ドル円 再び底割れ 6日からの下落基調継続中(11/28)

10月の米新築住宅販売件数は68.5万件となり、9月の66.7万件(64.5万件へ下方修正)、市場予想の62.7万件を上回る好調な数字となった。

ドル円 再び底割れ 6日からの下落基調継続中(11/28)

【概況】

ドル円は一段安。11月22日夜の米耐久財受注が予想を下回ったことで11月20日安値111.88円を割り込み、23日未明のFOMC9月会合議事録公開内容がハト派的だったとして111.06円まで続落、11月6日高値111.72円以降の安値を更新した。
11月23日、24日は米感謝祭祝日だったために下げ一服となり、週明け27日朝には111.69円まで戻したが勢いに欠け、午後からの下落で27日夜には23日安値を割り込む一段安となり、深夜には110.84円まで安値を切り下げた。111円割れは9月18日以来2か月振りとなる。

10月の米新築住宅販売件数は68.5万件となり、9月の66.7万件(64.5万件へ下方修正)、市場予想の62.7万件を上回る好調な数字となった。前月比では+6.2%となり、9月の+18.9%(+14.2%へ下方修正)、市場予想のマイナス6.1%を大幅に上回った。この統計発表後はドルがやや持ち直して米長期金利も上昇したためにドル円の下落にはややブレーキがかかり111円台を回復したが、111円台序盤に止まっており、反騰のきっかけには至っていない印象であり、一段安へ進みやすい状況と思われる。

米連銀FRBは27日夜、次期議長に指名されているパウエルFRB理事の上院銀行委員会公聴会における議長声明案を発表した。パウエル次期議長声明案では「政策金利はやや上昇し、保有資産は緩やかに縮小していくと予想されている」「2%物価目標に向けた緩やかなインフレを伴う、強い雇用市場を維持することがFRBの目標だ」「将来の金融情勢を予測することは困難であり、経済情勢に従い、政策を柔軟に調整する必要がある」、「FRBの独立性が重要」、「金融規制の負担を緩めるための適切な方法を引き続き検討していく」としている。トランプ政権や与党共和党による金融規制緩和への理解を示し、緩やかな正常化・利上げ姿勢を示したものと思われる。

ドイツのメルケル首相は27日、自身のキリスト教民主・社会同盟が中道左派・社会民主党との二大政党による大連立政権の継続を目指して交渉を行う方針を正式に決めたと述べた。メルケル首相と社民党のシュルツ党首は30にシュタインマイヤー大統領の仲介で会談を行う。
9月の下院選挙後、中道政党・自由民主党、環境政党「90年連合・緑の党」との3党連立交渉を行っていたが11月19日に協議は決裂し、再選挙による混乱が懸念されたが、新たな連立協議再開見通しからユーロは一段高へ進んできた。27日夜高値からは小反落しているが、ユーロ高基調はさらに継続しやすい状況にあると思われる。

【ユーロ高、ドル指数下落、円高】

ユーロドルとドル円は逆相関的に動いているが、ユーロドルは9月8日に1.2092ドルの高値をつけてから2か月間下落したが、11月7日安値1.1553ドルから反騰に転じた。ドル円が26日移動平均割れから崩れたのとは逆に11月14日の上昇で同線を突破、独連立政権協議決裂報道でいったん下げたものの連立協議再開、合意形成への動きが進展したとして先週末へ一段高してきた。11月21日からは5連騰となっている。ユーロドルとは逆にドル指数は前日まで4日続落し、この日も安値を更新したが、終盤はやや戻した。

【2か月下落後の2か月上昇でイッテコイ、揺れ返しの下落続く】

ドル円は11月6日高値で7月11日高値をわずかに上抜いたが、2か月間の下落に対する2か月間の上昇でイッテコイとなり、114円台を中心とした2月以降の戻り抵抗帯まで戻したことで上昇一巡、下落に転じた。この下落にはユーロの上昇再開も寄与しているが、ユーロ反騰のきっかけとなった11月14日から15日へのユーロ高ドル安がドル円の26日移動平均割れとも重なり、下落基調を色濃くしたと言えるだろう。
ドル指数の下落、ユーロと円の上昇、これらは相乗的に円高ドル安を助長していると言えそうだ。

