ECB理事会結果のポイント:想定よりも「タカ派」、10月30日の第3四半期独GDPに注目(24/10/21)

欧州中央銀行(ECB)理事会は、全会一致で主要政策金利を0.25%引き下げた。

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ECB理事会結果のポイント:想定よりも「タカ派」、10月30日の第3四半期独GDPに注目(24/10/21)

想定よりも「タカ派」、10月30日の第3四半期独GDPに注目

【今回のポイント】

〇 想定通り政策金利は0.25%引き下げ
〇 追加利下げに関してはこれまで通りの「データ次第」に留める
〇 「ハト派」回避でユーロしっかりだが、ユーロ安の懸念は残る

【ECB理事会の結果】

欧州中央銀行(ECB)理事会は、全会一致で主要政策金利を0.25%引き下げた。ラガルドECB総裁は、足元の景気減速によってインフレ見通しが下振れた点を認めたが、次回12月の会合での追加利下げ等の政策決定には具体的に言及しなかった。声明は以下の通り。

「必要な限り金利を制限的に維持する」
「会合ごとにデータ依存型のアプローチを取る」
「特定の金利道筋についてコミットしない」
「インフレ率は目標に向けて低下する前に再び上昇すると予想」
「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」
「PEPPの再投資は今年末でやめる意向」

ラガルドECB総裁は記者会見で下記のような発言をした。

「最新のデータは、より緩慢な成長を示唆」
「家計の消費は予想を下回っている」
「経済は予想よりもやや弱い」
「ほとんどの基調的インフレ指標は低下したか横ばい」
「賃金上昇圧力は強い」
「経済は時間とともに強くなると予想」
「国内のインフレはまだ強い」
「成長に対するリスクは下振れ方向」
「エネルギー価格の水準効果によって、インフレは向こう数カ月で上昇へ」
「地政学的緊張はインフレの上振れリスク」
「インフレは2025年に目標に低下」
「ユーロ圏のリセッションを予想せず」
「(ドイツ景気減速によるユーロ圏の影響は?に対する回答)ユーロ圏全体が製造業の不振に一様に影響される訳ではない」
「インフレのリスクは恐らく上方向ではなく、やや下方向」

【市場の反応】

ECB声明やラガルド総裁の記者会見は、利下げスケジュールに関しては引き続き「データ次第」の姿勢を取ったほか、ドイツ経済の影響もユーロ圏には波及しないといった、想定よりも強気な「タカ派」な内容となった。ユーロは、ソフトランディング期待が強まっていたドルに対して、10月初旬からユーロは弱く、1.12ドルからじりじりとした下落が続いていたが、17日の1.08ドルで下げ一服となった。一方、対円では、じりじりとしたユーロ高円安が続いていたが、8月15日以降の上値抵抗水準でもある163円台後半で上げ一服。162円台後半でのもみ合いとなっている。

【今後、ユーロはどう動く?】

今会合では、やや強気な声明及び発言となったが、今後、ドイツ及びフランスの政治・経済情勢の悪化状況によっては、「ハト派」への路線変更は十分にあり得ると考える。年内最後のECB理事会は12月12日に開催されることで、2カ月弱の間、ユーロ圏やドイツ、フランスの消費者物価指数など多くの経済指標が発表される。目先の注目は、10月30日のユーロ圏、ドイツ、フランスの第3四半期GDP(速報値)だろう。特にドイツは、24年第1四半期は前期比0.2%増でなんとかリセッション入りを回避したが、第2四半期GDPは同−0.1%と再びマイナス成長となった。

既に10月9日、ドイツは2024年経済成長見通しを従来の0.3%増から−0.2%に下方修正しているため、第3四半期、そして、第4四半期も厳しい状況となるのがほぼ明確な状況である。ドイツ経済が悪いことは市場の想定線ではあるが、10月30日の第3四半期GDP発表のタイミングで、「ドイツのリセッション入り」という話が出た場合、当然ながらユーロはネガティブな反応を示すだろう。

対円でのユーロは、足元162円から163円台で推移しているが、11月以降、150円台後半から半ばまでのユーロ安円高が進行すると考える。また、対ドルでは、さすがにパリティまで一気に進まないまでも、強いドルに押されて、1.05ドル割れまでは進みそうな気配だ。

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、展望レポート見通し引き上げ、記者会見後は円全面安に
6月13日−14日・・・国債買入額を引き下げる方針を決定、詳細は7月に公表
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)・・・国債買入額の減額と利上げ実施を発表、植田総裁のタカ派姿勢で円全面高に
9月19日−20日・・・現状の金融政策を維持、植田総裁の利上げ慎重姿勢で円安推移
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
12月18日−19日

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日・・・8会合連続で金利据え置き、9月利下げ実施を示唆
9月17日−18日・・・4年半ぶりの利下げを実施、パウエルFRB議長は利下げを急がない姿勢強調
11月 6日− 7日
12月17日−18日

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
4月11日・・・現状の金融政策を維持、大きなサプライズが無い限り6月利下げ開始か
6月 6日・・・政策金利を0.25%引き下げ、追加利下げは明言せず
7月18日・・・金利据え置きを発表、利下げ実施は「データ次第」
9月12日・・・政策金利を0.25%引き下げ、今後の利下げスケジュールは「データ次第」
10月17日・・・政策金利0.25%引き下げ、今後の利下げスケジュールは「データ次第」
12月12日

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