<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場は、依然としてレンジ取引。111円後半のわずか20ポイント強という狭いレンジでの一進一退で、方向性は乏しかった。
ドル/円相場は111.65-70円で寄り付いたのち、一部クロスの動きに連れ、111円半ばまで値を下げるも下値は堅い。その後はジリジリとドルが買い戻されると、狭いレンジ内での「行って来い」となった。16時段階では寄り付きに近い111.70円レベルで推移し、欧米時間を迎えている。
なお、依然としてトルコリラはじり安傾向が続く展開で、対円では15日以来の17円割れ。まだ若干遠いものの、13日に記録したヒストリカルローの15.25円レベルが視界内に捉えられてきた感も否めない。
一方、材料的に、注視されていたものは、NAFTA再交渉を中心とした「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、米大統領が「カナダは合意に加わりたがっている」、メキシコ大統領による「カナダを含む3ヵ国合意を楽観」−−などといった発言が聞かれるなか、米紙WSJは社説で「米・メキシコ貿易合意は改悪」とした辛辣な見方を掲げていた。
対して後者は、トランプ氏から「米韓軍事演習を行う理由は現時点でない」「米国は北朝鮮とうまくやっている」などというポジティブな発言が聞かれたものの、一方で米インターネットメディア「VOX」が「米大統領、『北の終戦宣言署名』を約束か」としたスクープを報じたことが物議を醸す結果となっている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末22日以降形成していた110.90-111.50円という、非常に狭いボックス圏を昨日NY時間に上抜けてきた。一時111.80円台までドルは値を上げている。形成しているレンジを上抜けしたことからすれば、基本的なリスクは上向き、ドルは112円台回復に向けた続伸が期待出来そうだ。ただ、何度も指摘しているように、今年の相場の特徴のひとつが「レンジを抜けたと思いきや、枠を若干広げただけで、やがてレンジ内に回帰する」−−ということ。つまり、ドルの上値トライが「ダマシ」に終わる可能性もゼロではない。
材料的には、トルコや英国を中心に欧州ファクターが市場動意をけん引している感を否めない。本日も、要人による発言などの報道には要注意だ。ただ、ドル/円については、再び脚光を浴びつつある「日米貿易問題」が相場の波乱要因となりそう。
そうしたなか、個人的にはムニューシン米財務長官がNAFTA再交渉をめぐり、「メキシコとの大筋合意に、通貨政策の透明性確保を求める条項を盛り込んだ」などと発言したことが気になっている。「米国がすべての貿易相手国に対し、重点的に取り組んでいる事項」(財務長官)だけに、日米協議についても、議題に挙がることは確実だろう。
テクニカルに見た場合、先週末22日からのレンジ上限である111円半ばを上抜けており、一目均衡表では、今週1週間を通してほぼ横ばいに推移する雲の上限が位置する111.60円レベルに絡む値動きとなっている。ザラ場ベースの動きもさることながら、NYクローズでしっかりと超えることが出来るのかどうか、攻防に注目したい。
なお、フィボナッチの観点では、7月高値113.17円を起点とした下げ幅の61.8%戻しは111.85-90円で昨日のNY高値に近い。一目の雲の上限を抜けた場合のターゲットか。
一方、材料的に見た場合、7月の個人所得/個人支出や、同PCEデフレーターといった米経済指標の発表が予定されている。ここ最近発表される米経済指標は良好なものが目に付くだけに、本日についても市場の期待感は強いようだ。
米経済指標の発表を除くと、やや材料に欠けるものの、米国とカナダによるNAFTA再交渉の行方など持ち越された懸案事項は少なくない。それらの続報などは一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.10-112.10円。ドル高・円安方向は、昨日記録したドル高値の111.80-85円が最初の抵抗。抜ければ112円前後、そして1日高値の112.15円がターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、これまでの抵抗だった111円半ばあるいは111.35-40円などが目先のサポートか。実際、昨NYに上抜けたのちは、一度も割り込んできていない。ただ、割り込むようだと移動平均の25日線が位置する111.10円前後などが意識されそう。
オーダー/ポジション状況
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