ドル円 膠着続く公算,主役は欧州通貨(8/29夕)

29日の東京市場は、揉み合い。111円前半のわずか20ポイント程度という非常に狭いレンジでの一進一退に終始しており、方向性はうかがえなかった

ドル円 膠着続く公算,主役は欧州通貨(8/29夕)

<< 東京市場の動き >>

29日の東京市場は、揉み合い。111円前半のわずか20ポイント程度という非常に狭いレンジでの一進一退に終始しており、方向性はうかがえなかった。

ドル/円相場は111.15円前後で寄り付いたものの、新規材料に乏しいこともあり、積極的な価格変動は見送られている。結局、東京時間は111.10-35円といった非常に狭いレンジ取引に終始。

日経平均先物は7日連続の上昇となったが、上げ幅がわずか34円にとどまったこともあってか、為替市場への影響は限定的だった。16時段階では111.20-25円で推移し、欧米時間を迎えている。

ただ、為替市場全般で動きが鈍かったのかというと、そうではなく、豪ドルなどのオセアニア通貨やトルコリラはむしろ荒っぽい変動。とくに豪ドル/円は、寄り付きから一時上値を試すも続かず、そののち反落に転じるという動きで、往復の値幅は1円近くに達していた。

一方、材料的に、注視されていたものは、「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。

前者は、米国とメキシコでNAFTA再交渉が合意となるなか、「米、今後は対日協議に照準」(毎日新聞)との見方が台頭。そのなかで、米紙ワシントン・ポストが「トランプ米大統領、安倍首相との会談時に『真珠湾』持ち出し日本に圧力」−−と報じるなど、日米交渉の攻防の激しさを懸念する声が少なくなかったようだ。

対して後者は、米紙ワシントン・ポストによる「日本と北朝鮮の情報当局高官が7月にベトナムで極秘接触していた」との報道や、「マティス米国防長官が米韓軍事演習の再開を示唆」したことなどが思惑を呼んでいた。

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昨日、「先週末22日以降は110.90-111.50円といったかなり狭いボックス相場をたどっている。さすがに60ポイント幅というレンジは狭すぎて長期化するとは思われない」−−などとレポートしたが、それから一日が経過した本稿執筆段階でも60ポイントの極狭レンジ内での動きが続いている。

いずれにしても、引き続き前述した111円前半を中心とした足もとの狭い取引レンジを如何に、そして上下どちらに放れるのか、その方向性をしっかりと見極めたいところだ。

材料的には、トルコやギリシャ、イタリア、英国など欧州を取り巻く要因が多く、市場動意をけん引している感を否めない。本日も、それらに絡む報道などには注意を払いたい。

ただドル/円については、再び脚光を浴びつつある「日米貿易問題」が相場の波乱要因か。なお、とくに会見の予定はないが、WP紙による「日本に圧力」報道について、大統領自身がSNSを使用し、反論などコメントをする可能性も指摘されていた。

テクニカルに見た場合、一目均衡表では依然として日足が先行帯の雲の中。今週は1週間を通して110.60-111.60円レベルで推移する雲に日足が埋没しており、方向性は乏しい状況だ。

なお、以前から何度もレポートしているように、今年は狭いレンジ内での揉み合いをたどることが少なくないものの、前述したように「先週末22日以降形成している110.90-111.50円のレンジ」はさすがに狭すぎる。

いつレンジブレークをしても良いように、備えだけはしっかりとしておきたい。

一方、材料的に見た場合、4-6月期のGDP統計改定値や7月の中古住宅販売成約指数といった米経済指標の発表が予定されているほか、米財務省による7年債入札も実施される見込みで、それらは当然要注意。

ちなみに、前者である米経済指標だが、先日発表された8月の米消費者信頼感指数が17年ぶりという高水準になったこともあり、マーケットでは全般的に楽観的な見方が優勢になりつつある。したがって、逆にハシゴを外されたときの失望に注意が必要かもしれない。

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ドル円日足


そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.80-111.60円。ドル高・円安方向は、本日のドル高値であり、今週高値も近い111.30-35円最初の抵抗。抜けても前回高値の111円半ば、一目の雲の上限が位置する111.60-65円などに次の抵抗が観測されている。

対するドル安・円高方向は、移動平均の25日線や一目均衡表の基準線が位置する111円前後が目先のサポートに。時間足を見ると、今週だけで最低3度トライしたが割り込めておらず、かなり強いポイントとなっている感を否めない。

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