<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、ややドル高・円安。当初はドル売りでスタートするも続かず、その後は徐々に買い戻しが優勢となった。
ドル/円相場は、110.70円前後で寄り付いたのち、前日欧米市場の流れを継ぎドル売り先行。日中安値である110.45円レベルまで値を下げたが攻め切れず。むしろクロス中心の円売りもあり、ドル/円も反発に転じると一転して反騰高。一時は111円に接近する動きをたどっている。その後は高値圏での揉み合いから、16時時点では110.80-85円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、そうしたなかトルコリラが小高く、対円では先週末10日以来の19円台を回復している。下値リスクはかなり軽減されたようだ。
一方、材料的に、もっとも注視されていたものは、「トルコ問題」と「米貿易問題」。
前者については、サンダース米大統領報道官から「トルコリラ安、米制裁と無関係」「トルコの対応は誤ったものであり、誠に遺憾」との発言が聞かれるなか、トルコの通信社アナトリアは「トルコ貿易相が米国の関税に対するWTOプロセスを開始する意向を示した」と報じていた。
対して後者は、「メキシコ経済相、依然8月中に米国とのNAFTA合意目指す」「メキシコ経済相とカナダ外相が電話会談、NAFTA情勢を協議」との報道に加え、WSJ紙が「トランプ米大統領、関税が米鉄鋼業界を救うだろうと発言した」−−と報じ物議を醸していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日の東京高値111.43円に対して、NY安値は110.44円。つまり、一日で高値から1円程度値を下げた計算になるが、ドルは依然として底堅い。本日東京時間には反発に転じると、一時111円近くまで小戻す局面も見られている。予断は許さないが、ドルの上下ともに攻めにくく、結局のところ居心地の良い110-111円台での一進一退、やや広い格好でのレンジ取引がしばらく続く可能性も否定出来ないだろう。
材料的には、米中を中心とした「貿易問題」への警戒感がくすぶるなか、ここ最近マーケットをけん引してきた「トルコ問題」についてはやや小康状態を保ちつつある。また後者の「トルコ問題」に関しては、材料面ではなく、トルコリラが高金利通貨という環境化、来週同国のインターバンク市場が数日間休場(「犠牲祭」にて)となることを懸念する声も聞かれていた。つまり、高金利通貨のショート・ポジション保有に耐えられず、目先はいま一段の戻りを見込む声も少なくない。
テクニカルに見た場合、昨日一目均衡表の観点から、「現在急上昇をたどる先行帯の雲の上限の攻防に警戒」する旨を指摘した。ちなみに、一目の雲の上限は14日に110.45-50円し、ドルのサポートとして寄与したものの、15日は110.95-00円に位置しており、NYクローズで維持することが出来なかった。そして、本日は111.15-20円に位置しているのだが、本稿執筆段階・ザラ場ベースながら日足は雲の上限を下回り、雲の中に埋没した状況となっている。ドル強気派の立場からすると、なるべく早く上限を再び回復したいところだが、果たして実際のところはどうか。攻防に要注意だ。
一方、材料的に見た場合、 8月のフィラデルフィア連銀景況指数や7月の住宅着工件数といった米経済指標が発表される。昨日発表された最新8月分のデータは、なかなかの好数字で、それそのものはドルの支援要因だった。本日も、予想を上回る内容となれば、米景気回復への期待が高まることになり、再びドル買い要因となる可能性もある。また、それ以外では「米貿易問題」をはじめとする、これまでの懸案事項に関する発言や、続報などに要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.40-111.40円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値である110.95円レベルが最初の抵抗。ただ、上抜ければ一目の雲の上限が本日位置する111.15-20円や昨日のドル高値である111.40-45円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、それまでサポートだったが、昨日のNYに続き、本日東京でもトライしたが割り込めなかった110.40-45円レベルの攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、13日安値110.10円が視界内に捉えられそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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