<< 東京市場の動き >>
20日の東京市場は、小幅にドル高・円安。ただ、終日を通した値幅は40ポイントほどに留まるなど、しっかりとした方向性が示されたとは言いがたい値動きだった。
ドル/円は106.05-10円レベルで寄り付いたのち、当初は揉み合い。106円を挟み、上下10ポイント程度の凪相場となった。
しかし、休日前のゴトー日仲値不足観測なども取り沙汰され、徐々にドルが買われ始めると、日中高値である106.35円レベルまで上昇。そのレベルでは頭打ちとなったが底堅く、16時時点でもドル高値圏の106.25-30円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と幾つかの要人発言。前者については、韓国国防省が「米韓合同軍事演習、4月1日から実施」と発表したほか、米国防総省報道部長「米韓合同演習期間短縮の可能性も」、韓国統一次官「南北高官級会談めぐり近く北に提案へ」−−といった発言が聞かれていた。
それに対して後者は、ブルームバーグが財務省幹部の発言として「最近の円高はファンダメンタルズ反映せず」と報じたほか、木原財務副大臣「保護主義への懸念がG20声明に入るはず」、李中国首相「今年前半の訪日を検討する意向」、米農務長官「鉄鋼・アルミ関税は米農産物輸出にリスク」−−などとのコメントが報じられている。
<< 欧米市場の見通し >>
大局的には依然として円高リスクが懸念されているものの、足もとは方向性を欠いている。実際、先週15日以降の相場はというと、値動きは105.60-106.40円といったところで1円にも届いていない。また、期間をもう少し長くとり、今月初めからと考えても月間変動幅は105.25-107.30円のおよそ2円レンジに留まっている。1月の月間レンジが5.1円、2月が4.9円動いたことと比較しても、今月の動意の乏しさは明らかだ。いずれにしても、まずは足もとの1円未満のレンジから、上下どちらに脱却するのか、その方向性を注視したい。
なお、材料的には今日から明日にかけてG20会合や米FOMCなどの注目材料が控えているだけに、現在の小動きは「嵐の前の静けさ」として、早いタイミングでのレンジ放れを期待する声も少なくないようだ。
テクニカルに見た場合、下値不安が完全に払拭されたわけではないが、2月16日安値105.55円と3月2日105.24円、そして今回安値でトリプルボトムを形成する動きのようにみえなくもない。ドルの下値余地は、あまり大きくない気もしている。まだ断定は出来ないものの、そうした見方が正しいとすれば、ドルはしっかりとした底入れとなり、本格的な反発が期待できそうだ。
ただ、そのためには少なくともドルは年初来安値前後で下げ止まる必要があるうえ、長らくドルの上値を抑制している移動平均25日線(本日は106.50-55円)をNYクローズベースでしっかりと上回りたい。
一方、材料的に見た場合、前日に続き本日も目立った米経済指標の発表などは予定されていない。しかし、本20日までG20財務相・中銀総裁会議が実施されるほか、21日までの日程で注目の米FOMCが開催される見込みとなっている。
うち、G20については、米国発の貿易戦争や通貨切り下げに対して、国際的な封じ込め策が打ち出せるか否かが最大のポイントに。先で取り上げたように、木原財務副大臣からは「保護主義への懸念がG20声明に入るはず」といった楽観的な発言が聞かれているが、実際のところは果たしてどうか。逆に、声明などが失望を呼ぶような弱いトーンに終わるようだと、マーケットに失望感が広がり、再び円買い圧力を高めることにもなりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.70-106.80円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値も近く、またここ最近のドル高値に当たる106.40円レベルが最初の抵抗で、抜ければ25日線の位置する106.50-55円、106.80円レベルなどを目指す展開となりそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週末安値を含む105.60-80円レベルがかなり強いサポートとなっており、まずはその攻防を注視したい。抜ければ105.24円の年初来安値が名実ともにターゲットとなる。(了)
オーダー/ポジション状況
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