<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、11月以降形成していたレンジの下限を割り込むなどドル安・円高。週足チャートは実体部だけで2円を超えるしっかりとした陰線引けとなっている。
前週末に、英首相と独仏首脳が会談し、それぞれが「英離脱案で再交渉せず」と言明するなど英国絡みで幾つかニュースはあるものの、影響は限定的。週明けのドル/円相場は先週末のNYクローズとほぼ同レベルの113.30-35円で寄り付いている。
その後しばらくは113円台でドルは底堅く推移、18-19日のFOMCにらみで様子見の感も。しかし、FOMCを待たずして予想外のドル売りがかさみ113円台を割り込むと、そのままドルはじり安に。結局、週末にかけては9月10日以来となる110円台まで下落、そこからはやや値を戻した111.20円レベルで週末NYの取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、「米FOMC関連」と「そのほかの米国ファクター」について。
前者は、会合前にトランプ米大統領が「FRBが、さらに利上げを検討するとは信じられない」と指摘したことに続き、CNBCはナバロ通商製造政策局長も「FRBは利上げの必要なし」とトランプ氏に同調したと報じるなか、実際のFOMCでFRBは政府からの圧力に負けず「FF金利の誘導目標引き上げ」を実施している。また、来年の利上げ回数が前回9月の「3回から2回へと減った」とする事前予想を踏襲する発表も行っていた。
対して後者は、米中貿易問題に関し、米財務長官から「米中貿易協議は1月開催で調整」との発言が聞かれたのに続き「中国と米国は19日に電話で貿易問題に関して協議」との報道も観測されている。そのほか、「トランプ米大統領、米軍のシリア完全撤収を検討との発言」、米紙WSJ「米政権、シリアだけでなくアフガン米軍の削減も検討」、「マティス米国防長官は2月で辞任へ」、「トランプ大統領は『完璧な国境警備を含まない法案に署名しない』と発言、予算切れで一部の政府機関が閉鎖の可能性高まる」−−などといった発言や報道が相次いでいた。
<< 今週の見通し >>
11月以降のレンジ下限である112.23円を「しっかり」と割り込み、一時110円台までドルは下落している。NYクローズベースでは110.90円レベルで推移する移動平均の200日線がサポートになっている感を否めないが、リスクはドル安方向に高いことは間違いなさそうだ。ちなみに、テクニカルなドルの下値ターゲットは、年初来安値104.58円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる110.75円レベル、そして9月安値の110.38円などとなる。
週明けから週半ばにかけては主要欧米市場がクリスマスで休場となることもあり、やや動きにくい雰囲気か。材料的には、前述したように先週はともかく米国ファクターが多く、それに振り回された感があり、今週も引き続き関連ニュースには要注意だ。とくに、米中をメインにした貿易問題だが、先週末に掛けて米通商代表部が「対日交渉方針」を発表し、そのなかで「為替操作の防止」の要求を行うことを正式に発表したことも気掛かり。クリスマス相場ではあるが、週明け以降、日米交渉の行方について、市場がどういった反応を示すのかしっかりとした注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、先週は11月以降のレンジ下限112.23円に続き、10月安値111.38円など下方向の目ぼしいサポートを次々と割り込んできた。ただ、NYクローズベースでは、110.90円レベルで推移する移動平均の200日線が辛うじてサポートとして寄与しているようだ。今週は200日線をめぐる攻防にまずは注目だろう。
なお、筆者は先週、「今回と同様の展開、たとえば今年の7月下旬から2ヵ月近く110-112円程度のレンジ取引をたどった際には、上抜けたのち半月程度で114円半ば(年初来高値)を記録している」としたうえで、そうした過去の経験則を参考にすれば「抜けた方向に、2円程度値が飛んでも不思議はない」−−とレポートしている。それを今回にそっくり適応させれば、ドルの下値メドは一応110円前後と言えるかもしれない。
一方、材料的に見た場合、12月のリッチモンド連銀製造業指数や同景気先行指数といった米経済指標の発表が予定されているほか、米財務省による5年や7年といった短期債の入札が実施される見込みだ。
ただ、クリスマス週ということもあり、事前に予定が決まっている固定の材料は比較的少なく、そうした意味では動きにくそうなイメージも。もっとも、突発的に伝えられる貿易問題を中心とした米国ファクターや、英国のEU離脱手続き問題などには、引き続きしっかりとした注意を払っておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.20-112.20円。ドル高・円安については、111円半ばに弱い抵抗が位置しており、抜ければ112円台回復も。具体的には11月以降のレンジ下限であった112.20-25円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線も近い先週安値である110.81円の攻防にまずは注視。割り込めば、移動平均の52週線が位置する110.40円前後、そして110円レベルなどが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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