ユーロ年末の海外市場で急伸。対円では135円台回復
年内最後の取引となった29日の海外市場でユーロは急伸、対ドルで一時1.2026、対円では約二年半ぶりの高値となる135.52をつけてそのままユーロ高値圏での越年となりました。
ユーロはFOMC、ECB理事会等の重要イベントが終了した12月中旬以降上昇基調に転じていましたが、ここへ来て上げ足を速め年末の薄い市場の中で3日連続で上昇、11/27の戻り高値を越え、年初来高値1.2092をうかがう動きの中で2017年の取引を終了しました。
尚、ドル円は原油価格の高騰等を反映した対資源国通貨でのドル売りが波及、ややドルの下値を広げたものの、112円台半ばから後半出の狭いレンジの値動きに終始しました。
ドル円の終値は112.69、ユーロドル1.2003、ユーロ円は135.30での越年。
2017年はユーロにとって波乱の年になりました。
約2年に亘る長期低迷相場の後、今年に入ってユーロ圏の景気の回復基調鮮明化と、懸念された域内極右勢力の台頭のけん制成功、とりわけフランスのマクロン政権誕生による高揚感の中で、春以降大きく上昇したユーロでしたが、秋のドイツ総選挙での与党の予想外の苦戦と極右勢力の再伸張による政局不安定から反落、その後は調整局面が続きました。
しかし、年末には為替市場が日米欧それぞれの来年の経済成長と金融政策を見通した金利相場となり、景気回復のステージは米国には及ばないとは言え、また、世界共通の物価の低迷と言う問題を抱えつつもユーロ圏の足下の経済回復は相対的に目覚しく、来年の欧州経済の一段の拡大とECBによる金融政策の正常化への期待からのユーロ高で越年となりました。
とりわけ主要国の中で唯一未だ大規模金融緩和からの出口が見えない日本との金融政策のベクトルの違いが際立ち、2015年10月以来のユーロ高でユーロ円が取引を終えたことは象徴的でした。
それでは来年はこのまま金利主導のユーロ買いが続くのか?と問われると米国のトランプ政権はよくも悪くも材料豊富で、また中東、北朝鮮等の地政学リスクも持ち越し、欧州圏でもスペインのカタルーニャ問題やドイツの連立協議が年をまたいだ現状では、それほど単純なものでもないでしょう。
しばらくは、ユーロの上昇軌道への回帰を基調としながらも、今年後半のように予想外の動きに翻弄される相場が続きそうです。
「FX羅針盤」の今年の記事の更新は以上で終了させていただきます。
本年も「FX羅針盤」をご覧いただき誠にありがとうございました。
来年1月中旬には主要執筆者の皆さんに年明け相場をじっくり見定めていただいたうえで年間の金融市場展望を執筆していただく予定です。ご期待ください。
年明けの記事更新再開は1月3日頃を予定しています。
それでは皆様よいお年をお迎えください。
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