ドル円イベント一巡、もみあいの週(週報6月第三週)

ここ10日ほどで主要中銀の金融政策決定会合が終わり、日欧は予定通りの現状維持、どちらも出口政策に対する思惑も上がりましたが、

ドル円イベント一巡、もみあいの週(週報6月第三週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値  安値  終値

ドル円 110.31 111.42 108.83 110.87
ユーロ円 123.57 124.47 122.40 124.11
ユーロドル 1.1202 1.1296 1.1132 1.1195
日経平均 19920.77 20015.16 19755.34 19943.26

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

6月12日(月)

東京市場では上値の重たい日経平均による円高と、マクロン新党圧勝の流れによるユーロ買いとが重なり、ドル売りの動きが目立つ週初となりました。ドル円はその後も上値の重たい展開が続き、NY市場後場には109.63レベルの安値を付け、引けにかけてやや戻す動きも見られましたが、110円の大台を割り込んできたことから、戻り売りを考える参加者が増えました。いっぽうユーロドルはポンドの下げに引っ張られる形でNY市場以降は上値の重たい流れとなり、東京市場の水準へと下押し。結果としてユーロ円は週日水準を下げ先週の安値圏に近づいての引けとなりました。

6月13日(火)

3主要通貨ペアともに動意薄の一日となりました。ドル円は前日の下げに対して底堅い株価の動きも手伝ってやや円安の動きとなりましたが、値幅はわずか36銭。ユーロドルも東京市場ではドル円同様にややドル買いの動きとなりましたが欧州市場以降はポンドの買い戻しに引っ張られての上昇、しかしこちらもレンジは40ポイントとFOMC結果発表を前に調整の一日となりました。

6月14日(水)

FOMCの結果発表を控え東京市場は全く動意が無かったものの、欧州市場に入りダウ先物の夜間取引を中心に株価指数先物が強含んだ動きを見て、ややドル買い方向に動意づきました。しかし、NY市場に入り発表されたCPIと小売売上高が予想よりも弱く、どちらもマイナスとなったことを受けドルが急落。FOMCを前に大きな動きは無いと考えていた参加者が多かったこともあり、ストップオーダーを巻き込みながらドル円、ユーロドルともに100ポイントほどドルが下落してのFOMC待ちとなりました。FOMCでは予想通り0.25%の利上げが行われ、発表直後こそドル円は108.83レベルの安値をつけましたが、バランスシート縮小に関して時期、規模ともに明確に示したことからドルは急反発、一時ドル円は109.87レベルと1円以上ドル買いの動きとなったのちに109円台半ばへ押しての引けとなりました。ユーロドルもNY市場ではほぼドル円同様の動きとなり、欧州市場朝方の水準で引けました。

6月15日(木)

連日荒っぽい値動きが続きます。東京市場こそ動意薄だったものの、欧州市場に入ると弱い欧州株に引っ張られユーロが下げてのスタートを切りました。その後の英中銀MPCの注目度はそれほど高くありませんでしたが、利上げに賛成票を投じた委員が3名と増えたことに反応し、ポンドが大幅高。特に、ポンド円ではストップオーダーを巻き込んで急騰した影響からドル円も一気に110円台に乗せました。その後はドル円でのストップオーダーも出て、110.98レベルまで上昇後に高値圏でのクローズ。ユーロドルもドル円でのドル買いに引っ張られて、1.1132レベルまで下げ安値圏での引けとなりました。

6月16日(金)

金曜の東京市場では、日銀会合と黒田総裁の会見待ちではあったものの株式市場が底堅い動きとなっていたため、ドル円も底堅い値動きを続けました。一部で思惑の上がっていた出口政策については触れられることなく、会見も無風通過。欧州市場では週末を前にしたユーロの買い戻しが出たことや、NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも弱かったこともあって、ドルはダレる動きとなり、NYの昼前には110.65レベルの安値をつけ、そのまま上値の重たいままでの引けとなりました。ユーロドルも1.1202レベルの高値をつけ、高値圏で引けました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月19日(月)
08:50 本邦5月貿易収支(通関)
21:00 NY連銀総裁講演

