ドル円見通し ユーロ高等が円安要因に(6/29)

28日にはECB副総裁や当局者が、27日にユーロが急騰し過ぎたことに対する警戒感を背景として「ドラギ総裁発言を市場が誤解している」

ドル円見通し ユーロ高等が円安要因に(6/29)

<概況>

6月27日、ドラギ総裁の講演発言からECBが出口戦略へ向かうのではないかとの見方が高まってユーロが急騰、ユーロ高円安を背景にドル円も上昇した。ドイツ10年債利回りが上昇、これにつられる形で米10年債利回りも上昇、さほど動かない日本10年債利回りとの格差が広がったとしてドル円での円安に帰結している。
28日にはECB副総裁や当局者が、27日にユーロが急騰し過ぎたことに対する警戒感を背景として「ドラギ総裁発言を市場が誤解している」旨の牽制を行ったため、ユーロが28日夜には一旦急落する場面もあったが、それも切り返して高値更新しており、ユーロ高基調が継続している。

さらに、英中銀総裁発言が利上げ再開時期の接近と受け止められてポンドが上昇。これもユーロ高とともに欧州長期債利回り上昇要因となり、米長期債利回り上昇に寄与、ドル円も高値圏を維持することに貢献している。
ドル円は27日深夜に112.46円まで上昇して15日未明のFOMC以降の高値を更新した。6月20日から26日にかけては111.70円台を抵抗として横ばい持ち合いだったが、27日の上昇でこれを上放れた。28日夕刻には一時的に112円割れをみたが、そこは押し目買いされており、112円台維持で29日に入っている。

【10か月から1年周期のサイクルで戻す】

昨年12月15日に118.66円の高値をつけて戻り天井を形成、4月17日まで下げてきた。しかし5月11日の戻り高値からの下落では6月14日安値(15日未明)では新たな底割れを回避、4月17日安値からやや切り上がる形でダブル底を形成した。その後の上昇で日足は26日移動平均を超えてきており、上昇ベクトルとしては4月17日から5月11日にかけて1か月弱上昇した時に近い印象がある。

3月10日高値から5月11日高値へ、戻り高値はやや切り下がっており、この高値ラインは現在113円台序盤にあるため、112円台を維持するか、28日の様に一時的に割り込んでも切り返す内は113円試しへと向かいやすい状況にあると思われる。

【10か月から1年周期のサイクルで戻す】

週足レベルでは、概ね10か月から1年周期のサイクルで底をつけて戻している。ここ数年におけるこのサイクルの底は、2011年10月31日、2012年9月13日、2013年8月8日、2014年7月10日、2015年8月24日、そして昨年は英国のEU離脱を巡る国民投票結果のサプライズで急落した6月24日安値が底であった。昨年6月底から今年4月17日安値まで44週=10か月を経過、またダブル底となる6月14日安値までが52週目=1年であり、このサイクルの底をつけてリバウンドに入っている印象だ。
サイクルは、手前の底を割り込めば次の底形成期まで下落期に入るものであるが、底割れ回避中は戻りを試す。今回はまず日足の高値ラインである113円台序盤試しとみるが、4月17日以降の高値である5月11日の114.38円を試す可能性も出てくるかもしれない。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

6月26日の上昇で遅行スパンは好転(実線を上回る)、先行スパンも上抜いたが、その後もこの状況を概ね維持している。このため、先行スパンを上回る内は高値を試す余地ありとし、先行スパンに潜り込む場合はその下限試しとし、一時的に割り込んでも112円台へ切り返せば上昇再開として高値を試しに向かいやすいとみる。弱気転換は28日安値111.82円割れからさらに続落し、先行スパンからの転落が明確となり、遅行スパン悪化となるところからと考える。

相対力指数の14本線は、26日と27日深夜高値との間で弱気逆行型横ばいのピークを作ったが、その後は相場が横ばい持ち合い、指数は50ポイント割れを切り返しているため、高値圏持ち合いの示唆、上放れの可能性アリという印象だ。

概ね3日から5日周期の短期サイクルでは、27日夕刻安値を目先の底とした上昇局面か、ないしは28日夕刻安値を底とした上昇局面の可能性が考えられる。いずれの場合も30日から7月4日、長引けば5日にかけては上昇継続しやすい助教と思われる。ただし28日夕安値割れからは弱気転換注意とし、111.50円から111.00円のゾーンへの下落を想定するが、そこはまた買い戻されるのではないかとみる。(了)<10:25執筆>

【当面の主な予定】

6月29日
 米韓首脳会談(ワシントン、30日まで)
(米) 21:30 米1-3月期GDP・確報値 前期比年率 (改定値 +1.2%、予想 +1.2%)
(米) 21:30 米新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件 予想24.0万件))

6月30日
(米)  2:00 ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
(日) 8:30 5月全国消費者物価指数 生鮮食品除く前年比 (4月 +0.3%、予想 +0.4%)
(日) 8:30 6月東京都区部消費者物価指数 生鮮食品除く前年比 (5月 +0.1%、予想 +0.2%)
(日) 8:30 5月失業率 (4月 2.8%、予想 2.8%)
(日) 8:50 5月鉱工業生産・速報値 (4月 +4.0%、予想 -0.3%)
(中) 10:00 中国6月製造業PMI (5月 51.2、予想 51.0)
(米) 21:30 米5月個人所得  (4月 +0.4%、予想 +0.3%)
(米) 21:30 米5月個人消費支出 (4月 +0.4%、予想 +0.1%)
(米) 21:30 米5月コアPCEデフレーター (4月 +0.2、予想 +0.1%)
(米) 22:45 米6月シカゴ購買部協会景気指数 (5月 59.4、予想 58.0)
(米) 23:00 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(速報 94.5、予想 94.5)

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