豪中銀ロウ総裁の議会経済委員会でのスピーチ
オーストラリア中銀総裁が議会の経済委でスピーチした内容に関して抜粋しています。
(発言要旨)
…豪州の国内経済に目を向けると、数年前に2016年のGDPは2.5%〜3%になると予想していた。まだ最終数値は入手していないが、おそらくそれよりは低い成長…約2%程度…に留まるだろう。9月期が驚くほど弱かったからである。これは一時的要因が影響している。だが、現状入手している経済指標を見ると、12月期にはリーズナブルな成長に回帰していくと予想している。
さて、将来について概観すると、豪州経済は今年・来年と約3%成長になると予想している。2012年以降、我々は鉱山関連投資の減少や商品価格の下落により、逆風に直面していた。昨年央から、商品価格下落の逆風が緩やかな追い風に変わってきた。鉱山関連投資の下落による逆風はまだ吹いており、投資がより普通の水準まで戻るにはまだ時間がかかると思われる。ただ、今後2〜3年間は液化天然ガス生産の増加の恩恵を受けると思われる。
経済状態は国中通して拡大を続けている。鉱山関連投資が下がっている州では弱いものの、その他地域ではより強く成長が拡大している。最近、企業マインドが明らかに上昇している。暫くの間非鉱山関連投資の拡大で成長をしてきた。特にニューサウスウェールズやビクトリア州で顕著な投資増がみられる。鉱山関連投資の減少が次第に終わりへと近づけば、更に広い範囲での成長が期待できる。
我々は1の分野で景気サイクルに関して注視している。それは居住用住宅の建設活動である。これまでここ数年間の成長を支えきた項目である。最近、新築建設許可件数が減少したが、パイプライン建設で就業している多くの労働者用のアパート建設増加があり、今年もある程度の成長は期待できる。しかしながら、幾つかの市場では、不動産開発の状況がきつくなっているところが見受けられる。より広い住宅関連でみていくと、先行きはかなり複雑である。鉱山関連投資の下落による調整から、アパートの供給増が見られる。そしてその地域での住宅価格が下落している。
その他の経済側面では堅調に推移している。また人口増で供給サイドは強く、住宅価格も上昇続けている。ただ、賃貸はまだ低いままになっている。
消費者物価に関しては、1年前にインフレが2%以上越えると期待していたが、昨年はそれ以下になってしまった。約1.5%である。賃金の伸びが低く、鉱山関連の調整を反映して、労働市場の需給が緩和している。まだ暫く低い状態が続くと見られる。
それでも我々はインフレが更に下落するとは予想していない。我々の判断ではインフレが目標レンジの中央に向かって上昇していくと予想している。最近の世界経済改善がさらにそれを裏付けている。今年末頃にはインフレが2%を越えていくと予想している。
昨年9月以降、中銀の委員会はキャッシュレートを1.5%のまま据え置いている。
最近の会合で、委員会は2つの動向に注視している。それは家計の借入のトレンドと労働市場のトレンドである。
勿論、利下げすれば人々にとって借入がし易くなるし、使い易くなる。しかしバランスシートは痛められる。余りに多くの借入は将来の問題を引き起こす。なぜなら、債務は返済しなくてはならないからだ。我々は通常の収入と借入の関係について注視している。
また、労働市場にも注視している。これは住宅関連にも影響するからだ。
中銀は色々な問題をバランスとりながら、行っている。これは中期のインフレ目標2%を達成するためであり、現状のキャッシュレートを維持することで、経済成長を下支えできるとみている。
(以上)
(注)豪州中銀総裁の議会スピーチ要旨は一部を和訳したものであり、詳細は金融政策スピーチ本文をお読みください。
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