前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 112.66 114.38 112.40 113.36
ユーロ円 123.54 124.55 122.98 123.92
ユーロドル 1.0966 1.0997 1.0839 1.0932
日経平均 19709.01 19989.94 19705.13 19883.90
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
5月8日(月)
フランス大統領選決選投票の結果は予想通りにマクロン前経済相の圧勝、朝方こそユーロは対ドル、対円で強含みドル円も早朝に113円台をつけましたが、その後のユーロは全面的に利食いの調整売りに押され、金曜安値を割り込むと日計り組のストップも巻き込みながらずるずると水準を下げる動きとなりました。日経平均株価は大幅高で一時19928.48まで水準を切り上げていましたが、ドル円の反応は鈍いままでした。NY市場では労働市場情勢指数が予想よりも強かったことを受け米金利が上昇、ユーロドルはドル買いの動きから一段安の展開となり1.0917レベルまで下落、ドル円はそれまでとは一転してドル買いが強まり高値113.30レベルつけ高値圏での引けとなりました。
5月9日(火)
目新しい材料が無い中、前日同様リスクオンの流れが続きました。ドル円は東京前場こそ鈍い動きとなっていたものの、後場以降は一貫して円売りの動きとなり、NY後場には114.33レベルの高値を示現。引けにかけては米株の売りに引っ張られて113円台後半へと押しての引けとなりました。ユーロドルも週初からのユーロ売りの流れが続き、1.0864レベルまで水準を下げ、NYの引けにかけてはやや戻しました。
5月10日(水)
NY後場の流れを受け東京前場はドルの上値が重たい展開が続きました。それまでも米金利の上下に神経質に反応する動きでしたが、欧州市場序盤に一時的に114円台を回復したもののすぐに反落、NY市場までは再び東京前場の狭い範囲でのもみあいとなりました。NY市場では10年債入札結果を受け米金利上昇とともにドル買いの動きとなり、ドル円は前日高値を上抜けたものの114円台半ばにはドル売りオーダーも控えていた様子で、高値圏でもみあいのまま引けました。ユーロドルもドルの動きとしてはドル円同様でしたが、終日勢いは感じられず狭い値幅での取引に終始しました。
5月11日(木)
ドル円が114円台半ば、ユーロ円は124円台半ばにそれぞれ売りが見える中、日経平均株価も2万円の大台を目前に足踏みと徐々に上値が重たい展開での海外市場入りとなりました。英中銀MPCの結果と総裁発言を受けポンドは大きく値を下げ、ユーロもやや追随する動きとなっていましたが、ドル円もユーロ円での下げがリードする形でじり安の動きとなりました。大きな動きが出たのはNY市場に入ってからで、極端に低いVIXに警戒する状況下、NYダウが大幅安となり、それに伴い米金利が低下、ドル円も一時113.46レベルの安値を付けました。その後ダウは急速に値を戻し、ドル円も114円を回復する場面も見られましたが、売り遅れていた向きの売りにも押されての引けとなりました。
5月12日(金)
前日の流れを受けドル円は上値の重たい展開を続けましたが、NY市場に入り弱い経済指標を受け一段安となり一時113.20の安値を付けました。引けにかけては113円台前半での小動きに終始しましたが、短期的には114円台前半でいったん高値をつけた格好となりました。ユーロドルはNY市場までは動意薄、その後ドル円とともにドル売り(ユーロ買い)の動きとなり、1.0935レベルへと上昇後、高値圏で引けました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
5月15日(月)
11:00 中国4月小売売上高、鉱工業生産
16:00 トルコ2月失業率
18:00 ギリシャ1〜3月期GDP速報値
20:45 プラートECB理事講演
21:30 米国5月NY連銀製造業景況指数
23:00 米国5月NAHB住宅市場指数
5月16日(火)
10:30 豪中銀理事会(2日)議事録公表
17:00 イタリア1〜3月期GDP速報値
17:30 英国4月CPI、PPI
18:00 ドイツ5月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏5月ZEW景気期待指数
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値
21:30 米国4月住宅着工、建設許可件数
22:15 米国4月鉱工業生産、設備稼働率
24:30 オーストリア中銀総裁講演
26:00 クーレECB理事講演
5月17日(水)
07:45 NZ1〜3月期PPI
17:30 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏4月CPI確報値
20:00 南ア3月小売売上高
