ドル円 FOMCでどちらにも動きうるが円高トレンド継続(週報9月第3週)

先週のドル円も前週に続いて、ほぼ週初高値、週末安値の一週間となりドル安・円高トレンドを強める一週間となりました。

ドル円 FOMCでどちらにも動きうるが円高トレンド継続(週報9月第3週)

FOMCでどちらにも動きうるが円高トレンド継続

〇先週のドル円、ほぼ週初高値、週末安値の一週間、ドル安円高トレンドを強める
〇米0.5%利下げ思惑拡大、日銀審議委員のタカ派寄り発言で年末に向け日米金利差大幅縮小思惑が背景
〇0.25%利下げなら株式市場下落、為替市場ドル買いで反応、0.5%も織り込み済みでドル一段安に限度か
〇上値重く戻り高値を売る向き増え、141円台半ばでは売り出やすい
〇今週もドルの上値が重たい展開継続、137.50レベルをサポート、141.50レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円も前週に続いて、ほぼ週初高値、週末安値の一週間となりドル安・円高トレンドを強める一週間となりました。材料的には今週のFOMCを前に0.5%利下げの思惑が拡大したこと、日銀の審議委員からタカ派寄り発言が出たことも重なって年末に向けての日米金利差大幅縮小思惑につながりました。またFOMCに向けてブラックアウト期間となるものの前NY連銀総裁の講演やWSJの記事により一段と0.5%利上げ思惑を強める形での週末クローズとなりました。

今週は月曜が東京休場となり参加者が少なくなる関係でFOMCを前に140円の大台をトライする流れとなってきましたが、既に年初来安値を割り込んだあたりから、大台トライは視野に入っていたと言えます。また先週の日米双方からの発言で9月FOMCでの0.5%利下げ織り込み度はCMEのフェドウォッチャーによると59%と既に0.25%利下げを上回る状況となってきました。

経済指標はそこまで悪化しているとは思えませんが、先週見た失業率の3か月移動平均が上昇に転じてきていること、1960年代以降はこの失業率の3か月移動平均が上昇に転じた時期とリセッションの時期が全て重なっていることを考えると予防的に大幅利下げを行い、株式市場を安心させるという動きになってくる可能性はありそうです。

それでも0.25%、0.5%五分五分だと思いますので、0.25%の利下げにとどまる場合には株式市場は下落、為替市場はドル買いで反応しそうですし、0.5%でも既に織り込み済みという動きになっていることを考えると、0.5%の場合でもドル一段安の動きには限度があるように思います。また今回のFOMCでは2024年末に金利見通し(ドットプロット)も示されますが、市場参加者は既に年末時点で5回利下げ(計1.25%)をコンセンサスとした動きとなっていますので、それとの乖離を確認することも重要です。

おそらくFRBとしては現時点で市場参加者ほどハト派な見通しは示さないと思われますが、もし5回ならばサプライズと言えるかと思います。4回の場合には残り3回のうちどこかで0.5%の利下げを挟んで他は0.25%となり、この場合は為替市場はドル買い戻しで反応すると見られます。

また20日には日銀会合があり、先週の審議委員の発言からひょっとしたらという見方もありますが、年内の追加利上げはあっても7月の利上げで株式市場が混乱したことを考えると、今回の利上げは見送り現状維持になると考えています。ただ、日銀が動かなくともFRBは年末までの大幅利下げコースは確定的で、日米金利差縮小が引き続きドル安・円高へと動かす要因となっていくことでしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

急速に円高が進み140円の大台の下のターゲットを考えることとなりますが、8月の戻り高値を起点に逆N波動を考えた場合の127.2%エクスパンションが139.64、これが最初のターゲットです。それよりも下の水準では昨年7月安値の137.23、後者はFOMC後の動き次第ではあり得る水準というイメージです。上値は着実に重くなり戻り高値を売る向きが増えてくるでしょうから、既に141円台半ばでは売りが出やすくなっていると見られます。

今週も引き続きドルの上値が重たい展開が継続しやすいと考え、137.50レベルをサポートに、141.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

FOMCでどちらにも動きうるが円高トレンド継続

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月16日(月)
**:** 東京、中国(〜17日)市場休場
16:00 イタリア中銀総裁講演
17:10 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
21:00 レーンECB理事講演 ☆
21:30 米国9月NY連銀製造業景況指数 ☆

9月17日(火)
18:00 ドイツ9月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏9月ZEW景況感
21:30 米国8月小売売上高 ☆
22:15 米国8月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国9月NAHB住宅指数
23:00 米国7月企業在庫

9月18日(水)
**:** 香港市場休場
15:00 英国8月CPI
16:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏8月CPI
18:00 ユーロ圏7月建設支出
20:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
21:30 米国8月住宅着工・建設許可
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

9月19日(木)
16:15 オランダ中銀総裁講演
20:00 英中銀政策金利発表 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
23:00 米国8月中古住宅販売 ☆、景気先行指数
23:40 シュナーベルECB理事講演 ☆

9月20日(金)
08:01 英国9月消費者信頼感
08:30 本邦8月CPI ☆
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:00 ドイツ8月PPI ☆
15:00 英国8月小売売上高
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス9月企業景況感
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 ラガルドECB総裁講演 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月9日(月)
週明けのドル円は早朝に金曜雇用統計後の流れから141.94レベルをつけましたが、金曜安値をトライできず、東京市場では日経平均株価が上昇する動きに沿ってドル買いが進みました。値頃感でドルを買った向きもそれなりにいた様子でNY市場前には143.80レベルの高値をつけていました。しかし、高値も金曜高値を超えられず、日経先物の上値が重くなったこともあり、142円台半ばへの押しを挟んで143円台前半で引けました。

9月10日(火)
東京市場のドル円は前日NYで下げ止まったこともあってドル買いの動きが継続、欧州市場序盤には143.71レベルの高値をつけました。しかし前日高値をトライできなかったことから下げに転じ、NY市場では米金利低下と株安の動きから142.19レベルまで下押し後に若干戻して引けました。

9月11日(水)
ドル円は昨日も日経平均株価に沿った値動きの一日となりました。東京市場では日銀関係者からタカ派な発言が出たことから年内追加利上げの可能性を嫌気して日経平均株価が下げる動きと歩調を揃え8月安値を下回ると一時140.71レベルまで売り込まれました。しかし、その後は株式市場も買い戻され米国CPIは予想通りだったものの家賃を除いたサービスCPIが上昇したことから一時142.55レベルの高値をつけました。NY市場ではCPI直後の株価の下げとその後の急反発を見てドル円も大きめの押しを挟んで高値圏での引けとなりました。

9月12日(木)
ドル円は東京市場では株価が堅調な動きとなっていたことから買いが先行し、欧州市場序盤には143.04レベルの高値をつけました。海外市場に移ってからは米金利低下とともに戻り売りを考える向きも出たこと、ECB理事会を控えていることから142円台半ばでのECB結果待ち。ユーロ上昇の動きに引っ張られ、ドル円も141円台後半に押して引けました。

9月13日(金)
東京市場のドル円は日経平均株価の下げとFOMCで0.5%利上げの可能性が高まっているとの思惑からドル安が先行、欧州市場序盤には140.65レベルまで安値を更新しました。その後いったん141.40レベルへと買い戻しが入りましたが戻り売りが根強くすぐに反落、NY市場では140.29レベルまで安値を切り下げた後に引けにかけては140円台後半へと戻しました。



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