けの週報は7日からとなります。今年も一年間お世話になりました。どうぞ良い年をお迎えください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
12月24日(月)
**:** 東京、ドイツ市場休場
**:** 豪州、NZ、英国、フランス、NYで短縮取引
12月25日(火)
**:** 東京を除く主要市場全休場
08:50 日銀会合(10月31日)議事要旨公表
13:00 黒田日銀総裁講演
12月26日(水)
**:** 東京とNYを除く主要市場休場
23:00 米国10月ケースシラー住宅価格指数
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業指数
24:30 週間原油在庫統計
12月27日(木)
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国10月住宅価格指数
24:00 米国12月消費者信頼感
24:00 米国11月新築住宅販売件数
12月28日(金)
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
08:30 本邦12月東京区部CPI
08:50 日銀会合(19日)主な意見公表
22:00 ドイツ12月CPI速報値
23:45 米国12月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国11月住宅販売保留件数指数
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
12月17日(月)
東京市場のドル円は、前場は早朝に反転上昇を見せた日経先物とともに底堅い値動きを示しましたが、上値が限定的で後場はじり安の展開となっての海外市場入り。NY市場では経済指標が弱かったことからダウが大幅安となり、ドル円を中心としてリスクオフの動きから円高が進みました。またトランプ大統領がFOMCの利上げをけん制したこともリスクオフを強め、引け間際には112.68レベルまで水準を切り下げた後に若干戻して引けました。
12月18日(火)
ドル円は東京市場から欧州市場前場までは前日のトランプ大統領による利上げ牽制発言が長期金利の低下につながりドルの上値を重くする動きとなりました。その後はFOMCを前にしたポジション調整と見られる買い戻しが入りましたが、NYの引けにかけてはダウが下げたことから再び上値が重くイベント待ちとなっていました。
12月19日(水)
ドル円は早朝の乱高下はあったものの週初からの流れを継続、FOMCに向けじり安の展開を辿りました。東京後場以降はユーロドルの買いがリードする形でFOMC前に112.09レベルの安値をつけての発表待ち。0.25%の利上げとともに来年の金利見通しは2回へと減ったものの、声明もその後の会見もハト派ではなく、ドルが買い戻される結果となりました。ドル円は112.67レベルと日中高値を更新しましたが、株式市場は利上げを受けて大幅安となったこともあり、引けにかけてはやや押して引けました。
12月20日(木)
FOMC後の株価下落は東京市場にも影響し、ドル円は前場こそもみあっていたものの後場以降は株安、円高とリスクオフの流れが強まりました。海外市場に移って以降も円高の動きは止まらず、NY市場では弱い経済指標と予算で対立する共和と民主の動きから連邦機関閉鎖も懸念されNYダウは一段安、ドル円も一時110.82レベルまで水準を切り下げ、引けにかけては111円台前半へとやや戻しての引けとなりました。
12月21日(金)
ドル円は東京3連休を前にしていつもの狭いレンジでの取引へと戻りました。前日NYに110円台に入り込んだ直後ということもあって押し目買いをする向きと、米国連邦機関閉鎖と上値の重たい株価を嫌気した戻り売りと、双方のバランスが111円台前半で取れているといった様子でした。NY市場ではNY連銀総裁が2019年に金融政策見直しの可能性に言及し、一時的にダウに買いが入ったものの引けにかけては週間安値を更新し、リスクオフ地合いを拭いきれない週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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