ドル円ドル高とともにクロス円では円が全面高に(8/16)

14日には前日まで4日間続落していたNYダウが反発して過度の悲観が後退したために111円超え、さらに15日午前には111.42円まで続伸していた。

ドル円ドル高とともにクロス円では円が全面高に(8/16)

【概況】

8月10日から13日にかけてのトルコリラ大暴落によるリスク回避感で13日には110.10円まで下げたが、110円割れ回避とその後のリラ暴落が一服、14日には前日まで4日間続落していたNYダウが反発して過度の悲観が後退したために111円超え、さらに15日午前には111.42円まで続伸していた。しかし15日の10時過ぎに中国人民銀行によるドル人民元の基準値が引き上げられたことをきっかけにその後のオフショア市場でドル高人民元安が加速、年初来高値を更新して6.9元を超えてきたことから再びリスク回避感が強まり始めた。

トルコ問題でも米国による制裁、関税強化に対してトルコ側も対抗関税拡大へ動いたため米土間の緊張はさらに高まる可能性ありとして先行き不透明感が広がり、NYダウは再び反落、安全資産として米10年債は買われて利回りは2.86%へ低下した。ドルは対ユーロ、ポンド、豪ドル等で上昇してメジャー通貨の加重平均であるドル指数は年初来高値を更に更新した。その一方でリスク回避感からクロス円では円が全面高となり、ドル円でも円高が勝って深夜の急落で110.43円まで下げた。その後もあまり戻せずにいる。

【新興国通貨不安】

トルコリラの暴落は14日、15日の反発によりひとまず落ち着いているが先行きは見えない。インドルピーは安値圏に止まったまま。ロシアルーブルや南アランドも15日は下落再開の動き。アルゼンチンペソも安値を更新した。総じて新興国通貨安への懸念は継続しており、トルコリラも相当な変動率の中での暴落と反発のためさらに暴落再開へと進みかねない懸念を抱えている。
しかし最大の問題は人民元安であり。米中貿易戦争全面化の中での人民元安が世界景気の先行きを不透明とし、非鉄、貴金属等国際商品の下落を招いている。米国が仕掛ける貿易戦争のため、投機マネーはドルに還流してドルストレートではドル高となるが、リスク回避感も含めてクロス円では円が全面高となりやすい状況にある。

8月13日から15日への反騰は1.33円幅だったが、7月31日の日銀金融政策発表から反騰した時が1.38円幅であり、ほぼ同様の短期反騰を実現して下げ再開に入った印象だが、15日夜の下落は8月1日高値からの反落開始時よりも厳しい下げ方となっている。株安、人民元安がさらに拡大する場合はドル円も13日安値を割り込んで一段安へ向かいかねない状況となっている印象だ。

トランプ大統領は15日のツイッターで「大統領として引き継いだ最低で不公平な貿易協定とは対照的に、関税は米国を素晴らしい新たな貿易協定に導いている」「他国が偉大な米国の富を盗み取ることは許されるべきではない。もうおしまいだ」と述べており、関税戦争拡大継続姿勢を強調しているので、米中貿易戦争問題、新興国通貨安不安はまだ継続しそうな印象だ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13日午後安値からの反騰が13日深夜高値を超えて二段上昇へと発展したため、13日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、前回のサイクルトップを9日夜高値として今回の高値形成期を15日の日中から16日夜にかけての間と想定した。また15日午前時点で既に前回サイクルトップから4日目に入っていたのでトップアウト注意期とし、111円割れを弱気転換注意とし、14日深夜安値110.75円割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる16日午後から20日にかけての間への下落を想定するとした。111円割れからさらに14日深夜安値割れと崩れたため、15日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りと考える。安値から0.50円以上の反騰となりさらに続伸の場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性があるが16日午後、夜にかけてはまだ安値を試しやすい時間帯と思われる。

60分足の一目均衡表では15日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転の場合は先行スパン試しとするが、先行スパンを突破できない内はその後の遅行スパン悪化から下げ再開となる可能性を優先する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14日深夜安値110.43円を下値支持線、110.80円を上値抵抗線とみておく。
(2)110.80円を下回る内は14日深夜安値割れからの一段安警戒とし、安値更新からはまず13日安値110.10円試し、底割れなら109.50円前後を目指す下落を想定する。また110.50円以下での推移が続く場合は17日にかけてもさらに一段安へ進みやすいと考える。
(3)110.80円から111.00円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、111円超えからは新たな強気サイクル入りの可能性を踏まえて15日午前高値111.42円試しへ向かう可能性が出てくるとみるが、そのためにはリスクオン心理が再び高まる必要があると思われる。

【当面の主な予定】

8/16(木)
08:50 (日) 7月 貿易統計(通関ベース) (6月 7214億円、予想 -412億ドル)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 5.09万人、予想 1.50万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 5.4%、予想 5.4%)
17:30 (英) 7月 小売売上高指数 前月比 (6月 -0.5%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 6月 貿易収支 (5月 165億ユーロ )
21:30 (米) 7月 住宅着工件数 年率換算件数 (6月 117.3万件、予想 126.0万件)
21:30 (米) 7月 建設許可件数 年率換算件数 (6月 127.3万件、予想 131.0万件)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 25.7、予想 22.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件)

8/17(金)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期卸売物価指数(PPI) 前期比 (前期 0.2% )
08:30 (豪) ロウ豪中銀(RBA)総裁、半期議会証言
17:00 (欧) 6月 経常収支 (5月 224億ユーロ )
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数(HICP、改定値) 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.1%)
23:00 (米) 7月 景気先行指数 前月比 (6月 0.5%、予想 0.4%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (7月 97.9、予想 98.0)

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