ドル円 年末最終週で小持合いから下放れ(1月第一週)

新年は最初の週末が米雇用統計となるが、その前の1月4日未明に12月FOMC会合の議事要旨公開がある。

ドル円 年末最終週で小持合いから下放れ(1月第一週)

【概況】

米税制改革法案成立過程での米長期金利上昇を背景としてドル円は15日安値112.02円から上昇期に入り、21日には113.63円の高値をつけたが12月12日深夜高値113.75円には届かずに失速した。
クリスマスを挟んで25日から28日昼までは113.25円を挟んだ持ち合いに留まり、113.11円から113.37円でのレンジ相場が続いていたが、28日午後からは株安や年末を控えた手仕舞い売りから下落して持ち合いを下放れ、28日夕刻には112.66円まで一段安となった。その後は113円台へ切りかえせずに一段安状態が続いている。
米税制改革法案成立を巡る米長期金利上昇が一服したこと、原油相場が2年振りに60ドル台をつけるところまで大幅上昇したことや非鉄相場が一段高したことで資源通貨高、新興国通貨高が進んだこと、さらにユーロやポンド等も上昇したことでドル全般に売り圧力がかかったことが28日の下落背景であった。クロス円の上昇とドルストレートの下落が相殺となって小幅持ち合いだったわけだが、ドル安感が一段と強まったことが持ち合い下放れを発生したと言える。

【11月6日高値を上抜けずに失速気味】

【11月6日高値を上抜けずに失速気味】

9月8日安値107.32円からの上昇が11月6日高値114.73円で一巡して11月27日安値110.84円まで下落していたが、そこから12月12日高値113.75円まで戻してきた。しかし、11月6日高値には届かずに現時点では高値切り上げによる二段上昇へ進めていない。逆に12月15日安値を割り込む場合、12月12日高値からの下落が小規模の二段下げ型となり、また9月8日と11月27日の安値を結ぶ支持ラインも割り込んでくることとなるため、11月6日高値と12月12日高値とのダブルトップ、ないしは11月6日高値を頭、10月6日高値を左肩とし、12月12日と12月21日高値による小ダブルトップで右肩となって三尊天井型を形成する可能性が高まると思われる。

12月15日安値112.02円割れ回避から反発すれば、11月6日以降を抵抗線やや切り下がり・支持線切り上がり型の三角持合いとし、12月12日高値超えからは三角持合い上放れにより、11月6日高値も上抜いて一段高へ進む可能性が出てくるかもしれない。
この様に、12月30日時点では@三尊、ないしはダブル天井を形成して下落期に入るのか、A三角持合いを維持して上放れ一段高へ進むのか、いずれの可能性も残っているところと言える。

ただし、概ね10か月から1年周期の天井サイクルを踏まえれば、2016年12月15日天井から既に1年を経過しているため、11月6日高値でサイクルの天井をつけ、中勢規模の下落期に入る可能性がやや優勢かと思う。仮に三角持合い上放れから上昇する場合は、1月前半まで1年サイクルの天井形成が伸び、その後に下落に転じるというイメージで考える。
12月15日安値割れからは三角持合い下放れ、9月8日からの支持線割れとなるのでまず11月27日安値110.84円試し、さらに底割れならば中勢レベルの下落期入り濃厚として2月にかけては9月8日安値107.32円試しへ向かう可能性が高まるとみる。11月6日からの下落に対する揺れ返し上昇で高値更新できずに失速気味となっていることからは、三角持合い及び支持線割れからの下落に入る可能性が優勢かと考える。

