ドル円 高値圏でのもみあい継続(週報10月第3週)

ドル円でも大台乗せの達成感とストップオーダーが一巡したこともあって、149円台半ばと週初に近い水準での週末クローズとなりました。

ドル円 高値圏でのもみあい継続(週報10月第3週)

高値圏でのもみあい継続

〇先週のドル円、木曜に週間高値150.32レベルつける
〇大台乗せの達成感とストップオーダー一巡で、149円台半ばと週初に近い水準での週末クローズ
〇10/23米ベージュブック公表、各地区の経済情勢がどのように変化しているか注目
〇10/25東京区部CPI発表、前回の総合2.2%、コア2.0%から今回は上がる予想
〇10/27総選挙、与党過半数割れなら株式市場は下げ、ドル円は150円の大台試しに行く可能性高まるか
〇今週は147.80レベルをサポート、150.20レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週初から150円の大台トライの動きを見せたものの、オプション絡みの売りオーダーもあり反落、日経平均株価が4万円の大台を見たことによる達成感から株安に引っ張られ、いったん週初の安値を下回ったところからドル買い再スタートとなりました。火曜の欧州市場以降は安値高値とも切り上げながら木曜NY市場で150円の大台に乗せ週間高値となる150.32レベルをつけました。しかし、ドル円でも大台乗せの達成感とストップオーダーが一巡したこともあって、149円台半ばと週初に近い水準での週末クローズとなりました。

金曜の日銀筋の話として今月の利上げの必要性は乏しいとしつつも今後の利上げは排除しないとしたことで、改めて日米金利差縮小もテーマとなりやすくなっています。FRBは年内2回の利下げで、日銀は年内の利上げは無いというのがこれまでのコンセンサスでしたから、金利差縮小幅が0.5%から0.75%になるかもしれないという見方が今後の日本のインフレ率次第では増えてくる可能性があります。

そうした中で今週金曜に東京区部のCPIが発表されますが、前回の総合2.2%、コア2.0%から今回は上がる予想となっていますので、まずは東京の数字を見ることとなります。

また日本の材料としては週末27日に総選挙、即日開票となりますが、与党は自公での過半数を目標としているものの現状では過半数前後と微妙な予想となっています。ただ、自民の公認から外れた候補が当選した場合の追加公認であるとか、さらには枠を広げて維新、国民民主まで連立に加えるといった構想も出ていることを考えると、自民を中心とした与党の枠組みに変化が出そうもありません。ただ立憲の野田代表が言うように6月には共同で内閣不信任を出しておきながら連立に加わるのはどうかとの意見ももっともで、そこまでの連立枠拡大は無いかもしれませんが、結果次第でしょう。ただ、これをやると来年の参院選に向けて石破内閣の支持率は低下すると思われます。

先週の米国株上昇に対して日本株安の動きは与党が過半数割れする可能性へのリスクオフの動きであったと解釈されていますので、過半数割れの場合は株式市場は下げ、為替市場は当初は株安による円高に動く可能性がありそうですが、海外勢は政局不安定をその国の通貨の売りで反応することが一般的です。その場合は改めて150円の大台を試しに行く可能性が高まりそうです。現在のコンセンサス、自公での過半数を維持という場合には、現在のドル高値圏でのもみあい継続というところでしょう。日曜夜の開票速報と月曜早朝の初動には注意しておきましょう。

米国サイドではベージュブック(地区連銀経済報告)が公表されますので、各地区の経済情勢がどのように変化しているのかに注目です。今回はハリケーンの影響もあり、それも含めて次回FOMCでの判断材料となりますし、その前に市場参加者がどのように判断するか見ておきましょう。それ以外にはあまり目立ったイベントもありませんのでテクニカルに見て行きます。いつもの日足チャートをご覧ください。

