<< 東京市場の動き >>
23日の東京市場は、再びドル安・円高。しかも、値幅こそ小さいが「寄り付き高・大引け安」の展開で、ドルの弱さが目についた。
ドル/円相場は、寄り付いた112.80円レベルを日中高値に緩やかな右肩下がり。日経平均株価が大幅続落、大引けベースで604円安となったことに加え、時間外で取引されているNYダウ先物も大きく値を下げておりリスク回避の動きが強まった。夕方にかけては、日中安値である112.35円前後まで値を下げ、16時時点でもほぼ同レベル、ドルの安値圏で推移し欧米時間を迎えていた。
なお、本日の東京市場はドル/円だけでなく、クロスも含めて円は全面高。ユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円などがこぞって値を下げている。
一方、材料的に注視されていたものは、「サウジ事件」と「米のINF条約破棄」について。
前者は、サウジ国営テレビが「サウジ皇太子が米財務長官と会談実施」したと報じるなか、トルコ大統領は会見で、「サウジ記者死亡の状況を発表」する旨を明らかにしている。また、一連の動きを受け、ドイツやカナダが対サウジ向けの武器取引凍結を発表していた。
対して後者は、「米大統領補佐官が訪露、プーチン氏などに中距離核戦力(INF)全廃条約破棄を説明」するなか、当のロシアや中国、EUなどから相次いで「懸念」の声が発せられている。
<< 欧米市場の見通し >>
もちろん、冴えないNYダウに、日経平均株価の大幅安といった要因はあるのだが、今回も期待されたドルの上放れに失敗した感がある。113円も超えられなかった。ともかく、筆者の懸念した『今年よくみられる光景』である「形成レンジを若干広げただけで元の木阿弥、再びレンジ取引入り」−−した公算が大きい。目先は大雑把に言って111.60-112.90円、1.3円ほどのレンジ取引をたどる可能性も否定できないようだ。
材料面では、米中間選挙を控え引き続き貿易問題についての懸念がくすぶるなか、すでに発表を終えた金融機関に続く米多国籍企業の決算発表が一部で思惑を呼んでいる。仮に業績悪化見通しなどが多くの企業で示されると、米株のさらなる下押し圧力となり、為替市場においてドル安要因となりかねないだろう。また、別途「トルコにおける記者失踪事件」や、「露のINF条約破棄表明」などの続報にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、過去10日ほどのレンジ上限(112.73円)を一時上抜けたものの、113円には届かず。そののち、本日の東京時間には112.30円台まで値を崩してきた。ドルの上値トライはまたもや失敗した格好で、目先は再びレンジ取引入りか。しばらくは、新たに構築した111.60-112.90円というレンジ放れのタイミングと方向性が注視されそうだ。
一方、材料的に見た場合、10月のリッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標、それも最新10月分のデータが発表されるほか、米財務省による2年債入札も実施される見込みだ。また、ボスティック・アトランタ連銀総裁やカプラン・ダラス連銀総裁による講演、マクドナルドやキャタピラーなどによる決算発表も予定されている。材料目白押しと言って良い。
加えて、先で指摘した「トルコにおける記者失踪事件」について同国大統領が本日、捜査結果などを公表する見込みとされるほか、ロイターは昨日、「イタリア政府はEUの欧州委員会が23日に予算案の修正を求める決定を下すと予想している」と報じており、欧州情勢にも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.80-112.80円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値を含めた112.80-90円の攻防にまずは注視。上抜ければ、今度こそ113円台回復がみえてくる。
対するドル安・円高方向は、18日安値の111.95円や、移動平均の75日線が位置する111.85-90円がサポートで、下回ると直近安値111.63円などがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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