<< 東京市場の動き >>
4日の東京市場は、ドル高・円安。とくに夕方にかけて、米長期金利の上昇もあり、ドルは上げ幅を拡大させている。
ドル/円相場は111.05円前後で寄り付いたのち、当初はドルが小安い。111円を割り込み、110.90円レベルまで軟落したが切り返すと、その後は一貫してドル堅調裡となった。日経平均株価は小幅ながら4日続落となったものの、中国株や米株先物が強含みで推移したうえ、米10年債の利回り上昇もあり、日中高値である111.40円レベルを一時示現している。16時段階でも、そのまま日中高値圏を維持し、欧米時間を迎えていた。
なお、ポンドやカナダドル、ランドなどもなかなか荒っぽい変動をたどったが、値幅としてはさほど大きくなく、従来のレンジ内にはとどまっている。
一方、材料的に、注視されていたものは、引き続き「トランプファクター」。
自身のツイッターで、前日FOXにて否定コメントが報じられた「米国内最大労組トップの政策批判に反論した」ことが明らかになるなか、続けて「セッションズ司法長官が先月、11月の中間選挙で当選が有力視されている共和党下院議員2人を起訴したこと」も強く批判している。また、それとは別に、産経新聞が「トランプ氏の『真珠湾』発言報道、日時・場所・文脈ともまったく異なる」−−などと報じ、物議を醸していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、東京時間に、先週末からドルの上値を阻んできた111.20円レベルを超えてきた。一時111.40円レベルを記録している。素直に解釈すれば、ドルの上値余地が広がったと言ってよく、次のターゲットは8月29日高値の111.83円か。しかし、テクニカルには今週1週間を通して111.60円レベルに一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置し、これが抵抗になる可能性が取り沙汰されているだけでなく、本稿でも再三再四指摘しているように今年の相場によくみられる傾向が「いったんレンジを抜けたように見えるが、再び回帰してくる」という『ダマシ』になる。ドルの上値を積極的に買っていくには、慎重さが求められるかも知れない。
材料的にも、今週は注目要因が少なくないが、その多くは明日以降に集中している。一例を挙げると、「米加がNAFTA再交渉に向けた会談(5日)」、「米雇用統計発表(7日)」−−などとなるだろう。したがって、それら重要材料の多くが控えるなか、このままイケイケドンドンで上値を追うことが出来るのかを疑問視する声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、日足は一目均衡表の先行帯の雲に依然として取り込まれているものの、その上限(111.55-60円)超えをうかがう様相を呈している。ザラ場ベースの動きは当然として、NYクローズにおいても上抜けることが出来るかどうか、攻防が注視されているようだ。
なお、仮に上放れた場合には8月29日高値の111.83円が次のターゲットで、それも超えれば8月1日高値の112.15円を目指す展開が見込まれている。
一方、材料的に見た場合、8月のISM製造業景況指数など幾つかの重要な米経済指標が発表されるほか、英国におけるカーニー中銀総裁らの議会証言や、エバンス・シカゴ連銀総裁がアルゼンチン中銀主催の会合に出席といった材料にも一応要注意。
そうしたなか、ブルームバーグは「アルゼンチン大統領の経済危機回避策、市場の審判は米祝日明けに」と報じており、本4日の同国金融市場の動きに強い警戒感を示していたことが気に掛かる。「米国の裏庭」とも言われる存在だけに、波乱の展開をたどるようだと米国も、その影響は避けられそうにない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.85-111.85円。ドル高・円安方向は、一目の雲の上限が位置する111.55-60円が最初の抵抗。抜ければ111.83円や112.15円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日の東京時間安値も近い110.85円レベルにまず注視。ただ、割り込んでも110円半ばにかけては、一目の雲の下限なども位置しており、かなり底堅いイメージだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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