【概況】
8月24日高値111.48円で15日高値111.42円を上抜いたものの24日夜へ失速、週明けも27日昼、夜、28日夜と111円を割り込む場面をみせつつ111円台序盤を中心とした持ち合いで推移している。28日午前は株高を好感した上昇で111.35円を付けて27日朝の戻り高値111.34円を超えたもののその後はドル安感が勝って失速、28日深夜以降は米長期金利上昇もあってややドル高円安で推移している。
米コンファレンス・ボードが発表した8月の米消費者信頼感指数は133.4となり前月の127.9から上昇して市場予想の126.7を上回った。これは2000年10月以来17年10か月振りの高水準だった。
米長期金利の指標である10年債利回りは前日比0.03%上昇の2.88%へ、30年債利回りは0.04%上昇の3.03%となった。
米国とメキシコのNAFTA再交渉が合意したことにより米国の仕掛ける貿易戦争全面化懸念が緩んだことから28日の株式市場は楽観優勢となり、日経平均はこの日の高値からは反落して引けたものの6日続伸、NYダウも小幅上昇にとどまったものの3日続伸、ナスダック総合指数は史上最高値を更新した。
貿易戦争問題は米国が仕掛ける保護主義であり、関税強化や先行き不透明感のリスクであり、リスクが強まると投機マネーはドルへ還流して人民元や新興国通貨安を招き、リスクが緩めばドル安という反応を見せてきた。
8月16日午前に米中商務次官級協議開催が報じられたことで人民元安や新興国通貨安にブレーキがかかり、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は8月15日をピークに下落に転じた。8月24日には中国人民銀行が人民元基準値算出方式を変更して元安抑制へ動きだしたとして人民元が上昇、さらにジャクソンホールでのパウエル米連銀議長講演内容がハト派だったとしてドルは続落した。
しかし米中通商摩擦が米国有利に妥協的解決へ向かったり、NAFTA再交渉も米国有利の妥協となれば日本にとっては特に自動車産業においてはマイナス要因となるため、貿易戦争全面化リスク後退によるリスクオンといっても単純に株高円安反応へ進み切れない。ドルが下がれば円高圧力もぶり返す。21日以降は日経平均が連騰したためにドル円も24日の日中までは上昇したが、ドル安が進んだ24日夜からは円安にもブレーキがかかっている。
【株高連鎖での円安と貿易戦争リスク後退でのドル安が交錯して持ち合い】
株高が継続すればリスクオン心理もさらに拡大してドルストレートでのドル安、クロス円での円安が交錯してくる。
もし株高連動でクロス円上昇が勝ればドル円は円安ドル高となり、24日高値を上抜いてくればドル円の先高感も強まってくると思われる。しかしドル安が相対的に意識されたり日米通商摩擦問題でのプレッシャーがテーマ化してくれば人民元上昇と同様の背景で円高へ向きやすくなる可能性がある。
株高も過剰に進めば米国債売りにより米長期金利が上昇して日米長期金利差が注目されてドル高円安へ向きやすくなるところもあり、28日は米消費者信頼感指数が強かったことで米長期金利上昇となり、ドルが反発する場面も見られた。
このように状況を見定め切れないことを反映してドル円も24日は若干の高値更新にとどまって失速し、その後を持ち合いで推移しているというところと思われる。
【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月21日安値から上昇してきたが、24日昼高値でサイクルトップを付けて弱気サイクルに入った。今回のサイクルにおける安値形成期は24日から28日の日中にかけての間と想定されていたが、28日昼への上昇で27日朝の戻り高値を超えるところまで戻したため、27日昼安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。
次のトップ形成期は24日昼高値を基準として29日の日中から31日にかけての間と想定される。
すでに24日高値から3日目に入っているので27日昼安値を割り込む場合は弱気サイクル入りとなるが、底割れ回避のうちは29日夜から30日にかけてはまだ上昇を継続しやすい時間帯と思われる。27日昼安値割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる30日から9月3日にかけての間への下落へ向かうと考えられる。
60分足の一目均衡表では28日夜の下落で先行スパンから一時的に転落したがすぐに切り返し、29日午前では先行スパンを上抜き返している。
24日高値以降は持ち合い型で往来しているため遅行スパンは実線と交錯を繰り返して方向感に乏しい。
先行スパンを上回るうちは上向きとし、28日昼高値越えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、27日昼安値割れからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、27日安値110.93円を支持線、28日昼高値111.35円を抵抗線とみておく。
(2)110.93円割れ回避のうちは上昇余地ありとし、111.35円越えからは24日高値111.48円試しへ向かうとみる。111.50円前後でダブルトップ形成の可能性があるため、その後に111.25円を割り込む場合はダブルトップからの下落再開注意とするが、高値更新なら112円台序盤を目指す上昇へ向かいやすくなるとみる。その条件は株高がさらに進むこと、リスクオン心理拡大材料の追加と思われる。
(3)111.15円以下での推移が続く場合は下向きとし、27日安値割れからは弱気サイクル入りとして110.50円前後への下落を想定する。さらに110.75円以下での推移が続く場合は30日、31日へ続落しやすくなるとみる。また貿易戦争問題等の報道次第では8月15日夜への下落時や20日夜からの下落時並みの下げ方にもなりえると注意する。
【当面の主な予定】
8/29(水)
14:00 (日) 8月 消費者態度指数・一般世帯 (7月 43.5、予想 43.3)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 10.6、予想 10.6)
21:30 (米) 4-6月期 四半期GDP、改定値 前期比年率 (速報値 4.1%、予想 4.0%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 0.9%、予想 0.5%)
8/30(木)
トルコ市場休場
07:45 (NZ) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 -7.6%)
08:50 (日) 7月 小売業販売額 前年同月比 (6月 1.8%、予想 1.2%)
10:00 (NZ) 8月 NBNZ企業信頼感 (7月 -44.9)
10:30 (豪) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 6.4%、予想 -2.0%)
16:55 (独) 8月 失業者数 前月比 (7月 -0.6万人、予想 -0.8万人)
16:55 (独) 8月 失業率 (7月 5.2%、予想 5.2%)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 112.1、予想 111.9)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感 確定値 (速報 -1.9、予想 -1.9)
21:00 (独) 8月 消費者物価指数 速報 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 個人消費 前月比 (6月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.5万件)
オーダー/ポジション状況
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