ドル円 いったん安値も見て調整局面入り(週報8月第2週)

先週のドル円は、日経平均株価の史上最大暴落と日米金利差縮小思惑の2つが重なり、月曜に141.69レベルと1月2日以来の安値をつけました。

ドル円 いったん安値も見て調整局面入り(週報8月第2週)

いったん安値も見て調整局面入り

〇先週のドル円、8/5に141.69レベルをつける(1/2以来の安値)
〇日経平均株価の史上最大暴落、日米金利差縮小思惑の2つが要因
〇8/6は日経平均株価が一転史上最大の上昇、ドル円も147円台後半まで回復
〇日米金利差縮小と円安トレンドの急速な巻き戻しを考えると、上がったところでは戻り売り優勢か
〇今週は144.40レベルをサポートに、148.20レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週の弱い米国雇用統計後の米景気後退懸念から9月FOMCで0.5%の利下げが行われるのではないかとの見方が広がり、日経平均株価の史上最大暴落と日米金利差縮小思惑の2つが重なり、月曜に141.69レベルと1月2日以来の安値をつけました。しかし翌火曜には日経平均株価が一転史上最大の上げを演じ、その後は雇用統計前の水準を回復したことでドル円も147円台後半と雇用統計直後の水準まで回復しました。

先週は株式市場主導の荒れ相場となりましたが、その株式市場に目を向けると史上最大の乱高下を演じた後は雇用統計前の36000円水準の上値が重たくなってきていること、また9月FOMCでは0.25%利下げがコンセンサスではあるものの、0.5%利下げとの利下げ織り込み度の差があまり無く、年末時点でも1%の利下げがコンセンサスです。

今回の株式市場の荒れ模様を見て日銀は追加利上げには慎重に動くと見られるものの、日米金利差の縮小は確実であり、また2021年1月から長年に渡って続いてきた円安トレンドがここにきて急速に巻き返しの動きとなっていることを考えると、現状では上がったところでは戻り売りと考える参加者が増えてきていると見た方がよいでしょう。

ちなみにシカゴ通貨先物における円売りポジションは9日に発表された6日時点の数字でわずか1.1万枚へと減少し、来週は2021年3月以来の円買いに転じる可能性があります。2021年1月からの円安トレンドに伴い2か月遅れで当時のポジションが円売りに転じたことを思い返すと、今年の円安のピークが7月第1週ですから、今回の方がポジション転換に向かうペースは速いように感じます。

今週は日本はお盆休みで休みの会社も多く、実需の動きは減ると見られるものの、上がったところでは売るという輸出筋のドル売りオーダーはそれなりに入っているとも予想され、仮に先週高値を上抜け148円をつけたとしても50銭刻みで売りオーダーが入っているとみてよさそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

あまりに大きく動いたのでテクニカルなターゲットが離れた水準ばかりなのですが、日柄的には荒れやすい一週間が終わったことで、今週は落ち着きが戻ってくるのではないかと見ています。上値の目途は年初来高値と先週安値の38.2%戻しとなる149.42ですが、ドル売りオーダーが148円超えで入ってきているであろうことを考えると148円台前半が戻りの目途です。

いっぽうで安値も見たこと、145円割れでは買いも出てきそうなことを考えると144円台半ばが下値の目途でしょうか。今週は144.40レベルをサポートに、148.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

いったん安値も見て調整局面入り

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月12日(月)
**:** 東京市場休場

8月13日(火)
15:00 英国7月失業率
18:00 ドイツ8月景況感
18:00 ユーロ圏8月景況感
21:30 米国7月PPI ☆

8月14日(水)
15:00 英国7月CPI ☆
15:45 フランス7月CPI
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値 ☆
18:00 ユーロ圏6月鉱工業生産
21:30 米国7月CPI ☆
23:30 週間原油在庫統計

8月15日(木)
08:50 本邦4〜6月期GDP速報値 ☆
15:00 英国4〜6月期GDP速報値 ☆
15:00 英国6月鉱工業生産、貿易収支
21:30 米国7月小売売上高 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
21:30 米国8月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国7月輸入物価
22:10 (セントルイス連銀総裁講演)
22:15 米国7月鉱工業生産 ☆、設備稼働率
23:00 米国8月NAHB住宅指数
23:00 米国6月企業在庫
26:10 (フィラデルフィア連銀総裁講演)

8月16日(金)
15:00 英国7月小売売上高
18:00 ユーロ圏6月貿易収支
21:30 米国7月住宅着工 ☆・建設許可
23:00 米国8月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
26:25 (シカゴ連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月5日(月)
ドル円は金曜雇用統計後の流れを受け、株安とドル安がお互いに足を引っ張るリスクオフ相場となりました。東証引け間際には日経平均株価が4451円安と史上最大の下げ幅を記録し、ドル円も直後に141.68レベルの安値をつけました。その後、安値圏で底固めをした後、日経先物の買い戻しとともにドル円にも買いが入り144.89レベルの戻り高値を見て144円台前半での引けとなりました。

8月6日(火)
為替市場よりも株式市場の動きが激しく月曜は史上最大の下げ、火曜は史上最大の上げとリスクオフとその巻き返しでドル円も動きました。株式市場同様に円相場も目先の底を見た値動きとなり、145円を中心として上下に振れながらも当面の方向性を探る一日となりました。

8月7日(水)
前日の三者会談に続き、内田日銀副総裁が市場が不安定な状況での追加利上げは無いと発言したことを受け株式市場は一段高、先週金曜の東京市場の水準を回復。この動きとともに為替市場は円安となり東京昼過ぎには一時147.90レベルの高値をつけました。しかし147円台では戻り売りを考える参加者も多く、NY市場ではダウが下げる動きも重なって146円台半ばへ押して引けました。

8月8日(木)
前日NY後場の動きを継続し東京朝方に145.42レベルの安値をつけました。しかし145円台では買い戻しが目立ち、NY市場までは146円台前半を中心に145円台では買いが入る展開を続けました。NY市場に入り発表された雇用関連の数字が良かったことをきっかけに米金利が上昇、147.54レベルの高値をつけ高値圏でもみあいのまま引けました。

8月9日(金)
東京早朝に147.81レベルの高値をつけたものの週間高値147.90レベルを試せず、その後は米金利低下の動きも手伝ってじり安の動きが続きました。NY前場には146.27レベルまで下押ししたものの東京3連休を控えて動きは鈍く、146円台半ばでの引けとなりました。

注:ポイント要約は編集部

ディスクレーマー

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