円 111円一時割り込むも方向性は乏しいまま(11/28夕)

28日の東京市場は、111円台前半を中心とした一進一退。一時上下に振れ、やや荒っぽい変動を記録する局面も観測されたが続かず、その後は徐々に動意が途絶えている。

円 111円一時割り込むも方向性は乏しいまま(11/28夕)

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場は、111円台前半を中心とした一進一退。一時上下に振れ、やや荒っぽい変動を記録する局面も観測されたが続かず、その後は徐々に動意が途絶えている。

ドル/円は111.10-15円で寄り付いたのち、上下に振れる荒っぽい変動。日経平均など株価の動きをにらみつつ、111.20円から110.95円まで下げたのち、日中高値の111.30-35円まで切り返す動きが観測されていた。
しかし、日中高値をつけたあとは動意が乏しくなり、111円前半での揉み合いに。16時時点では111.20-25円で推移し、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたもののひとつは、北朝鮮情勢。前日のNY時間に共同通信が「北がミサイル発射準備か、電波信号を捕捉」と報じたことを受けてか、ホワイトハウスは「米仏首脳が電話会談し、北朝鮮に最大圧力で一致」との発表を行っていた。
また、それとは別に、日米要人や中銀関係者による発言も幾つか聞かれ、一部で話題となっていたようだ。一例を挙げると、ダドリーNY連銀総裁から「当局が良い仕事をすればドルへの信認は高いままに」、安倍首相による「2%物価目標、改定行う必要あると考えていない」、黒田日銀総裁からは「長期金利が1%上昇で24.6兆円の損失」−−との発言がそれぞれ報じられている。

<< 欧米市場の見通し >>

過去2ヵ月程度、ドルの下値を支えてきた111円レベルを昨日NY時間に一時割り込んできた。リスクという点では、引き続きドル安方向にバイアスがかかると考えられている。しかし、111円を割り込んでも値は走らず、下値は110.84円まで。むしろ、ドルの底堅さを再確認したと言えるかも知れず、下値でのドル売りには慎重さを求めたい。
なお、材料的には本日のNY時間は注目要因が少なくないことで、上下どちらなのか方向性は別にして、大きな価格変動をたどる可能性も取り沙汰されていた。

テクニカルに見た場合、米感謝祭(23日)以降の相場は下限である111円を一時割り込んだが、「しっかり」とは抜け切れず。そのため、これまで形成していたレンジが下方向に幾分拡大したに過ぎないとの声も聞かれている。そうしたなか、一目均衡表の先行帯の雲の下限が本日110.70円レベルまで切り上がってきているだけに、維持することが出来るかどうか、攻防が注視されている。
対して、上方向は移動平均の200日線(111.65-70円)を筆頭に様々なテクニカルポイントが密集しており、ドルの上値が重い状況であることに変化はないようだ。

一方、材料的に見た場合、9月のS&Pケースシラー住宅価格指数や11月の消費者信頼感指数といった米経済指標が発表されるほか、パウエル次期FRB議長の指名承認公聴会なども実施される見込みとなっている。
後者に関しては、本日の東京時間に発言の準備原稿が一部メディアで報じられ、「我々は金利が幾分さらに上昇し、バランスシートが徐々に縮小すると予想している」と指摘するなど、金融当局の現状を変えるつもりはないという点を明確にする方針がうかがえる。予定通りであれば、サプライズは乏しいものの、別に市場にインパクトを与える発言が出るのかどうか要注意だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.70-111.80円。ドル高・円安方向は、前述したように移動平均の200日線が位置する111.65-70円が最初のターゲットで、少し上の水準にも75日線など別の抵抗が存在している。それらを抜ければ112円前後などを目指す展開も。
対するドル安・円高方向は、昨日記録した直近安値110.84円ならびに、一目均衡表の先行帯の雲の下限が位置する110.70円レベルをめぐる攻防を注視。割り込めば110.15円レベルがターゲットに。(了)

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