大統領演説次第但ドルの戻りは鈍い(週報2月第4週)

大統領演説次第、但ドルの戻りは鈍い

大統領演説次第但ドルの戻りは鈍い(週報2月第4週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値   高値   安値   終値

ドル円  112.91 113.78 111.93 112.17
ユーロ円  119.98 120.32 118.25 118.46
ユーロドル  1.0625 1.0630 1.0494 1.0561
日経平均 19161.33 19419.22 19115.11 19283.54

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

2月20日(月)

週明けの東京市場では株価がじり高の動きを見せる中で、ドル円、クロス円もじり高の展開となりました。しかし、NY市場が休場となることもあって取引は全般に閑散、海外市場に移ってからドル円は113.01〜20の狭い範囲で様子見のまま引けました。ユーロドルも終日1.06台前半の狭いレンジでの取引に終始し凪相場の一日となりました。

2月21日(火)

東京市場では、前場にFOMCで投票権のあるフィラデルフィア連銀総裁が3月利上げの可能性に言及したことに加え、株高や大口のドル買いが出たことも重なって前日のもみあいを上抜け113円台後半までドル買いが進みました。その後は113円台半ばから後半でのもみあいに終始しましたが、底堅い地合いでの引け。ユーロドルも東京市場から前日安値を下回ると急速に売られ、欧州市場でも材料自体はこれまで同様でしたが、対ドル、対円で一段安の動きとなりました。

2月22日(水)

東京市場では、前日113円台後半で天井圏を形成し上値が重たくなる中、株価とともにじりじりと水準を下げる展開となりました。欧州市場に入ると改めてフランス大統領選における政治リスクに焦点が移り、ユーロが対ドル、対円で下落、ユーロドルは1.05割れ、ユーロ円はドル円での売りが強まったことも相まって118円台半ばまで水準を切り下げました。NY市場に入るとフランス大統領選のバイル候補がマクロン候補支持に回るとのニュースにユーロが急反発し、対ドル、対円ともに下げる前の水準へと戻しました。FOMC議事録はドル高リスクについても言及していたためドル円は急反落し112円台に入り込んだ後、引けにかけて買い戻しも出ました。ユーロドルは1.0574レベルまで日中高値を更新し、強い地合いのまま引けました。

2月23日(木)

東京市場では目立った動きは無かったもののドルの上値が重たい展開が続きました。欧州市場の昼頃にマヌーチン米財務長官が米金利が低金利を続ける可能性について言及したことからドル売りの動きとなり、NY市場の昼頃にはドル円が112.55レベル、ユーロドルが1.0595レベルのそれぞれドル安値を付け、安値圏での引けとなりました。ユーロ円はドル円でのドル売りの動きが若干速かったことから119.04レベルまで下げた後にやや戻して引けました。

2月24日(金)

東京市場では仲値に向けて実需買いが出たものの後が続かず、その後は買われる前の水準に押しての海外市場入り。欧州市場では夜間取引で日経先物が水準を下げる中、リスクオフの動きからドル円、クロス円での売りが目立ち、前日安値を下回ってからは短期筋の週末前のストップオーダーも巻き込みながら一段と水準を下げる動きとなりました。NY市場ではユーロ円が水曜安値を下回ると売りが広がり118.25まで押す動きとなりました。ドル円は終日じり安の流れ、ユーロドルもNY市場まではドル円の動きに沿って買いが目立ちましたが、ユーロ円の売りに押され朝方の安値を下回っての週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月27日(月)
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感確報値
22:30 米国1月耐久財受注
24:00 米国1月中古住宅販売保留件数指数
24:30 米国2月ダラス連銀製造業活動指数
25:00 ダラス連銀総裁講演
30:45 NZ1月貿易収支

2月28日(火)
09:00 NZ1月ANZ企業信頼感
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
09:30 豪州10〜12月期経常収支
16:45 フランス10〜12月期GDP速報値
21:00 南ア1月貿易収支
22:30 米国10〜12月期GDP改定値
22:30 米国1月卸売在庫
23:00 米国12月ケースシラー住宅価格指数
23:45 米国2月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国2月リッチモンド連銀製造業指数
24:00 米国2月消費者信頼感指数
29:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

