ユーロドルは下げるも、ユーロ円が不確定要因
〇先週のユーロドル、週を通してユーロがじり安、1.10の大台割りこみ1.09台半ばの安値を見る動き
〇9月安値下回り8/15以来の安値、米欧金利差縮小ペースの鈍化がユーロドルの下げにつながる
〇本日夕方のエコノミスト・レーン理事の講演や、今週のECB関係者の発言に注目
〇年初来安値と高値との半値押し1.0906の1.09水準がターゲット、その下1.0870、1.0834も注意
〇ユーロ円、テクニカルには上値に注意したいパターン
〇今週は1.0875レベルをサポート、1.1020レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルはドル円でのドル買いの動きに引っ張られた面も強く週を通してユーロがじり安となり、1.10の大台を割りこみ1.09台半ばの安値を見る動きとなりました。週初こそ1.12台を試す動きは見られたものの、8月以降は1.12台に乗せると反落という動きを繰り返していたこともあり、週前半はECB関係者の10月利下げ見通し、週半ば以降はドル全般に買いが広がり、雇用統計でダメ押しとなった流れです。
ユーロドルは1.10の大台を割り込んだことで9月安値を下回り8月15日以来の安値をつけましたが、ECBの利下げが見込まれる一方でFRBの追加利下げ幅はFOMCで示されたドットプロットと同じ年末まで0.5%という動きが米欧金利差縮小ペースの鈍化となり、ユーロドルの下げにつながってきたと言えるでしょう。参考までに米独金利差とユーロドルの日足チャートを見ておきます。
青のラインチャートが米欧金利差で右軸(上下反転)、ローソク足がユーロドルで左軸です。細かな動きの違いはあるものの、9月中旬以降の米欧金利差拡大への反転の動きが遅れてユーロドル売りとなってきていることがわかります。次回ECB理事会は来週17日となりますが、今週もECB関係者の発言があり、特にエコノミストであるレーン理事の講演が今夕にありますので、まずはその内容を確認したいところです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
サポートライン(ピンク)の起点と年初来高値との61.8%押しが1.0943(青のターゲット)、年初来安値と高値との半値押しが1.0906(赤のターゲット)となっていて、前者はほぼ達成したことから、現在は1.0906と重なる1.09水準をターゲットにしていると考えられます。ドル円とともにユーロ円の調整売りが進めばすぐにつく水準ではありますので、念の為その下の水準1.0870、1.0834も頭の片隅に。
いっぽうで上値はダブルトップのパターンとなっていて、ネックラインが9月安値で同水準を下回ったことからネックラインの水準1.10の大台がレジスタンスとなりやすい水準です。多少の振れも考慮して、今週は1.0875レベルをサポートに1.1020レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
ユーロドルとは逆にユーロ円は変形トリプルボトムのパターンとなっていて、そのネックラインが8月高値の163.88レベルとなります。ドル円もユーロドルも下げを見込んでいるため、ユーロ円も下げないと話は合わなくなりますが、テクニカルにはユーロ円は上値に注意したいパターンとなってきているため、もし8月高値を上抜ける動きとなって来る時にはユーロドルが下げるシナリオも見直さなくてはならないでしょう。
思い込みをしないためにも来週のECB理事会までは、ドル円、ユーロ円、ユーロドルの3つのチャートを同じ時間軸で縦に並べて見ながら動きを考えていくことが望ましいようです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月7日(月)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
16:05 チポローネECB理事講演 ☆
16:45 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
20:45 スペイン中銀総裁講演
10月8日(火)
08:01 英国9月小売売上高
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
10月9日(水)
15:00 ドイツ8月貿易収支
25:00 フランス中銀総裁講演 ☆
27:00 FOMC議事要旨公表 ☆
10月10日(木)
21:30 米国9月CPI ☆
10月11日(金)
15:00 ドイツ9月CPI
15:00 英国8月鉱工業生産、貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月30日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に発表されたドイツCPI速報値が前月比で高かったことから金利上昇、ユーロ買いの動きとなり1.1209レベルの高値をつけました。しかし、1.12台では相変わらず売りが控えていたことや、月末実需のドル買いの動きもあり反転、ラガルドECB総裁が10月の追加利下げに含みを持たせる発言をしたこともあり、1.1113レベルまで下げ若干戻して引けました。
10月1日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り複数のECB関係者から10月利下げを支持する発言が聞かれたこともあって売りが強まりました。NY昼過ぎには1.1045レベルの安値をつけ若干戻して引けました。
10月2日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、海外市場に移ってからはドル円が石破総裁の引き締めに否定的な発言をきっかけとしたドル買いの動きに引っ張られる形でユーロ売りとなりました。NY昼前には1.1032レベルの安値をつけましたが、ユーロ円が上昇したこともあって値幅は限定的、終日レンジは51pipsにとどまりました。
10月3日(木)
ユーロドルは安値圏でのもみあいでNY市場までは動意薄の流れが続きましたが、強いISMをきっかけに1.1008レベルの安値をつけました。それでも大台1.10を試す動きとはならず1.10台前半でもみあいのまま引けました。
10月4日(金)
ユーロドルは雇用統計まで1.1030レベルを中心とした狭い値幅で動意薄の状態が続きました。全ての項目で予想よりも強い雇用統計を受けたドル買いの動きから1.0951レベルまで水準を下げ、その後若干戻しての週末クローズとなりました。
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