ドル高リスク残るが調整継続も(5月第三週)

先週もドル/円相場は、ドル高・円安。週の半ばには、3月15日以来の高値である114.38円まで一時値を上げる局面も観測されていた。

ドル高リスク残るが調整継続も(5月第三週)

<< 先週の回顧 >>

先週もドル/円相場は、ドル高・円安。週の半ばには、3月15日以来の高値である114.38円まで一時値を上げる局面も観測されていた。週足は4週続けての陽線引けであり、ドルの強さが再確認された1週間と言えそうだ。

前週末5日のNY市場を112.70円前後で大引けるなか、週末7日に実施されたフランス大統領選の開票結果・マクロン氏勝利確実との報道を受けて週明け8日は円売り優勢でスタート。下方向に20ポイントほどのギャップを空けた112.90-95円で寄り付いた。

そのギャップはすぐに埋めるも、112.40円レベルでは底堅い。米クリーブランド連銀総裁が「政策目標を完全達成する前に行動に出る必要」などと発言したことを受け、米金利が反転上昇したこともあり、為替市場もドル高の流れに傾くと、週の半ば11日のNY時間には114.38円の高値を記録した。ただ、そのあと週末にかけては、ポジション調整の動きに加え、発表された米経済指標がやや冴えない内容となったことが失望を呼び、若干値を崩すと113.35円前後で1週間の取引を終了している。

なお、1週間を通してのニュースや材料、前述したもの以外では、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁から「緩やかな利上げを遅らせるのはリスク」との発言が聞かれるなど、米当局者から早期利上げを後押しするようなコメントが相次いだうえ、ロス米商務長官からも「ドルが強すぎるわけではない、他通貨が弱すぎる」との指摘が観測されていた。
一方、9日には韓国大統領選が実施され、「親北派」として知られる文・「共に民主党」前代表の就任が決定、週末にかけてはG7財務相・中銀総裁会議や、それと絡めた日米財務相会談などが開催されたものの、マーケットへの影響はそれほど大きくなく、値動きも限られたものに留まっている。

<< 今週の見通し >>

基本的なリスクは依然としてドル高方向にバイアスがかかるものの、先週半ばにかけて台頭した115円台乗せトライのような雰囲気は遠のいだ感を否めない。
その理由は大きく3つ存在し、ひとつは先週末にかけて発表された米経済指標の悪化で、ほぼ確実とされていた6月の米利上げ観測に幾分の揺らぎが生じてきたこと。ふたつめは、トランプ米大統領がFBI長官を解任したことについての批判が日増しに高まっており、一部では「第2のウォーターゲート事件」といった指摘も聞かれるなど、議会や野党・民主党の反発と政策停滞が懸念されていることになる。そして、最後3つめは、週末14日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射しており、再び地政学リスクが強まる懸念があることだろう。いずれにしても、115円レベルは近くて遠い存在という気もしている。

テクニカルには、移動平均や一目均衡表などでみた上方向のテクニカルポイントを次々上抜けており、ドルの続伸が期待される足形だ。ただ、日足は先週末にかけて2日続けての陰線引けで、やや上値が重くなってきた感も否めない。安値108.13を記録した後の上昇において、調整らしい調整が入っていないこともあり、115円を前にした本格的な調整が入る可能性も取り沙汰されている。
ちなみに、そんなドルの下値メドは非常に強いサポートだと112円前後で、割り込んでも111円後半にはテクニカルポイントが少なくないようだ。

一方、材料的には中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際フォーラムや、トランプ米大統領の初外遊、アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合などが注目されるが、やや端境期的な週。米経済指標の発表なども少なく、全体的にはパッとしない。
それによりも、米金利や株価、原油など他金融市場の動きや、先で記した北朝鮮を中心とした地政学リスク、米FBI長官解任事件の顛末などのほか、26日からのG7首脳会談をにらんだ要人発言などに警戒しておく必要があるかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.50-115.00円。ドル高・円安については、まずは先週高値の114.38円が最初のドルの抵抗に。抜ければ、115円や115.51円などがターゲットとして意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、週足・一目均衡表の基準線が位置する112.70円レベルがサポートで、割り込むようだと112円レベルがターゲット。後者は心理的な意味合いのほか、安値108.13円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しにもあたるポイントで、前後ではかなり底堅いイメージも。(了)

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