ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「レンジでのもみあい継続と見て、8.50レベルをレジスタンスに8.15レベルをサポート」としました。実際のレンジは、安値が8.26レベル、高値が8.56レベルと、予想より若干底堅い値動きの週となりました。
先週のランド円はドルランドが13.50レベルをもみあいの中心としつつも、ややランド高(ドル安)に動く週となりましたが、それ以上に米金利や米国株の動きを材料としたドル円での円安の動きがクロス円全般での底堅さを形成した週と言えます。
しかし、ドル円も週後半には反落し、また週報に書いた通りですが米国の政治面から来るドル安懸念や、改めて注目が高まっている北朝鮮のミサイル技術の進歩から来る地政学リスクによる円買いといったニュースが、目先の円安進行に歯止めをかける動きになると言えるでしょう。
いっぽうでランドにも材料が無かったわけではありません。あまり材料とはなっていませんでしたが、ニュースとして面白かったのは主要な米銀(JPモルガン、モルガンスタンレー、バンクオブアメリカ)が顧客に対して、トルコリラやメキシコペソといった他の新興国通貨に対して南アフリカランドの売りを推奨したというものです。理由としては、今後の南アフリカ政治において、改めて現与党(ANC)内におけるズマ大統領に関する懸念が再燃するとの思惑ですが、
より具体的には、JPモルガンはランドリラのターゲットを3.90、バンクオブアメリカは4.10と更なるランド安予想を立てています。また、モルガンスタンレーはランドペソのターゲットを1.44から1.33へと下方修正しています。ランドとトルコリラは対ドルでの動きをここでも紹介していますので多少はなじみがあると思いますから、今週は新興国通貨クロスのチャートを見ながら、テクニカルに妥当性があるのかを見てみましょう。
ランドペソ(ZAR/MXN)ドルペソ(USD/MXN)四時間足
上段がランドペソ(ZAR/MXN)下段がドルペソ(USD/MXN)です。メキシコペソは、実際には新興国通貨の中でも取引量が多く、メキシコペソとしての材料に加え、他の流動性が低い新興国通貨の代替的なヘッジ通貨としてもしばしば使われます。
こうしたマイナー通貨のクロスはどの通貨をどの通貨で割ればいいのかピンと来ないと思いますので、そうした時には主要な割り算通貨(自国通貨建て、USD/???として表示される通貨ペア)のクロス円をイメージするとわかりやすいでしょう。一例としてスイス円を考えてみます。USD/JPY÷USD/CHF=CHF/JPYとなりますから、USD/MXN÷USD/ZAR=ZAR/MXN、つまりランドペソとなるわけです。
上のチャートは、上記要領で2つの通貨ペアから合成したランドペソ(ZAR/MXN)の日足チャートです。既に1月1.6323で高値をつけ、現在は1.4058レベルでの取引となっていて、モルガンスタンレーによる当初のランドペソのターゲット1.44は下回り、昨年10月の水準となる1.33への下方修正も頷けるチャートの形と言えるでしょう。
こうした米系金融機関による見通しの変更は短期的には影響は出にくいかもしれませんが、今後じわじわと効いてくる可能性がありますので、引き続き注意するに越したことはありません。
それでは、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。こちらは見慣れたものだと思います。ひとこと付け加えると、USD/JPY÷USD/ZAR=ZAR/JPYであることはすぐにわかりますね。
ランド円、ドルランド、ドル円四時間足
ここまで説明してきたようなランド売り推奨の事実がありますので、ランド円に対してもじわじわとランド売りが出て来る可能性を考えたいところです。直近3週間では8.56を高値に4月安値と4月高値の半値にあたる8.21をほぼサポートする動きを続けています。8.55で高値をつけた可能性が高いと考えれば、今後は下のサポート圏へと向かいやすいと見るべきでしょう。
今週は、8.55レベルをレジスタンスに8.25レベルをサポートと先週の動きを折り返す展開を考えておきます。
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