高値圏でのもみあいが続いています。150円の大台乗せを見たことで上側は達成感が出たいっぽうで、下がったところでのドル買い意欲も衰えません。これまでのもみあいの水準から今週も148〜150円を中心としたもみあいを継続しやすいと見てよさそうです。今週は147.80レベルをサポートに、150.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

高値圏でのもみあい継続

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月21日(月)
15:00 ドイツ9月PPI
21:55 (ダラス連銀総裁講演)
23:00 米国9月景気先行指数
26:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
**:** IMF総会(〜26日)

10月22日(火)
06:05 (カンザスシティー連銀総裁講演)
22:00 ポルトガル中銀総裁講演
22:05 オランダ中銀総裁講演
22:25 英中銀総裁講演 ☆
22:45 オーストリア中銀総裁講演
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆
23:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
26:00 フランス中銀総裁講演 ☆
27:00 フィンランド中銀総裁講演
**:** BRICSサミット(〜24日)

10月23日(水)
22:00 ボウマンFRB理事講演 ☆
22:45 カナダ中銀政策金利発表
23:00 ラガルドECB総裁 ☆、レーンECB理事講演 ☆
23:00 ユーロ圏10月消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国9月中古住宅販売 ☆
23:30 週間原油在庫統計
24:30 チポローネECB理事講演
25:00 スペイン中銀総裁講演
27:00 ベージュブック ☆
29:30 英中銀総裁講演
**:** G20(〜24日)

10月24日(木)
15:45 フランス10月企業景況感
16:15 フランス10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
22:45 米国10月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 米国9月新築住宅販売 ☆

10月25日(金)
08:01 英国10月消費者信頼感
08:30 本邦9月東京区部CPI ☆
15:45 フランス10月消費者信頼感
17:00 ドイツ10月企業景況感
21:30 米国9月耐久財受注 ☆
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感

10月27日(日)
**:** 欧州・英国冬時間に移行 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月14日(月)
週明けのドル円は日米が3連休となる中で底堅い動きでスタートしつつも欧州市場前場までは高値圏でのもみあい。その後日経先物がしっかりと4万円台に乗せ、NYダウも史上最高値を更新するとリスクオンの動きから円売りが強まりました。一時149.98レベルの高値をつけましたが、150円の大台トライとはならず、やや下押しして引けました。

10月15日(火)
ドル円は前日に大台150円目前でトライしきれなかったこと、前場に日経平均が4万円の大台乗せを見た後に達成感から急速に値を下げる動きとなったことを背景にドル売りが先行、欧州市場前場には148.84レベルまで下押ししました。その後も株式市場が引き続き弱く、NY市場では弱い経済指標を受けて米金利低下となったものの、ドル円は148円台での押し目買いが根強く149円台前半に戻しての引けとなりました。

10月16日(水)
ドル円は東京前場こそ売りが先行し一時148.85レベルの安値をつけたものの前日安値をトライしきれず、148円台では押し目買いで入る向きが目立ち、すぐに元の水準に戻した後は149円台前半でのもみあいが続きました。NY前場にダウが買われる動きとともにドル円も上昇、149.80レベルの高値をつけたものの150円の大台は試せずやや押して引けました。

10月17日(木)
ドル円は東京前場に売り先行、後場は買い戻しの動きとなり欧州市場序盤には前日高値は超えたものの月曜高値は超えられず149円台半ばでNY市場入りとなりました。NY市場では予想よりも強い経済指標に反応し米金利上昇、ドル買いの動きとなり150円の大台を突破、その後も底堅い動きとなり引け間際には150.32レベルの高値をつけ若干押して引けました。

10月18日(金)
前日に150円の大台乗せを見たことから達成感も出た様子で朝方からドル売りが先行、多少の買い戻しも挟みながら徐々に上値が重くなりました。日銀関係者の話として今月の利上げの必要性は乏しいとしながらもその後の追加利上げは排除されないとしたことも上値を抑える要因となりました。NY市場では米金利低下の動きも手伝って週末前のポジション調整から149.36レベルまで水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。



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