ドル円 雇用統計まで動きにくい年初(週報1月第一週)

先週のドル円は、海外市場はクリスマス、国内市場は年末モードと動意薄の状態が木曜まで続きました。

ドル円 雇用統計まで動きにくい年初(週報1月第一週)

今週の週間見通し

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

先週のドル円は、海外市場はクリスマス、国内市場は年末モードと動意薄の状態が木曜まで続きました。そこに北朝鮮がミサイル発射準備をしているとのヘッドラインが流れリスクオフの年末となりましたが、市場参加者が少なく流動性が低下していたために、慣れっこのニュースの割には反応した印象です。

今後も北朝鮮のミサイル開発は続けられるでしょうが、グテーレス国連事務総長は1日の新年のあいさつにおいて「核兵器の脅威は冷戦以降で最も高まった」と「非常事態の警告」として各国の指導者に呼びかけました。2018年は昨年以上に北朝鮮問題がクローズアップされる可能性があります。

さて、今週の東京勢は3日までが休みとなりますので、実質4日と5日の2日間となりますが金曜には今年最初の注目イベントとなる米国雇用統計が発表されます。すでに米国の雇用は完全雇用状態と言ってもよく、仮に悪い数字が出ても単月の現象としてあまり材料とはされないのですが、年末年始と北朝鮮関連以外にニュースは出そうもありませんし、また各国の経済指標もそれほど重要度の高いものは見当たらないため、注目度は高いと言ってよいでしょう。

関連して1月30・31日にFOMCはありますが、12月に利上げを行った直後でもあり注目度は高くありません。イエレン議長の任期は2月までですが、地区連銀総裁は輪番で2018年はクリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコの各連銀総裁がFOMCの投票権を持つこととなります(今週の予定の地区連銀総裁も今週から入れ替えてあります)。2017年に比べてタカ派寄りとなりますが、パウエル新議長の下で実質的に動き始めるのは3月FOMCからと考えられます。しかし、新たに輪番となる地区連銀総裁の講演もありますので、これらも多少は注目しておいてよいでしょう。

新年度入りということで活気は戻りますが本格的な指導は来週からとなりそうです。テクニカルにはどうか、チャートも見てみましょう。年初なので昨年1年間の動きを週足チャートでご覧ください。

              ドル円週足

              ドル円週足

2017年は年間レンジがわずか11円28銭に留まりましたが、これは変動相場制移行後の狭いレンジとしてはトップ5に入ります。しかも2011年のジャスト10円レンジを筆頭にここ10年では4年もトップ5に入る安定した動きとなっています。2018年はどうなるかわからないものの、集亜所チャートを見ても分かる通り、昨年2月以降のレンジは8円程度とかなりの狭い値動きが続いています。

嵐の前の静けさという言葉がありますが、テクニカルにはそろそろどちらかに動きが出てきてもおかしくはありません。金利上昇からドル高となるか、北朝鮮問題からドル安となるか、年間の見通しは半月程度経過してから考えたいと思いますが、個人的には北朝鮮問題だけでなくドル安要因のほうが多い一年となるのではないかと考えています。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月1日(月)
**:** 全ての主要市場は休場

1月2日(火)
**:** 東京市場休場
10:45 中国12月MarkIt製造業PMI
17:50 フランス12月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ12月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏12月製造業PMI確報値
18:30 英国12月製造業PMI
23:45 米国12月MarkIt製造業PMI確報値

1月3日(水)
**:** 東京市場休場
16:00 トルコ12月CPI
17:55 ドイツ12月失業率
18:30 英国12月建設業PMI
24:00 米国12月ISM製造業景況指数
24:00 米国11月建設支出
28:00 FOMC(12月13日)議事録公表

1月4日(木)
10:45 中国12月MarkItサービス業PMI
17:50 フランス12月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ12月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏12月サービス業PMI確報値
18:30 英国12月サービス業PMI
21:30 米国12月チャレンジャー人員削減予定数
22:15 米国12月ADP全国雇用者数
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国12月MarkItサービス業PMI確報値
25:00 米国週間原油在庫
27:30 (セントルイス連銀総裁講演)

1月5日(金)
09:30 豪州11月貿易収支
16:45 フランス12月消費者信頼感
19:00 ユーロ圏12月CPI速報値
19:00 ユーロ圏11月PPI
22:30 米国12月失業率
22:30 米国11月貿易収支
24:00 米国12月ISM非製造業景況指数
24:00 米国11月製造業受注指数
24:15 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
26:30 クリーブランド連銀総裁講演

1月7日(日)
 22:00 サンフランシスコ連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

        始値   高値  安値  終値
 
ドル円    113.31 113.38 112.47 112.69
ユーロ円   134.25 135.51 134.10 135.21
ユーロドル  1.1852 1.2025 1.1842 1.1998
日経平均 22909.41 22954.45 22736.43 22764.94

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

12月25日(月)
 クリスマスのため東京を除く主要市場はすべて休場となり、東京市場でも早めに取引を終えたり、FX業者によっては休日扱いとしたりと閑散な一日でした。

12月26日(火)
 東京とNYを除いた主要市場が休場となり終日閑散な取引が続きました。ドル円は東京前場には底堅い株価に沿ってやや買われる場面も見られましたが、NY市場以降は買われた分のポジション調整から結局は朝方の水準に押しての引け、レンジも26銭にとどまりました。

12月27日(水)
 ドル円は年末モードで全くの動意薄、終日113.30レベルを前後する小動きとなり、一日のレンジは更に狭く23銭に留まりました。国内の実需筋もオーダーを置く程度で一段と低調な動きとなりました。

12月28日(木)
ドル円は朝方から上値の重たい展開が続いていましたが、後場に入り北朝鮮がミサイル発射の準備をしているとのヘッドラインに為替も株もリスクオフで反応、ドル円は直近のもみあいを下抜けるとマーケットが薄い中、ストップオーダーをつけながら112.67レベルまで下落しました。その後の海外市場では112円台後半で方向感の無い流れを続けましたが、113円にも届かず上値の重たい地合いは残したままでした。

12月29日(金)
年内最終日はドル安の一日となりました。東京市場では目立った材料が無く流動性も低下する中、前日の北朝鮮ミサイル発射準備のニュースが尾を引いてリスクオフの円買いがドル売りを継続する材料となりました。海外市場に移ってからもドル売りの動きは続き、NYの朝方には112.47レベルまで安値を切り下げ、その後は若干戻したものの上値の重たい年末クローズとなりました。

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