ドル円 急上昇後の調整売りが出やすい一週間(週報10月第1週)

先週のドル円は月曜安値、金曜高値となりその間の値幅は7円以上と相変わらずよく動くドル円相場を見ることとなりました。

ドル円 急上昇後の調整売りが出やすい一週間(週報10月第1週)

急上昇後の調整売りが出やすい一週間

〇ドル円、週明け東京早朝に149.13レベルの高値つける
〇先週安値から7円50銭ほど上昇、150円の大台を一気に試すには材料が必要との見方で調整売りが出る
〇FF先物利下げ織り込み度、次回11月FOMC時点で0.25%利下げが98%へ急上昇、0.5%利下げはゼロに
〇下降チャンネルの起点8月中旬の戻り149.38を明確上抜けなければ、150円の大台乗せにならないか
〇今週は調整局面を想定、146.50レベルをサポート、149.50レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は月曜安値、金曜高値となりその間の値幅は7円以上と相変わらずよく動くドル円相場を見ることとなりました。週初こそ金曜の石破新総裁誕生後の円高の動きを受け一時141.65レベルの安値をつけましたが、月末実需のドル買いも出ていた様子でその後は上昇、大きなきっかけとなったのは2日に石破首相と植田日銀総裁が面会を行い、その後記者団向けに利上げする環境に無いとの意見を示したことで、株式市場、為替市場ともに上昇幅を広げました。

そして、注目の雇用統計を迎えましたが、失業率、NFP、平均時給どれを取っても予想よりも良い結果となったことで急速に緩和思惑が後退し、米金利上昇とドル高が強まり、一時149.00レベルの高値をつけることとなります。週明けの東京早朝には149.13レベルの高値をつけましたが、先週安値から7円50銭ほどの上昇は短期的にはかなり大きいことや、150円の大台を一気に試すにはもうひとつ材料が必要との見方が多く、調整の売りが出ることとなりました。

今回の雇用統計ではこれまでの流れから弱い数字を考える向きが多かったところに予想よりもかなり良い結果となったことで安値圏から3円以上ものドル高を演じたこととなりますが、金利市場にも大きな変化をもたらしています。シカゴマーカンタイル取引所が発表するFF先物の取引状況から計算する利下げ織り込み度が、次回11月FOMC時点で0.25%利下げが98%へと急上昇し、0.5%の利下げを織り込む向きはゼロとなりました。

12月時点でも0.25%の利下げ織り込み度は81%に達し、年末時点であと0.5%の利下げというFOMCで示されたドットプロット(金利見通し)と足並みを揃えたこととなります。ただ、12月18日FOMCまではあと2回の雇用統計もありますし、CPIにいたっては今週含めて3回ありますので、今後の数字次第ではまだまだ見方は変化する可能性はあり、あくまでも今はというスタンスでいたほうが良いでしょう。

今週は大幅利下げに踏み切った9月FOMCの議事要旨も公表されますので、それも見た上で今後の展開を考えていくこととなります。また米国大統領選まで1か月を切りましたが、現時点ではハリス副大統領が2ポイント程度リードしている状況で落ち着いています。トランプ陣営が巻き返しを図れるのはあと2週間程度でどの程度アピールできるのかというところですが、今年はスイングステートとなる州の数が9州あり、これらの州の選挙人の合計が104人あります。

残りの州での勝負は五分五分となっていて、どちらが有利になってくるのかは今週来週の2週間が勝負となってくるでしょう。それぞれが勝った場合の金融市場への影響は来週にでも書こうと思いますが、短期的にはどちらが勝っても好材料とするであろうことは過去の選挙戦からも明らかです。長期的にどのような影響が出てくるのかを考えることとなり、それが短期的な見通しにも影響を与えるという展開が予想されます。

今週は発射台が高いので、テクニカルにはどうなのかを見て行きましょう。いつもの日足チャートをご覧ください。

先週の上昇で8月以降の緩やかな下降チャンネルは上抜け、9月中旬以降の上昇チャンネルも上抜けと動きとしてはかなり急上昇となっています。ただ下降チャンネルの起点ともなっている8月中旬の戻り149.38を明確に上抜けない限りは、このまま150円の大台乗せという動きにもならないと見ています。多少の誤差を考えて149.50レベルが上方向のレジスタンスとなるでしょう。

