ドル円 106円を挟んだ揉み合い 反発力鈍い(3/20)

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは3月13日安値から3日目となる16日夜安値で底をつけて戻しているが、

ドル円 106円を挟んだ揉み合い 反発力鈍い(3/20)

【概況】

3月2日安値105.24円から3月13日高値107.29円まで8日間戻したが、この間の上昇幅は2.05円幅であり、2月21日への2.35円幅や2月2日への2.19円幅と同レベルの短期的な戻りと変わらない程度にとどまった。13日高値からは米国の関税強化の動きに対する懸念、国内の政治不安を背景に下落して16日には105.60円まで下げたが、その後はFOMCも意識しつつ下げ一服となっている。
3月16日安値105.60円の後は、19日午後安値105.67円、20日未明安値105.78円とやや切り上がっている。また戻り高値も16日夜の106.23円、19日夜の106.30円と湯彩切り上がっており、やや右肩上がりのジグザグ持ち合いという状況にある。

【英ポンド、ユーロ反発】

英国のEU離脱問題について、離脱後の移行期間等に関する条件でEUと英国が大筋合意したと報じられた。 バルニエEU首席交渉官は離脱後の激変緩和に向けた「移行期間」を2019年3月29日の離脱後から2020年末まで設けることで合意したと発表した。 これにより英国のEU離脱による混乱リスクがやや後退したとして19日夜には英ポンドが反騰した。

ECBの金融政策正常化問題につき、一部外電が「複数のECB関係者が来年半ばの利上げ、今年末の量的緩和終了を見込む市場予測に違和感はない」と述べていると報道したことによりECBの量的緩和終了と先行きの金利引き上げ見通しが再確認されたとして19日夜はユーロも反騰した。ポンド高ドル安とユーロ高ドル安がドル円においてもドル安要因となったため、19日深夜はドル円も小反落したがFOMCも控えているのでドル円としての動きは限定的だった。ただ国内政局懸念、NYダウの急落による株安リスクがあるため、戻しても106円台を維持しきれない状況に止まっており、やや頭重い印象での持合いを継続している。

【株安不安、国内政局不安】

フェイスブックがユーザー情報漏洩報道から急落したことを嫌気しハイテク株中心にNYダウは下落、前日比335.60ドル安(1.4%安)と大幅下落した。2月9日にかけての下落では世界連鎖株安を招き、前日比で千ドル安を超える日が2日も発生したが、その後は2月末まで持ち直した。しかし3月に入ってからは新たな戻り高値切り上げへは進めずに先週は12日に157ドル安、13日に171ドル安、14日に248ドル安と3日間続落、週後半は115ドル高、72ドル高と戻したが、週明けの19日に335ドル安と崩れたことで上昇再開期待よりももう一度2月序盤の安値を試しにかかる株安リスクが高まってきている印象だ。
3月19日からアルゼンチンでG20財務相・中銀総裁会合が始まった(20日まで)が、そこでは米国の保護主義拡大に対するEUや中国も反発も警戒されるため、市場心理も不安を強めやすいかもしれない。

日経平均も3月5日に2月初旬の急落時安値を割り込んだ後はやや戻したが、22000円に届かずに頭重い状況で、先週末から下落再開となりつつある。3月5日安値20997円を割り込むようだと中段持ち合いからの下放れ、1月23日高値からの下落が二段下げ型へと発展してくるため株安不安からの円高を助長しやすいと懸念される。

国内政局は財務省の公文書偽造等森友問題が政局不安を拡大し、内閣支持率急落を招いており、政情は日々悪化している印象だ。5月総辞職観測も出始めているため株安不安とともにリスク回避的な円高圧力が高まりやすい。FOMCでドル高色が鮮明にならないようなら円高加速のきっかけになりかねないと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは3月13日安値から3日目となる16日夜安値で底をつけて戻しているが、戻りはやや高値も安値も切り上げているものの持ち合い程度に留まっている。13日夜高値を基準として今回の高値形成期は16日から20日夜にかけての間と想定されるため、持ち合い的な戻り一巡による下げ再開も懸念される。20日未明安値105.78円割れを回避するうちは上昇余地が残るので、19日夜高値106.30円超えの場合は106.50円前後試しとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。105.78円割れからは下げ再開の可能性を優先し、16日安値105.60円割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる21日から23日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、その間にはFOMCもあるので、FOMC前後へ下落してから反騰入りの場合は新たな強気サイクル入りとし、FOMCから反騰できない場合は22日夜、23日への下落継続を想定する。

60分足の一目均衡表では106.00円を中心に先行スパンが薄く横這い状態となっている。ジグザグの持合いのため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているため方向感に乏しい。先行スパンを上回る内は19日高値超えからの上昇余地ありとし、先行スパンから転落の場合は下落再開を警戒し、20日未明安値割れからは下落再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は3月15日から指数自身のボトムを切り上げてきているのだが、相場は持ち合いに留まっているので、指数自身の下値支持線である45ポイントを割り込んでくる場合は下げ再開注意とし、40ポイント割れからは下げ再開として30ポイント割れを目指すと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、19日夜高値106.30円を抵抗、20日未明安値105.78円を支持線とみておく。
(2)20日未明安値割れ回避の内は106.30円超えから106.50円前後試しへ向かう可能性ありとみるが、106.50円以上は反落警戒とみる。
(3)20日未明安値割れからは下げ再開注意とし、16日安値105.60円試しを想定する。さらに底割れの場合は弱気サイクル入りとして3月2日安値105.24円から105.00円を目指す下落を想定する。FOMC前段階では現状以上に重大な国政材料からの円高にならない限りは105円台前半では買い戻しも入ってくると思われるが105.75円以下での推移中は安値試しが続きやすいとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

3/20(火)
G20財務相・中央銀行総裁会議(於;アルゼンチン・ブエノスアイレス、19日〜20日)
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
    (中) 中国全国人民代表大会(全人代)閉幕
14:00 (日) 1月 景気先行指数(CI)改定値 (速報値 104.8)
16:00 (独) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.1%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.5%、予想 0.5%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前年比 (1月 3.0%、予想 2.8%)
18:30 (英) 2月 生産者物価コア指数 前年比 (1月 2.2%、予想 2.4%)
19:00 (独) 3月 ZEW景況感指数(期待) (2月 17.8、予想 13.0)
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感 速報 (2月 0.1、予想 0.0)

3/21(水)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
18:30 (英) 2月 失業率 (1月 2.3%)
18:30 (英) 1月 失業率 ILO方式 (12月 4.4%、予想 4.4%)
21:30 (米) 10-12月期 四半期経常収支 (前期 -1006億ドル、予想 -1250憶ドル)
23:00 (米) 2月 中古住宅販売件数 (1月 538万件、予想 540万件)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 1.25-1.50%、予想 1.50-1.75%へ引き上げ)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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