<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場は、1円を超えるドル安・円高。それも、「寄り付き高・大引け安」に近い値動きで、ドルの弱さが目についた。
ドル/円相場は、寄り付いた110.50-55円を日中高値に軟調推移。当初は110.40-50円で底堅さを見せたものの、いったん割り込むと一気に110円前後まで下落、やや持ち直したが再び値を崩すと夕方にかけては109円半ばまで続落している。寄り付きから冴えなかった日経平均株価だが、大引けベースで前日比401円安と大幅安をたどったことが嫌気されていた面もあったようだ。
16時時点では109.65-70円の日中安値圏で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「米貿易戦争懸念」について。
前者は、早朝に「韓国と米国が8月の軍事演習を正式に中止へ」との発表がなされるなか、日経新聞が「北委員長が19日にも訪中へ」と報じ、続けて聯合ニュースによる「北朝鮮の航空機1機が平壌から北京に向け出発」−−などといった報道が観測されている。対して後者は、トランプ米大統領が「中国に関して一段の措置取る必要」と発言、さらに「米通商代表部(USTR)に関税で2000億ドルの中国製品確認するよう指示した」ことが明らかになっている。なお、そうした米国に対し、中国当局は早々に、「米国が新たな輸入関税リスト公表なら強力な対抗措置を取るだろう」といった見解を示していた。
<< 欧米市場の見通し >>
当コーナーでも、マーケットを取り巻く材料として、ドルの支援要因である「日米などの金利差」と、逆にドルの弱材料の「米中を中心とした米貿易戦争懸念」を挙げたうえで、昨日筆者は「現状は強弱材料の綱引き状態で微妙なバランスを保っている感がある」−−とレポートした。しかし、そんなバランスが、本日の東京時間に崩れると、流れは一気に後者優勢となった感を否めない。リスクはドル安方向にバイアスか。
いわゆる「第一波」については、消化した感もあるが、このあと中国による報復措置も予想されるなど、さらなる泥沼化の様相を呈する恐れもある。再びドル安が進展する展開にも注意を払いたい。なお、テクニカルには、110.20-25円に位置し、ドルのサポートとして意識されていた移動平均の200日線を現在ザラ場ベースとはいえ、大きく割り込んでいる。現状であれば、戻ったところで200日線程度までが精々であるのかもしれない。
テクニカルに見た場合、前述した200日線だけでなく、109.95円レベルの25日線あるいは109.75円レベルに位置する一目均衡表の基準線など、複数のサポートを一気に下回る展開となっている。ドルの続落にも要注意。
ただ、一目均衡表の先行帯の雲が現在急上昇中で、本日109.05円レベルに位置する上限は来週初めにかけて109円半ばまで水準を切り上げてくる。一連の過程で、ドルのサポートとして寄与するのか、それも日足が雲の中に埋没する展開となるのか、先々の展開も気になるところだ。
一方、材料的に見た場合、5月の住宅着工件数ならびに同建設許可件数といった米経済指標が発表される予定だが、基本的に影響は限定的か。よほどの数字が出ない限り、インパクトは限られたものに留まりそうだ。
しかし、本日はドラギECB総裁やブラード・セントルイス連銀総裁がプレゼンテーションを行ったり、パネル討論会に参加したりする予定とされ、その内容を警戒する声もある。また、先で取り上げた米中貿易戦争懸念、中国サイドからの具体的な報復措置発表なども気掛かりだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.10-110.30円。ドル高・円安方向は、本日の東京時間に割り込んできた一目の基準線(109.75円レベル)や移動平均の25日線(109.95円レベル)のほか、200日線(110.20-25円)など、近いレベルにも抵抗が多い。ドルの上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、まず東京安値の109.55円レベルの攻防が注視され、割り込むようだと8日安値の109.20円、一目の雲の上限が位置する109.05円レベルなどがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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