<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場は、おおむね揉み合い。112円前半の狭いレンジ内での一進一退となっており、明確な方向性は乏しかった。
112.30円レベルで寄り付いたものの、積極的な動意に乏しく、終日を通して112円台前半での値動きに終始。値幅はわずか30ポイント程度で、様子見の気分の強い一日となっている。寄り付き前には、週末・月末・四半期末を前にした駆け込み的な需給要因も取り沙汰されていたものの、そうした背景を受けて逆に新規のポジションメークや新規投資には慎重姿勢がうかがえた一日だった。16時時点では、寄り付きレベルに近い112.35-40円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的には、朝日新聞など一部の朝刊紙が「日中韓首脳会談の7月開催を見送り、中国が難色」、産経新聞は「EU2閣僚が訪日検討、外相・農相と会談へ」と報じていたものの、それほど強いインパクトは与えられず。
また、原田日銀審議委員から「金融緩和が金利急騰リスク高める議論に根拠ない」との発言が聞かれていたが、こちらの反応もいまひとつだった。
<< 欧米市場の見通し >>
112円を上限としたレンジ相場を上抜けしたものの、値は飛ばず。底堅くはあるのだが、ドルの上値も重いままだ。予断は禁物だが、ヒョッとすると、従来のレンジを1円程度切り上げた111-113円などという新レンジを形成する可能性を否定できないのかもしれない。
確かに、予想外ともいえる欧州要人の発言があったとはいえ、ここ最近の為替市場はユーロやポンドがマーケットの主役となっている感を否めない。市場筋の関心がいささか低いドル/円は、足もとの揉み合いがいま少し続いても不思議はない気もしている。
テクニカルに見た場合、一目均衡表やフィボナッチでみた上方向の抵抗を超えてきており、ドルの上値余地が広がったように思われる。ちなみに、そんなドルの次の上値メドはフィボナッチ76.4%戻しに当たる113.05円レベルで、その少し上、113円半ば近くには3月高値115.51円と5月高値114.38円を結んだ下降トレンドラインも位置しており、それらをめぐる攻防も要注意だ。
それに対して、ドルの下値はジワリと切り上がってきており、すでに111円台にもテクニカルサポートは少なくない。111円前後に位置する移動平均の200日線ですら、すでに遠い存在になりつつあるように思う。
一方、材料的に見た場合、1-3月期GDP統計の確報値や週間ベースの新規失業保険申請件数といった発表予定の米経済指標にまずは要注意。なかでも前者は、通常であればさほど取り沙汰されるものではないのだが、前回発表された「改定値」において数値が上方修正されるという底堅さを見せただけに、今回の数値に対する期待感もうかがえていた。
また、それら以外、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演などにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.80-112.80円。ドル高・円安方向は、引き続き一昨日のドル高値である112.46円が最初のターゲットか。抜ければ、フィボナッチの76.4%戻しに当たる113.05円レベルを目指す展開も。
対するドル安・円高方向は、111.50-80円に位置する一目均衡表の先行帯の雲がサポートとして意識されている。短期的なポジションの偏りなどは気にかかるものの、昨日以降、一度も112円を割り込んでおらず、かなり底堅いイメージだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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