【新年度入りイベント】

新年は最初の週末が米雇用統計となるが、その前の1月4日未明に12月FOMC会合の議事要旨公開がある。2018年のメンバーによる利上げ回数予想の中央値は3回とされたが、さらに金融引き締め姿勢が緩む可能性を示唆する内容があればドル安、引き締めを加速させる要素があればドル高反応となりやすい。サプライズなければ直前までの流れを継続しやすいと思われる。
1月5日の米雇用統計が市場予想を大幅に上回るようならドル高再開の可能性が高まるだろうが、さほど強くない場合は流れの継続、予想より悪い場合はドル安加速要因となりやすいと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)113.25円を中心とした小規模持ち合いから下放れたため、持ち合い中の安値である113.11円から中心値の113.25円までを戻り抵抗帯とし、これを上抜いて続伸へと進めない内は安値を試しやすい状況が続くとみる。
(2)当面の下値目処は12月6日安値111.99円、12月15日安値112.02円のある112円前後試しと考える。雇用統計前は112円前後まで下げた場合は反発してくる可能性ありとみるが、雇用統計を前後して12月15日安値割れとなる場合は111円台序盤、さらに11月27日安値110.84円を目指すとみる。
(3)12月15日安値割れ回避か、わずかに割り込んでも早々に切り返す場合、113.50円超えから上昇再開の可能性を優先し、12月12日高値113.75円試しを想定する。さらに高値更新なら11月6日高値114.73円への挑戦とみるが、114円台は既に5回戻り売りにつかまっているため、もう一度戻り売りにつかまって中勢レベルの下落へと転じる可能性を考えておく。

【1兆ドルのインフラ計画どうなる?】

来年1月30日に米大統領の一般教書演説が予定されている。既に12月前半から観測記事が出ているが、選挙公約であった1兆ドル規模も大規模インフラ整備計画をこの演説前にまとめて公表するのではないかとみられている。当選後100日以内に計画をまとめると言った公約期限は既に過ぎているが、年末ぎりぎりにレーガン政権以来30年振りとなる大規模減税・税制改革法案の成立にこぎつけた。ある意味、公約実現へ向けてやるべきことをやっているともいえる。
1兆ドルのインフラ計画実現には民主党の協力も不可欠であり、簡単には進まないかもしれないが、減税問題を通過して当面のトランプ・ラリー材料が一巡しているため、1兆ドルのインフラ計画の現実味やスケール感へ市場が楽観的な強気姿勢で答える可能性もあるかもしれない。この問題で市場を失望させてしまう場合は、2016年11月から1年以上続いて半ばバブル化してきたトランプ・ラリーが崩れる可能性も考えておく必要があると思う。(了)<12月30日9:20執筆>

【当面の主な予定】

12/31(日)
10:00 (中)12月 国家統計局製造業PMI 11月 51.8、予想 51.7
10:00 (中)12月 国家統計局サービス業PMI 11月 54.8、予想 54.9

1/1(月)
元旦休場

1/2(火)
休場 日本(株式、商品)、スイス、ニュージーランド、タイ
10:45 (中) 12月 財新製造業PMI 11月 50.8

1/3(水)
休場 日本(株式、商品)
24:00 (米) 11月 建設支出 前月比 10月 1.4%、予想 0.6%
24:00 (米) 12月 ISM製造業景況指数 11月 58.2、予想 58.0
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事公開

1/4(木)
09:00 (日)東証大発会
11:45 (中) 12月 財新サービス業PMI 11月 51.9
11:30 (米) 12月 チャレンジャー人員削減数 前年比 11月 30.1%
22:15 (米) 12月 ADP民間雇用者数 前月比 11月 19.0万人、予想 18.5万人
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 前週 24.5万件

1/5(金)
08:50 (日) 12月 マネタリーベース 前年同月比 11月 13.2%
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP、速報値)前年同月比 11月 1.5%、予想 1.5%  
22:30 (米) 12月 非農業部門雇用者数 前月比 11月 22.8万人、予想 18.5万人
22:30 (米) 12月 失業率 11月 4.1%、予想 4.0%
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 11月 0.2%、予想 0.3%
22:30 (米) 11月 貿易収支 10月 -487億ドル、予想 -474億ドル
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 10月 -0.1%、予想 1.5%
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 11月 57.4、予想 57.4

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