<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、ドル高・円安。ザラ場ベースでは、これまで上値が重かった移動平均の200日線が位置する110.15-20円を上抜け、一時110円半ばまで上昇するなどドルの強さが目に付いた。
ドル/円市場は、110.00-05円で寄り付いた直後に、109.90-95円の日中安値を記録したが、そののちは終日ドルが堅調裡。実施された米朝首脳会談の一挙手一投足をにらみつつ、マーケットでは終始期待感が高く、ドル買い・円売りが優勢な展開に。一時110.50円レベルまで値を上げている。
その水準ではさすがに上げ渋ったものの底堅く、16時時点でも110.35-40円の日中最高値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、実施された「米朝首脳会談」について。
早朝から、「ホテルを出発」「会談場所に到着」−−などと、トランプ大統領と金委員長の両首脳の一挙手一投足が伝えられるなか、2人だけで40分ほどの会談を実施、そののち閣僚や側近を加えた拡大会談が行われている。また、終了後には「朝鮮半島の完全非核化を約束」という内容を含めた包括合意文書に署名したという。
なお、そうしたなか、別に「クドロー米NEC委員長が心臓発作で入院」などといった報道があり、一時マーケットが騒然となった。
<< 欧米市場の見通し >>
注目度の高かった米朝首脳会談は、取り敢えず無事に終了。内容的にも精査する時間は必要だろうが、取り敢えず「朝鮮半島の完全非核化を約束」を勝ち取ったとされることで、アジアの地政学リスクがさらに後退することを期待する声も少なくない。為替市場においてはドル高の支援要因となる可能性もありそうだ。ちなみに、110.15-20円に位置する移動平均の200日線ならびに、先週高値である110.27円を上抜けたことで、次の抵抗はフィボナッチを参考にした110.60円レベルで、それも超えれば111円台回復がいよいよ現実のものとなりかねない。
ただ、先週末に実施されたG7サミットにおける米貿易戦争懸念が、わずか一日で米朝首脳会談に取って代わられたように、一部市場筋のあいだでは早くも米朝首脳会談に代わり、米FOMCなど日米欧の金融政策を警戒する声も聞かれている。そうした意味で、米朝融和期待を受けたドル買いには限界があるのかもしれない。
テクニカルに見た場合、昨日レポートした過去1週間ほどのレンジ109.20-110.27円の上限は上放れたものの、まだ予断は許さず。最近の傾向としてはボックス圏を一時上抜けても、そののち結局押し戻され、「レンジを多少広げただけ」ということが少なくなく、今回もその懸念は払しょくできていない。いま少し、動静を注視してみたいところだ。
とは言え、110.15-20円に位置する移動平均の200日線などを超えており、素直に見ればリスクは上向きで、次のターゲットは前回のドル高値111.39円を起点とした下げ幅のフィボナッチ76.4%戻しに当たる110.60円レベルか。同レベルも超えれば111円台回復がいよいよ現実のものとなりそうで、前回高値が視界内に。
一方、材料的に見た場合、5月の消費者物価指数等の米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債入札が実施される見込みとなっている。また、明日までの予定で米FOMCが開催されており、こちらについては「利上げ実施がすでに織り込み済み」だ。問題は、「年内の利上げ回数増加などがあるかどうか」−−になろう。
なお、そうしたなか終了した米朝首脳会談についての、各国の反応も気になるところ。とくに中国やロシアが、どういった評価をくだすのか、それによってマーケットはまだまだ波乱含みであるのかもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.80-110.80円。ドル高・円安方向は、フィボナッチの観点から指摘される110.60円レベルの攻防にまずは注視。上抜けた場合には111円レベル、あるいは前回高値の111.39円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本稿執筆段階で上回っている移動平均の200日線(110.15-20円)などが目先のサポートか。割り込むようだと一目均衡表の基準線など複数のテクニカルポイントが位置する109.75-85円がサポートとなりそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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