6月20日(火)
08:00 (シカゴ連銀総裁講演)
10:30 豪中銀理事会(6日)議事録公表
10:30 豪州1〜3月期住宅価格指数
15:00 ドイツ5月PPI
15:30 スイス中銀総裁講演
16:15 フィッシャーFRB副議長講演
16:30 英中銀総裁講演
17:00 ユーロ圏4月経常収支
17:00 南ア1〜3月期経常収支
20:45 (ボストン連銀総裁講演)
21:30 米国1〜3月期経常収支
28:00 ダラス連銀総裁講演

6月21日(水)
08:50 日銀金融政策決定会合(4月26・27日)議事要旨公表
15:30 黒田日銀総裁挨拶
17:00 南ア5月CPI
23:00 米国5月中古住宅販売件数
23:30 米国週間原油在庫

6月22日(木)
06:00 NZ中銀政策金利発表
15:45 フランス6月企業景況感指数
17:00 ECB月報公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:00 米国4月住宅価格指数
23:00 パウエルFRB理事議会証言
23:00 米国5月景気先行指数
23:00 ユーロ圏6月消費者信頼感速報値

6月23日(金)
15:45 フランス1〜3月期GDP確報値
16:00 フランス6月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ6月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国6月MarkIt製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国5月新築住宅販売件数
24:15 (セントルイス連銀総裁講演)
25:40 (クリーブランド連銀総裁講演)
27:15 パウエルFRB理事講演

今週の週間見通し

ここ10日ほどで主要中銀の金融政策決定会合が終わり、日欧は予定通りの現状維持、どちらも出口政策に対する思惑も上がりましたが、そうしたテーマはまだもう少し先といった感じで新たな材料とはなりませんでした。いっぽうで、FOMCが予定通り0.25%の利上げを行ったもののバランスシートの縮小について、時期、金額とも示すと一歩踏み込んだ方向性を示したことでドル買いの材料となりました。

また、注目の低かった英中銀MPCでは利上げを主張する委員が1名から3名へと増加してきたことで、徐々にタカ派のプレゼンスが増し、次の利上げは英国と2年くらい前に聞いたようなセリフが改めて聞こえてきています。これで、一連の金融政策については短期的には方向性が見えてきたことで、いったん材料とはしにくい状態となってきました。

また週末に行われたフランス総選挙の決選投票では、マクロン新党の躍進が補強され、単独過半数を取ることが確定です。フランス政治の安定とともに、果たして新しいフランスを目指せるのかどうか、今後のお手並み拝見ということになるでしょう。お手並み拝見と言えば、最近公約の実現も停滞気味でロシアゲート問題で人気も落ち気味のトランプ政権は、そろそろ人気取りで何か目立つことをやるのではないかという気もします。

さすがに北朝鮮への空爆は無いでしょうが、通商政策もなかなかトンネルの出口が見えない中、比較的圧力をかけやすい日米間の通商政策は最も気になるところ。米中100日計画もその後進展したとの話は聞こえてきませんし、通商対応や為替問題に時々触れて来るホワイトハウス高官の動きを見ていると、そろそろ次の動きが出て来ることでは無いかと感じています。

政策と日柄を結びつけることも無理がありますが、今週は米国株を中心に反転しやすい日柄が連続していて、週全体が、株、商品、為替、金利といった全ての市場において警戒すべき一週間となっています。こうした時に、出て来るニュースというのは大きな影響が出たり、後々尾を引いたりする可能性があるため、ニュースにも注視すべき週と言えます。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。今週は動きも鈍くなってきたので、3月末以降のチャートを拡大表示しました。

直近では、FOMC後にいったん安値を付けたことで、先週安値108.83と6月高値(111.71)〜5月下旬の戻し高値(112.13)に挟まれるもみあいとなってきていることがわかります。今週以降に何かがきっかけとなって円高の流れが再開する可能性が高いと見てはいますが、チャートを客観的に見るともみあいと判断することになります。

5月高値(114.38)と6月安値(108.83)の半値戻しが111.60、61.8%戻しも112.25とこれらのターゲットも、ほぼ上記の高値と近い水準にあり、これらの水準を明確に上回らない限りは、6月安値(108.83)を再度試しに行く展開が今後やってくると言えそうです。

今週のドル円は111.00の大台をサポートに112.00レベルをレジスタンスと、次の円高前のもみあいの一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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