23:30 米国週間原油在庫
24:10 バーナンキ前FRB議長講演
5月18日(木)
08:50 本邦1〜3月期GDP速報値
10:30 豪州4月失業率
16:45 メルシュECB理事講演
17:30 英国4月小売売上高
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月フィラデルフィア連銀製造業指数
21:45 ラウテンシュレーガーECB理事講演
23:00 米国4月景気先行指数
26:00 ドラギECB総裁講演
26:15 (クリーブランド連銀総裁講演)
5月19日(金)
17:00 ユーロ圏3月経常収支
19:00 英国5月CBI製造業受注指数
21:00 コンスタンシオECB副総裁講演
22:15 (セントルイス連銀総裁講演)
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値
今週の週間見通し
ドル上昇は材料出尽くしか
ここしばらく想定以上のスピードで円安が進み常に予想レンジよりも大きく上にはみ出す状況が続いています。先週も米国の6月利上げ思惑やS&P500を中心に米国株が続伸したことや、地政学リスクの後退といったことを材料に一時114.38レベルまでドル買い・円売りが進むこととなりました。
いつもお読みの方はお分かりの通り、フランス大統領選1回目の投票以降の円安の進行スピードが速すぎることや、直近の113円を超える円安水準には材料に比して行き過ぎと考えているからということもありますが、先週のニュースを見ている限りドル買い(円売り)材料は大方織り込み済みの状態であると見ています。6月利上げはほぼ確定ですし、株高もVIX(S&P500のボラティリティ)の極端な低下とともに、いったん短期的な高値圏を形成しつつあり、日経平均株価に至っては2万円の大台を見られずにいて、あらかた出尽くし感があるのではないかと思っています。
日米通商問題は今後交渉激化も
いっぽうで、日米間の通商問題は今後話し合いが行われていくわけですが、ロス商務長官の発言や対日対中強硬派のUSTRライトハイザー代表が正式に承認されたことを考えると、今後ますます対日赤字に対する米国内の議論が増えて来るであろうことは容易に想像がつきます。さらに、FBI長官の更迭といった米国の政治問題やなかなか進展を見せないトランプ大統領の公約といったことから、とりあえず米国民の目を外に向けさせる戦略を使い、その際米国から見て圧力を加えやすい日本は標的となりやすいと言えます。
北朝鮮地政学リスク
もうひとつ、北朝鮮が週末にミサイル発射を行いましたが、米国はICBMではないと今のところ静観状態を続けていますが、これは水面下で中国となるべく騒がないといったような合意がありそうです。しかし、今年に入ってからのミサイルは高度の高いミサイルが増えてきて、今回のミサイルについては迎撃ミサイルでの対応が困難なものとの報道で、狂気のトップが自滅覚悟の行動でも起こしたらと万が一を考えると、とてもこれまでのようなリスクオンに動くことは出来ません。
そうした点で、これまでの円安の動きに対していよいよ調整が入る流れに転じてきたのが今週と言えるのではないかと考えます。
今週のレンジは112-114
日足チャートをご覧ください。
フランス大統領選開票後のランニング・ギャップの上限となる109.60から大台110円は引き続き強いサポートとなっているため、それよりは上の水準でのサポートを考えることとなりますが、既に先週の114.38(チャート上は114.36)で高値をつけたと考えると、安値の起点(=4月安値)108.14からの上げに対する38.2%押しが111.99(正確には112.00)となり、同水準を現在はサポートにしていると考えられます。
112円水準は3月高値(112.21)を超え上昇に弾みがついた水準でもあり、日足均衡表の雲の上限とも近い水準です。当面のサポートと考えるには他のテクニカルな観点からも妥当と言えます。またレジスタンスに関しては、114円台の上値の重さを確認していますので、今週は、112.00レベルをサポートに、114.00レベルをレジスタンスとする週を見ておくとよいでしょう。
ユーロIMMポジション3年ぶりロングへユーロ買いもやや行き過ぎか
今週はユーロについて一点注意を促しておきます。
IMM(シカゴ通貨先物)も含め、米国の先物取引火曜終値時点におけるポジションが毎週末に発表されますが、先週火曜時点のユーロのポジションが2014年5月以来3年ぶりにロングに転じました。これは、一時期の悲観的なユーロの流れから考えると驚きとも言え、いくら各国の政治的な安定がユーロ高に貢献したとはいえ、行き過ぎと考えられます。
引き続き1.10の大台は上記観点(行き過ぎから新たな売りが出やすい)からも強いレジスタンスとなりやすいと考えています。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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