<< 東京市場の動き >>
明け15日の東京市場は、ドル安・円高。値幅そのものは40ポイント程度と決して広くはなかったが、一時は直近安値を更新するなどドルの弱さが目に付いた。
先週末に、ムニューシン米財務長官から「貿易交渉で日本に為替条項要求へ」との発言が聞かれ、週明けから荒れ模様の値動きが懸念されるなか、ドル/円相場は112.10-15円で寄り付いた。これは、前週末のNYクローズと10ポイント程度しか変わらない水準。
つまり、日米貿易問題の影響は当初限定的とみられたものの、日経平均株価が423円安と大幅反落で大引けたことなどが嫌気され、為替市場はリスク回避の円買いが徐々に優勢に。112円を割り込むと、先日記録した直近安値を下回る111.80円レベルまで一時値を下げてきた。16時時点でも、ドルの安値圏である111.85-90円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。
前者のうち日米については、前述した米財務長官発言に対し、茂木再生相は「為替は日米通商交渉の対象外」と真っ向反論したことが明らかになっている。米中に関しては、人民銀総裁から「米中貿易摩擦により両国共倒れも」、「人民元は合理的かつ均衡の取れた水準」などといった発言が聞かれ、落としどころで苦戦している感も見受けられた。
対して後者は、英BBC「韓国大統領、北制裁の緩和検討も」、読売新聞「北委員長、米国務長官に核リスト申告を拒否」といった報道が観測されるなか、米朝協議を含めて今後の進展を注視している向きは少なくないようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
まだ本日のNYクローズを見ておらず、「しっかり」割り込んだとは言えないものの、ドル/円はなかなか強いサポートである112円レベルを本稿執筆段階で下回って推移している。112円を下回ったからと言っても、依然としてドル高の調整という大きな流れに変化はなさそうだが、短期的には一段の下押しも否定できないだろう。
ちなみに、8月安値109.77円を起点としたフィボナッチの61.8%押しは111.60円レベル、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.45-50円などが、取り敢えずの下値メドとなりそうだ。
材料面では、米中間選挙まで1ヵ月を切るなか、米中や日米といった米国の貿易問題が再びクローズアップされてきた感を否めない。とくに、今週は半期に一度の「米為替報告書」の発表が実施される見込みだけに、「為替操作国」の認定など、単なる貿易面だけでなく為替と絡めた警戒感も浮上してきた。認定見送りなら、買い安心が台頭し再びドル高に振れることもありそうだが、それまではドルの上値は重い値動きが続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、「しっかり」割り込んだとは言えないものの、112円を下回って推移しており、ドルの続落が懸念されている。そんなドルの次の下値メドは、8月安値109.77円を起点としたフィボナッチの61.8%押しにあたる111.60円や、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.45-50円などとなる。また、一目の雲の上限も割り込むようだと、111円割れを想定しておく必要があるかもしれない。
対するドルの抵抗は、112円半ばや移動平均の25日線など複数のテクニカルポイントが位置する112.70-75円となるだろう。
一方、材料的に見た場合、10月のNY連銀製造業景況指数や9月の小売売上高といった米経済指標が発表されるほか、バンカメなど米金融大手による四半期決算発表も予定されている。
それらは当然要注意なのだが、日柄的には本日「提出期限」を迎える2つの要因に注意を払いたい。うちひとつは「イタリア、2019年度予算案の欧州委員会への提出期限」であり、またもうひとつは「米財務省による半年次為替報告書の議会提出期限」になる。ちなみに、後者についてだが、本日が一応期限ではあるものの、近年は3-4日程度であれば発表が遅れることも決して少なくない。それからすると、必ずしも「本日発表」とはいかないかも知れない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.30-112.30円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値に当たる112.25円レベルが最初の抵抗で、抜ければ112円半ば、25日線などが位置する112.70-75円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチでみたテクニカルポイントにあたる111.60円、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.45-50円などを目指す展開に。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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