3月1日(水)
08:50 (セントルイス連銀総裁講演)
09:30 豪州10〜12月期GDP
10:00 中国2月製造業・非製造業PMI
10:45 中国2月MarkIt製造業PMI
11:00 トランプ大統領議会演説
17:50 フランス2月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ2月失業率
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI確報値
18:30 英国2月製造業PMI
22:00 ドイツ2月CPI速報値
22:30 米国1月個人所得、消費支出
23:45 米国2月MarkIt製造業PMI確報値
24:00 米国2月ISM製造業景況指数
24:00 米国1月建設支出
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:30 米国週間原油在庫
27:00 ダラス連銀総裁講演
28:00 ベージュブック

3月2日(木)
08:00 ブレイナードFRB理事講演
09:30 豪州1月貿易収支
15:45 スイス10〜12月期GDP
17:00 スペイン10〜12月期GDP確報値
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値
19:00 ユーロ圏1月失業率
21:30 米国2月チャレンジャー人員削減予定数

3月3日(金)
*米国雇用統計は第2金曜10日となります。
08:30 本邦1月失業率、有効求人倍率
08:30 本邦1月CPI、2月東京区部CPI
09:00 (クリーブランド連銀総裁講演)
10:45 中国2月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ2月CPI
17:50 フランス2月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ2月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏2月サービス業PMI確報値
18:30 英国2月サービス業PMI
22:45 米国2月MarkItサービス業PMI確報値
24:00 米国2月ISM非製造業景況指数
24:15 シカゴ連銀総裁講演
26:15 パウエルFRB理事講演
27:00 イエレンFRB議長講演
27:00 フィッシャーFRB副議長講演

今週の週間見通し

先週は3月利上げ思惑の高まりによるドル買い、米国財務長官の低金利継続発言とFOMC議事録のドル高リスク言及によるドル売りと、ドルに関する材料は好悪どちらもありましたが、ドル円に明らかにドル売りが強まった一週間となりました。

市場参加者が懸念している材料として、先週も触れた麻生財務相による為替水準の発言があります。基本的には為替水準について心配していないという楽観的な発言ですが、発言に「120円に行ってないので円安と言われる覚えはない」という一定水準を示したことが問題視されているわけです。

裏を返せば120円台を超える水準は円安と言われる可能性があるとも取れる訳ですから、うがった見方をすれば暗に120円という水準に言及することで、輸出を中心とするドルを売らなくてはならない実需筋に今の内に売っておけと示唆したと取れなくもありません。通常、財務大臣が特定の為替水準に触れることはありませんが、過去の歴史を振り返れば節目で為替の水準について一定の数字を言っていることはありました。日米間の為替に関する協議は今後のテーマということにはなっていますが、協議前にあまり円安にならないようにガス抜きをしたとも取れるでしょう。

また、財務大臣ではありませんが、黒田日銀総裁も125円を超える円安となった時に円安をけん制しているとも取れる発言を行い125円が黒田ラインと呼ばれるようになったことは記憶に新しく、それ以降は見ることの無い水準となってしまいました。120円という大台が今後のドル円の大きな天井となってくる可能性は否定できません。今後120円を見ることが無いという可能性も否定できず、個人的にはFX羅針盤に書いた2017年のドル高値は既に1月に見た可能性が高まってきていると考えています。

さて今週は米国雇用統計が来週に先送りされている代わりに、重要なイベントが28日(日本時間1日11:00)にあります。例年一般教書と呼ばれる演説ですが、大統領就任初年度ということで単に議会演説ではあるものの任期4年間の所信表明演説といった意味合いを持ちますので重要な演説です。驚くような税制改革も含めトランプ政権が何をするのかを市場参加者も注目しています。

この演説で期待以上の内容が出てくれば更なるダウの史上最高値更新をきっかけとしたドル買い戻しが入る可能性はありますが、既に市場の期待は驚くようなという言葉をもある程度織り込んでいることを考えるとドル高の動きよりも、失望した時あるいは材料出尽くしによるドル売りリスクの方が大きい気がしています。

さらに米国株は強気ではあるものの日本株は米国株の動きから離れ上値が重たくなってきていますので、その点からもドルの上値が重たい先週の地合いは大きな変化が無いのではないかと見ています。最近は東京市場の時間帯に重要なイベントが来ることが多いのですが、1日の東京市場は今週、そして3月最大の注目イベントとなることに備えておきましょう。

テクニカルにも大きな変化はありませんので、今週の予想レンジは、110.75レベルをサポートに、113.25レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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