ドル円調整か否か、早くもドル下値正念場に(11/29夕)

29日の東京市場は、ドル安・円高。値幅そのものは決して大きくなかったが、「寄り付き高・大引け安」の展開で、終日を通してドルは緩やかな右肩下がり。

ドル円調整か否か、早くもドル下値正念場に(11/29夕)

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29日の東京市場は、ドル安・円高。値幅そのものは決して大きくなかったが、「寄り付き高・大引け安」の展開で、終日を通してドルは緩やかな右肩下がり。

ドル/円相場は、寄り付いた113.65円前後を日中高値にじり安推移。前日のNYに続き、東京時間も株価は堅調推移となったが、リスク志向の動きは限定的だった。むしろ、昨日聞かれたパウエルFRB議長による「利上げ終了の前倒し示唆」発言の余韻が残っており、そちらの影響を強く受けていたようだ。夕方にかけては113.20円レベルまで値を下げ、16時時点でもドルは安値圏の113.30円前後で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、東京時間だけを見れば仮想通貨は堅調推移をたどったものの、ビットコインキャッシュは依然として不安定。ここ最近はジェットコースター相場とも言える激しい上下動が続いており、警戒感を抱く向きも少なくない。

一方、材料的に注視されていたものは、「週末G20をにらんだ貿易中心の米中間対立」絡みのニュースについて。
貿易という点では、自動車大手GMが北米事業再編策を発表したことを受け、トランプ大統領は「自動車関税の見直しに着手を示唆」。すると、独BMWは対照的に「米でのエンジン工場建設を検討」と発表していた。対して米中間については、貿易問題についてもさることながら、南シナ海問題などでも激しい鍔迫り合いが観測され、たとえば「米軍艦が台湾海峡を航行、首脳会談前に覇権争いで中国けん制」−−といった思惑が台頭していた。

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昨日のNY時間には114円台をワンタッチ、前回高値114.23円も視界内に捉えられるなか、FRB議長のコメントもあり、その後ドルは急反落へと転じている。ドル安の流れは、本日東京時間になっても変化なく、113.20円台まで達してきた。チャートを見ると、まだ調整の範囲内にはとどまっているものの、ドル反落の要因がFRB議長による「利上げ終了の前倒し示唆」発言というのは気掛かりだ。ヒョッとすると、トレンドが転換した可能性も捨てきれず、いましばらくのあいだ動静をしっかりと見極めたい。
需給要因をみると、M&Aの手当てや年末をにらんだリパトリエーションなど、ドル需給は依然としてタイトとされ、引き続きドルの下支えに寄与しそう。ただ、材料的には前述したように米利上げ打ち止め観測に加え、週末に予定されているG20会合とそれに合わせた米中首脳会談への不透明感が逆にドル高に歯止めを掛けそう。後者については、一部では楽観的な見通しも聞かれているだけに、仮に「交渉決裂」などという形で終われば、来週にかけて一段のドル売りが進行する可能性もある。

テクニカルに見た場合、先週来形成していきた112.30-113.30円程度のボックス圏を上放れてきたのち、ドルは114円台まで値を伸ばしたが、その後失速。再び113円台前半まで下落する展開となっている。
上値トライを失敗したというには早計だが、早くも単なる調整に留まるか否か下値正念場を迎えている。まだ幾分余裕はあるとはいえ、11月安値の112.30円を仮に下回るようだと、基調転換が確認されたと言えるかもしれず、ドルの続落リスクが強まりそうだ。

一方、材料的に見た場合、10月のPCEデフレーターや同中古住宅販売成約指数といった米経済指標が発表されるほか、FOMCが11月7-8日開催分の議事録要旨を公開する予定となっている。昨日のFRB議長発言もあり、後者に関する関心はとくに高い。
そのほか、週末G20首脳会談を前に、本日からG20財務相によるワーキングディナーが開催される見込み。メインは首脳会談などだが、各国参加者による発言には注意を払いたい。また、英国やイタリアを中心とした欧州情勢もまだまだ波乱の余地を秘めており予断は許さない。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、112.70-113.70円。ドル高・円安方向は、本日高値である113.65円レベルが最初の抵抗。抜ければ、昨日高値の114.03円そして114.23円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の25日線が位置する113.20円前後の攻防にまずは注視。割り込むと113円割れ、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する112.65-70円などが意識されそうだ。

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