今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、大きな流れとしては株安のリスクオフがドル売り・円買いとなりユーロドルはユーロ買い・ドル売り、ユーロ円売り・円買いと、ドル安・円高の動きがそれぞれの通貨ペアの動きを逆にしていました。欧州内の材料としてはブレグジットは年明けに持ち越しですが、イタリアの修正予算案はEU側が承認したことで、いったんイタリアの悪材料は収束したこととなります。いっぽうでフランス国内でのデモは規模は半減しているものの継続していて、こちらは悪材料を持ち越しての年明けとなりそうです。
並べてみると、年初来安値を更新したNYダウを背景に一段のリスクオフ懸念がドル売りと円買いをもたらし、いっぽうで欧州内の材料はひとつ悪材料は消えたものの年明けに向けて不安材料は残したままということで、最強は円、最弱はドル、ユーロはその間に位置しているため(円>ユーロ>ドル)、ユーロドルではユーロ高、ユーロ円ではユーロ安という結果に落ち着いたということとなります。
今週は月曜はクリスマスイブで欧州の主要市場は短縮取引、火曜はクリスマスで日本以外の主要市場が全休、水曜は英国に代表されるボクシングデーということで欧州市場は全休となります。一年のうち、このクリスマスシーズンとイースターの2つが欧米市場が休場となることもあって2大閑散シーズンですが、特にクリスマスは東京も年末年始を控えて低調となりますので、何も無ければ動かない、逆に何かあると流動性が低下しているだけにカバーしづらく思いのほか動くことがある時期となります。
出てもいない材料を前提にしても仕方ありませんので、先週の動きとテクニカルな材料から年末年始のユーロ相場について考えてみます。先週の動きは上記の通りで、いまだリスクオフ旋風は収まらず、ユーロも悪材料を抱えたままの越年という点です。
チャートをご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
下値は11月の年初来安値と12月安値を結んだサポートラインに沿って、いっぽう上値は11月高値と12月高値を結んだレジスタンスラインに沿って中期的なもみあい状況にあります。リスクオフのドル売りがユーロ買いに繋がりやすいもののユーロの悪材料と1.1500にあると言われる大口のユーロ売りオーダーに阻まれて上値も重たくなってきています。そして、11月の高値と安値の半値の1.1358レベルが最近のもみあいの中心となっていて、上げても下げても同水準近辺へと収束しやすい流れです。
問題は1.1500にあると言われるオーダーですが、この注文が無くなることがあれば対ユーロでもドル売りの動きが出やすくなりますし、ずっと置きっぱなしということになるとこれまでのような方向感がはっきりしない動きを年末年始も続ける可能性がありますが、参加者が少ない時期だけにそう簡単にはオーダーをトライしきれず、どうも後者の可能性の方が高いような気がしてなりません。
そうなると、円>ユーロ>ドルという序列は変わらず、ユーロドルはややユーロ高、ユーロ円はややユーロ安といった流れになってくると見ています。ユーロ円は後述しますが、ユーロドルは1.1280レベルをサポートに1.1450レベルをレジスタンスとする年末年始を見ておこうと思います。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
先週の下げで10月中旬以降のトライアングルを下抜けすることとなり、テクニカルにもトライアングル形成前の動きが下げという典型的なコンティニュエイション(継続)パターンとなっていることがわかります。
次のサポートとしては5月安値と8月安値を結んだサポートラインが125円台前半を上昇中、そして9月高値を起点として逆N波動による78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが125.09と、どちらも125円台前半にあり、125円の大台を試しやすいチャートとなっていることがわかります。
材料面でも円>ユーロ>ドルの順番から妥当な見方だと思いますので、年末年始のユーロ円は、大台125.00をサポートに127.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ユーロの週報は年内は本日が最終となり、年明けは1月7日に再開となります。今年も一年間どうもありがとうございました。なお、到達確率チャートは12月28日まで更新します。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
12月24日(月)
**:** 東京、ドイツ市場休場
**:** 豪州、NZ、英国、フランス、NYで短縮取引
12月25日(火)
**:** 東京を除く主要市場全休場
12月26日(水)
**:** 東京とNYを除く主要市場休場
12月27日(木)
(特になし)
12月28日(金)
22:00 ドイツ12月CPI速報値
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
12月17日(月)
ユーロドルは東京市場では動意薄だったものの欧州市場でイタリア債が落ち着いた動きとなったことを好感してユーロ買いの動きとなり、NY市場ではユーロ円で円買いが目立ったことから上昇ペースは鈍ったものの1.1358レベルまで水準を切り上げ高値圏での引けとなりました。
12月18日(火)
ユーロドルも前日のトランプ大統領による利上げ牽制発言が響いてドル売りの動きとなりユーロ買い、欧州後場以降は上昇の動きに対して調整は入りましたが、ユーロ円が底堅い動きとなっていたこともあり下げの動きは限定的で、ユーロは堅調なままでの引けとなりました。
12月19日(水)
ユーロドルは、東京後場にイタリアの修正予算案でEUと合意する方向とのニュースが流れてきたことからユーロ買いが強まりました。FOMC前には1.1439レベルの高値をつけていましたが、0.25%の利上げとともに比較的景気に対して強気の発言が出たこともあって、ドル買いの動きから1.1364レベルへと反落後に若干戻しての引けとなりました。
12月20日(木)
ユーロドルは、FOMC後の株安の動きがドル売りとなり欧州市場までは堅調、1.1486レベルまで上伸したものの1.15では大きな売りが見えること、またドル円の下げがユーロ円でも売りとなったことからいったん反落、その後NY市場で改めて1.14台後半を試したものの抜けられず1.14台半ばへ押しての引けとなりました。
12月21日(金)
ユーロドルは、欧州市場序盤に買いが見られる場面もありましたが続かず、その後はユーロが対ドル、対円で売られる展開となりました。特に株安の動きがユーロ円でのリスクオフとなったことからユーロ円はNY市場で126円台前半まで水準を下げ、それに引っ張られてユーロドルも1.13台半ばへと売られてそれぞれ安値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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