ドル円見通し 8月24日高値を上抜いて一段高(8/30)

27日朝高値111.34円の後は28日昼の111.35円、29日昼の111.31円と111.30円台で戻り売りにつかまる持ち合いで推移していた。

ドル円見通し 8月24日高値を上抜いて一段高(8/30)

【概況】

8月24日高値111.48円で15日高値111.42円を上抜いたものの24日夜へ失速し、27日昼には110.93円まで下げた。その後は27日夜に110.94円、28日夜に110.95円と111円を割り込むものの切り返し、27日朝高値111.34円の後は28日昼の111.35円、29日昼の111.31円と111.30円台で戻り売りにつかまる持ち合いで推移していた。

米国とメキシコのNAFTA再交渉合意報道等による貿易戦争全面化へのリスク感後退と株高がクロス円での円安要因となっていたが、28日夜にかけては同じくリスク感後退を背景にユーロやポンドが上昇したことでドルストレートでのドル安が上値を抑えていた。

29日夜に米商務省が発表した4〜6月期の米GDP改定値は年率換算で前期比4.2%増となり、速報値の4.1%増から上方修正され、市場予想の4.0%を上回った。前期の2.2%増から大幅上昇であり、伸び率は2014年7〜9月期以来の高水準となった。

発表当初の動きは鈍かったものの徐々にリスクオン心理が拡大し、米国株式市場はダウが4日続伸、SP500も史上最高値を更新、ナスダック総合指数は4日連続で史上最高値を更新した。株高の他、NAFTA再交渉についても残るカナダが合意へ向けてUSTRと協議入りし、トランプ大統領が月末までに合意する可能性があると述べたこともドル円にはプラスとなった。

EU離脱交渉においても英国及びEU双方にとって良い合意へ向かう可能性が高まったこと等でポンド、ユーロが上昇したが、これはユーロ円やポンド円等でのクロス円での円安要因となり、ドルストレートでのドル安よりも円安が勝る状況となってドル円上昇要因となった。

【ユーロ高、ポンド高と並走してドル高円安】

NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉問題では米国とメキシコが27日に大筋合意し、これに残るカナダも加わる方向付けとなった。29日はカナダと米通商代表部(USTR)が交渉入りし、カナダ側も合意へ向けて前向き姿勢を示した。またトランプ米大統領も29日には「31日までには大筋合意できる可能性がある」と述べている。

8月16日午前に米中商務次官級協議開催が報じられたことで貿易戦争全面化リスクが後退し始め、24日には中国人民銀行が人民元安抑制へ動きだしたことで金融市場全般がリスクオンへ舵を切り始めた。24日夜のパウエル議長ジャクソンホール講演もハト派的な内容となり、さらにNAFTA再交渉が合意へ向けて進展したことも加わって株式市場は強気な展開となっている。

米国が仕掛ける貿易戦争問題のため、リスク警戒感が強まればドル高、弱まればドル安となりやすく、ドル指数が8月15日高値から下落基調を継続しているようにドル安感が強まっている。これと並行してクロス円での円安が交錯し、両者の力関係が均衡すると27日から29日の日中までのように持ち合いとなってしまう。

しかし株高によるリスクオン心理が強まれば債券から株式への投機マネーのシフトにより米長期債が売られて長期金利上昇となり、ドル円としては上昇しやすくなる。29日夜は均衡が崩れてドル高円安に走ったということだろう。

【7月19日からの下落に対する半値戻しを超える】

7月19日高値からの二段下げで8月21日まで下げたが、21日当日から日足は3本連続陽線=赤三兵で戻した。24日高値からいったん下げたが28日を小陽線とし、29日も続伸の陽線を付けて戻り高値を切り上げてきた。

移動平均では26日線や52日線を再び上抜き返しており、一目均衡表でも21日時点では先行スパンから転落したもののスパン内へ切り返し、29日夜の高値では先行スパンからわずかに上抜け始めている。このため3月26日底からの上昇トレンドは5月21日高値までを一段目の上昇とし、7月29日からの小規模二段調整安を経て、三段上げの三段目に入ってゆく可能性が出てきたと思われる。

三段上げに入るのは7月19日高値を上抜くところまで上昇する必要があるが、7月19日からの下落幅に対する半値戻しとなる111.46円を超えてきているので、7月19日高値を試す挑戦権を得た状況に来ている印象だ。

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月21日安値を前回のサイクルボトム、24日昼高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りとして24日から28日の日中にかけての間への下落を想定していた。

しかし28日昼への上昇で27日朝の戻り高値を超えるところまで戻したために29日朝時点では27日昼安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる29日の日中から31日にかけての間への上昇を想定した。29日深夜へ一段高となり、その後も111.50円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとし、上値目途を112円台序盤とする。

ただし24日高値から3日を経過しているのですでにトップアウト注意期に入っている。

111.50円割れを切り返すうちは上昇継続性ありとするが、111.50円割れから続落し始める場合は弱気転換注意、111.20円割れからは弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる30日午後から9月3日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日の日中までは先行スパンを挟んだ持ち合いだったが、29日夜の一段高により遅行スパンが好転、先行スパンからも大きく上抜けてきた。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として先行スパン試しへの下落を想定する。

60分足の相対力指数は29日深夜で80ポイントまで上昇しているため高値警戒となっているが、まだ(相場が高値を更新しても指数のピークが切り下がる)弱気逆行を見せていない。

高値更新時に指数のピークは下がりやすい状況にあるので弱気逆行が出現する場合は反落入り警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.50円を支持線、29日深夜高値111.82円を抵抗線とみておく。
(2)111.50円割れ回避のうちは上昇余地ありとし、29日深夜高値越えからは112円台序盤を目指す上昇を想定する。112円到達ではいったん売られやすいとみるが、111.50円以上を維持するうちは31日も高値を試す可能性が残るとみる。
(3)111.50円割れからは弱気転換注意とし、111.20円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して111円前後試しを想定する。111円割れは再び買い戻しも入りやすいとみるが、27日安値110.93円を割り込む下落となる場合は8月21日以降の上昇基調が崩れる可能性が出てくると注意する。

【当面の主な予定】

8/30(木)
トルコ市場休場
10:30 (豪) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 6.4%、予想 -2.0%)
16:55 (独) 8月 失業者数 前月比 (7月 -0.6万人、予想 -0.8万人)
16:55 (独) 8月 失業率 (7月 5.2%、予想 5.2%)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 112.1、予想 111.9)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感 確定値 (速報 -1.9、予想 -1.9)
21:00 (独) 8月 消費者物価指数 速報 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 個人消費 前月比 (6月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.5万件)

8/31(金)
08:30 (日) 7月 失業率 (6月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 8月 東京都区部消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 0.8%、予想 0.8%)
08:50 (日) 7月 鉱工業生産・速報値 前月比 (6月 -1.8%、予想 0.2%)
10:00 (中) 8月 国家統計局 製造業PMI (7月 51.2、予想 51.0)
14:00 (日) 7月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (6月 -7.1%、予想 -4.3%)
18:00 (欧) 7月 失業率 (6月 8.3%、予想 8.2%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価指数、速報 前年同月比 (7月 2.1%、予想 2.1%)
22:45 (米) 8月 シカゴ購買部PMI (7月 65.5、予想 63.0)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者態度指数・確報 (速報 95.3、予想 95.5)

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