11月6日以降のドル円の下落角度は、7月11日高値から9月8日への下落時、3月10日高値から4月17日への下落時と概ね合致している。1月3日(12月15日との毛抜き天井)から2月6日への下落1か月、3月10日から4月17日への下落1か月強、5月11日から6月14日への下落1か月、7月11日から9月8日への下落2か月というこれまでの下落を踏まえれば、今回もまず1か月の下落で12月8日の米雇用統計前後までは今の下落基調が継続しやすいとみるべきか。また下値目処は、2月以降の往来相場の範囲として、6月14日安値108.84円から9月8日安値107.32円の間が当面の支持帯になってくるのではないかと思われる。もちろん、往来相場から転落する円高の加速という可能性も念頭に入れておく必要があるだろう。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、24日へのジリ高により遅行スパンは好転していたが、27日夜への下落で再び悪化した。27日朝への上昇では先行スパンを上抜けず、夜に転落している。両スパンが揃って悪化している内は一段安懸念が継続するとみる。戻り抵抗は先行スパン下限のある111.30円台後半までとし、強気転換には先行スパン突破=111.50円超えから続伸するような反発が必要と思われる。

60分足の相対力指数は24日、25日未明、27日朝と三度60ポイントを超えたが、指数はわずかにピークを切り上げただけでほぼフラットにとどまり、50ポイント割れから下落再開に入った。27日夜間で30ポイント割れまで下げてから戻したものの、50ポイント以上を回復、維持へと戻せない内は一段安警戒とし、強気転換には強気逆行型(相場が安値を切り下げ、指数が安値を切り上げる逆転現象)が見られるか、20ポイントを大きく割り込んでからV字反騰するような展開が必要だろうと思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、20日朝安値から3日目となる23日午前安値で前回のサイクルボトムをつけて戻したが、21日未明高値から4日目となる27日朝高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入った。今回の安値形成期は28日午前から30日午前にかけての間と想定される。早ければ28日中にボトムをつけて反騰入りする可能性もあるが、111.50円以下での推移中は28日夜、29日にかけてまだ一段安する可能性が優先されるとみる。

11月6日以降の下落パターンを踏まえれば、今回の下落も27日朝高値から1.60円強、あるいは2円近い下落となる可能性がある。このため、28日から29日序盤にかけては111.50円までを戻り抵抗とし、安値更新からは110円試しとし、さらに110円割れから続落の場合は109.70円前後試しの可能性についても警戒しておく。また安値更新後は直近の安値から0.50円高となる反騰の場合は短期的な強気転換注意とし、直前安値から1円に満たない程度までの戻りを想定する。(了)<8:45執筆>

【当面の主な予定】

11月28日
23:00 (米) 9月住宅価格指数 前月比 (8月 +0.7%、予想 +0.5%)
23:00 (米) 9月S&P/ケースシラー住宅価格指数 前年比 ( 8月 5.9%、予想 6.0%)
24:00 (米) 11月消費者信頼感指数 (10月 125.9、予想 124.0)
24:00 (米) 11月リッチモンド連銀製造業指数 (10月 12、予想 14)
24:00 (米) 米上院銀行委員会、パウエル次期FRB議長承認公聴会
24:15 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

11月29日
16:00 (日) 中曽日銀副総裁、講演
22:30 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演
22:30 (米) 7-9月期GDP 改定値 前期比年率 (速報 +3.0%、予想 +3.2%)
22:30 (米) 7-9月期個人消費・改定値 前期比年率 (速報 +2.4%、予想 +2.5%)
22:30 (米) 7-9月期GDPデフレーター・改定値 前期比年率 (+2.2%、予想 +2.2%) 
24:00 (米) イエレンFRB議長、上下両院合同経済委員会証言
24:00 (米) 10月中古住宅販売保留件数指数 前月比 (9月 +0.0%、予想 +1.0%)

11月30日
石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
(独) キリスト教民主同盟(CDU)、社会民主党 (SPD) 、キリスト教社会同盟 (CSU) 党首会談

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