いっぽうでサポート水準は急な上昇だったことから、雇用統計発表前の水準だった146円台半ばと前日高値圏147円台前半が考えられます。ドル円の場合値幅が大きいため、より離れている146円台半ばを採用した方がよさそうです。今週は149円台でいったん目先の高値をつけたあとの調整局面を想定し、146.50レベルをサポートに、149.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

急上昇後の調整売りが出やすい一週間

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月7日(月)
**:** 豪州夏時間開始、中国市場休場
14:00 日銀地域経済報告 ☆
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
16:05 チポローネECB理事講演 ☆
16:45 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
20:45 スペイン中銀総裁講演
26:50 (ミネアポリス連銀総裁講演)

10月8日(火)
07:00 アトランタ連銀総裁講演 ☆
07:30 (セントルイス連銀総裁講演)
08:01 英国9月小売売上高
08:50 本邦8月貿易収支
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
16:00 クーグラーFRB理事講演 ☆
21:30 米国8月貿易収支
29:00 (ボストン連銀総裁講演)

10月9日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 ドイツ8月貿易収支
22:15 (ダラス連銀総裁講演)
23:00 米国8月卸売売上高
23:30 (シカゴ連銀総裁講演)
23:30 週間原油在庫統計
25:00 フランス中銀総裁講演 ☆
27:00 FOMC議事要旨公表 ☆

10月10日(木)
07:00 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
21:30 米国9月CPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
24:00 NY連銀総裁講演 ☆

10月11日(金)
**:** 香港市場休場
15:00 ドイツ9月CPI
15:00 英国8月鉱工業生産、貿易収支
21:30 米国9月PPI ☆
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
23:45 (ダラス連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月30日(月)
週明けのドル円は金曜自民総裁選後の下げに対して早朝にわずかに買い戻しも見られたものの続落し、東京後場には141.64レベルの安値をつけました。しかし米金利が底堅かったこと、月末実需でのドル買いの動きが見られたこともありその後は一貫して買い戻しが進み、引け間際には143.91レベルの高値をつけやや押して引けました。

10月1日(火)
東京市場のドル円は前日の流れを受け買いが先行、日経平均の上昇も下支えしました。しかし戻り売りを考える向きが多く、144円台半ばで反転。米金利が大きく水準を下げたことも重なって着実に上値が重くなり、NY前場にはイランによるイスラエル攻撃の動きがリスクオフ材料とされ円買いの動きとなりました。一時142.96レベルの安値をつけたものの、後場以降はユーロドル売りの動きからドルが底堅くなり143円台半ばと東京朝方の水準で引けました。

10月2日(水)
東京市場のドル円は前日NY市場の水準で目立った動きは無かったものの、石破首相が植田日銀総裁と面会し、追加利上げする環境に無いとの認識を記者団に示しました。これをきっかけに欧州市場序盤以降は円安に動き、NY市場では予想よりも強いADPに反応し一段高、引け間際には146.51レベルと総裁選の日につけた高値を上回る動きとなり、高値引けとなりました。

10月3日(木)
ドル円は前日の上昇トレンドを継続、仲値すぎには147.24レベルの高値をつけました。その後は米国雇用統計を控えて146円台後半を中心とした横方向のもみあいが続きました。

10月4日(金)
前日高値圏でのもみあいが続いていたドル円は雇用統計を前に利食いの売りが先行、東京後場には145.91レベルの安値をつけたものの146円割れでは買いも見られ、146円台半ばで指標待ちとなりました。結果は失業率4.1%、NFP+25.4万人と予想よりも良く、平均賃金も前月比、前年比とも予想を上回る強い結果となりました。直後に米金利上昇、ドル高の動きとなりドル円はNY昼過ぎに149.00の高値をつけ若干押しての引けとなりました。


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