<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、107円前半を中心とした一進一退。形成レンジは終日を通して30ポイント程度に留まるなど、目立った方向性もうかがえなかった。
ドル/円は107.20-25円で寄り付いたものの、積極的な動意はうかがえず。9時過ぎに一時107円を割り込む局面が見られたが、その短い時間帯を除くとおおむね静かなレンジ取引に終始している。実際、値幅は106.95-107.25円といった30ポイント程度に留まり、方向性も乏しい状況。前日比24円高とわずかながらプラス圏で始まった日経平均株価は、終わってみればマイナス圏、107円安となったが、為替市場におけるリスク回避の動きは限定的だった。16時時点では107.05-10円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、複数朝刊紙などで新たな進展が報じられた「加計学園問題」。獣医学部新設に関し、安倍首相は衆院予算委で答弁を行い、「プロセスにおいても問題ない。わたしから指示を受けた方もいない」と疑惑を真っ向から否定した。
また、「シリア問題」も懸念要因のひとつに急浮上。欧州航空航法安全機構から「シリア空爆の可能性、航空会社に警告」との報道や、別に「シリア上空を同盟国軍機が飛行」とのニュースも観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
引き続き潜在的な警戒感は強いものの、さすがに新味が薄れつつある「米中貿易戦争懸念」に代わり、マーケットでは「シリア問題」が急速にクローズアップされてきた。先で指摘した「シリア空爆の可能性、航空会社に警告」と絡め、「今後72時間以内にシリア空爆が行われる可能性」−−も取り沙汰されるなど、キナ臭い雰囲気を醸しつつありドルの上値を抑制する一因となっている感も否めない。さらなる状況悪化が指摘され、NYダウをはじめとする米株が大きく崩れるようだと、ここ数日のドル戻り高歩調に水を差す可能性もある。
また、前述したように「米中貿易戦争懸念」が若干の落ち着きを見せ始めた反面、今度は安倍首相の訪米などと絡め、日米貿易問題が表面化するとの声も聞かれており、油断は禁物かもしれない。
テクニカルに見た場合、ドルの戻り高歩調はうかがえるものの、如何せん上値がかなり重い。幾度となく指摘している一目均衡表の先行帯の雲の下限(107.15-20円)に日足は絡む値動きながら、しっかりと抜けきれない状況が続いている。本日も、引き続き一目の雲の下限をめぐる攻防は要注意で、ザラ場ベースの動きはもちろんのこと、NYクローズでも雲の下限をしっかりと上回れるかどうかを見極めたい。
一方、材料的に見た場合、3月の消費者物価指数という米経済指標の発表が予定されているうえ、FOMCによる3月20-21日実施分の議事録公開、米財務省による10年債の入札も実施される見込みだ。
そうしたなか、本日は要人の講演などで目立った要因がないものの、前日の上院に続き今度は下院で証言を行う「フェイスブックのザッカーバーグCEOの発言」には一応の注意を払っておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.50-107.50円。ドル高・円安方向は、引き続き一目の雲の下限(107.15-20円)の攻防がまずは注視され、抜ければ先日高値の107円半ばやフィボナッチの観点で見た107.95円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日の東京安値である106.95円レベル、割り込むようだと一昨日のNY安値106.60-65円がターゲットに。また、その少し下、106.30-35円には移動平均の25日線が位置しており、底堅いイメージも。(了)
オーダー/ポジション状況
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