ドル円乱高下の末結局レンジ内(週報6月第三週)

先週はかなり激しい乱高下をたどったものの、方向性はいまひとつハッキリしない。

ドル円乱高下の末結局レンジ内(週報6月第三週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ややドル高・円安で終了。ただ、先週のハイライトはそこではなく、1週間を通してかなりアクティブに上下動したということ。最低でも、合計7円程度の変動をたどった計算で、ストップロスの大切さなどを痛感させられた1週間だった。

ドル/円は110.25-30円と前週末のNYクローズとほぼ同レベルで寄り付いたのち、週央17日の欧米時間まで110円を挟み±50ポイントほどのボックス相場をたどったが、注目材料のFOMCを前に発表された米経済指標が予想を下回ったことで、予想外にドルが急落。110円前半から108円へと一気に値を下げたが、週間安値を記録後、今度はドルが急回復に転じると週末には111.40円台まで達している。ただ、高値を最後まで維持できず、引けにかけて弱含むと、週末のNY時間は110.85-90円で大引け、越週となった。

一方、週間を通した材料としては、当初、FOMCなど日米金融政策に対して注目が集まっており、それらは当然マーケットの波乱要因のひとつとなっていた。
しかし、予想外の反応を示したのは、週間を通した米経済指標を受けて。まずは14日・水曜日に発表された小売売上高や消費者物価が予想下回り、これが同日のドル急落のトリガーに。ところが翌15日は、発表されたNY連銀指数などが良好で、一転して今度はドルの急伸材料となったが、週末16日に発表された住宅着工件数などが悪化したことで、再びドル売りが進行している。米経済指標を受けて、右往左往した1週間だったと言えそうだ。

なお、それ以外の要因を幾つか挙げれば、「仏総選挙第1回投票でマクロン新党が圧勝」、米議会の公聴会に出席したセッションズ司法長官が「露大使との接触は不適切なものではない」と発言、英ロンドンの高層マンション「グレンフェルタワー」で大規模火災が発生しポンド相場に大きな影響を与える、「ユーロ圏財務相会合でギリシャ融資再開合意」−−などがピンポイントでマーケットの変動要因となっていた感を否めない。

<< 今週の見通し >>

前述したように、先週はかなり激しい乱高下をたどったものの、方向性はいまひとつハッキリしない。チャートを見ても、レンジの上下ともブレークを試した感がうかがえるが結果として抜けられず、そうした意味では「大山鳴動して鼠一匹」−−だったのかもしれない。
いずれにしても、先週の流れを継いだ荒れ模様の相場状況を警戒しつつも、以前から何度か指摘している「何故か居心地の良い」110-112円程度のボックス相場入りするのか否か、動静には注意を払いたい。

テクニカルには、強弱のシグナルが混在、判断に迷う、なかなか難しい状況だ。たとえば、一目均衡表で言うと、日足の先行帯の雲が今週1週間を通して112円挟みのレベルで推移することで、抵抗として寄与する可能性が否定できない反面、下値は週足の先行帯の雲の上限(110.15-20円)をNYクローズでも超えてきた。
日足、週足ともに一目では、雲の薄さや今後発生する「捻じれ」などを勘案すると、それほど遠くないタイミングで、いわゆるボックス圏を放れても不思議はないが、それが今週に起こるかどうかはわからない。

一方、材料的には、連日のように実施されるFRB幹部らによる講演にまずは要注意。先週のFOMCでは利上げペースへの慎重姿勢が示される反面、早ければ9月からの保有資産縮小の方向性が示されただけに、改めて出口戦略に前向き姿勢が見られると、ドルの押し目買い材料となりやすいのかもしれない。
また、そのほかでは、週間を通して幾つか発表される米経済指標も波乱要因として警戒しておきたい。通常であればあまり注目されないモノが多いが、先週は発表された米経済指標が3日続けて相場の波乱要因となっていただけに油断は禁物、との指摘も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.00-112.00円。ドル高・円安については、先週高値の111.42円、あるいは高値114.38円を起点とした下げ幅の半値(50.0%)戻しに当たる111.55-60円などの攻防にまずは注視。抜けると112円台回復が名実とも視界内に。
対するドル安・円高方向は、週初は110.60円レベルに位置し、その後も緩やかな右肩上がりをたどる移動平均の200日線がサポートとして意識されそうだ。割り込むようだと、週足・一目均衡表の先行帯の雲の上限(110.15-20円)の攻防が注視されそうで、同レベルはザラ場だけでなく、週末NYクローズで維持できるかどうかも要注意。(了)

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