トルコリラWeekly 円全面高に地政学リスクも意識されて反発は鈍い、史上最安値更新に警戒(24/8/12)

先週のトルコリラは、投機筋による円売りポジション解消に伴う円急伸が影響して、対円での史上最安値を更新した。

トルコリラWeekly 円全面高に地政学リスクも意識されて反発は鈍い、史上最安値更新に警戒(24/8/12)

円全面高に地政学リスクも意識されて反発は鈍い、史上最安値更新に警戒

【先週のトルコリラ】

先週のトルコリラは、投機筋による円売りポジション解消に伴う円急伸が影響して、対円での史上最安値を更新した。

5日、日経平均が1987年10月20日のブラックマンデー翌日の下げ幅を上回る過去最大の下落幅を記録。投機筋による円売りポジション解消も加速し、円は主要通貨に対して全面高の展開となり、トルコリラは4.2438円と史上最安値を大幅に更新した。

売り一巡後は、6日の日経平均が過去最大の上昇幅となったことや、米景気減速懸念の後退、円高一服などが影響してトルコリラは反発。5日に発表された7月消費者物価指数や生産者物価指数が前年比で大幅に鈍化したことも反発材料となった。一方、中東情勢緊張化が重しとなり強い反発とはならなかった。

トルコリラ・円(東京時間:8月5日―8月9日)※Investing.comの日足を参照

始値:4.4107円
高値:4.4239円
安値:4.2438円
終値:4.3775円 

【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間

8月5日
16時00分、7月消費者物価指数(前月比)、前回:1.64%、市場予想:3.50%、結果:3.23%
16時00分、7月消費者物価指数(前年比)、前回:71.60%、市場予想:62.00%、結果:61.78%
16時00分、7月生産者物価指数(前月比)、前回:1.38%、結果:1.94%
16時00分、7月生産者物価指数(前年比)、前回:50.09%、結果:41.37%
8月9日
16時00分、6月鉱工業生産指数(前月比)、前回:1.8%、結果:−2.1%
16時00分、6月鉱工業生産指数(前年比)、前回:−0.1%、結果:−4.7%
8月12日
16時00分、6月雇用統計、前回:8.4%
8月13日
16時00分、6月経常収支、前回:−12.4億ドル

※予定は変更することがございます。

【今週の見通し】

今週のトルコリラは、短期的な急落に対する反発を期待したいところだが、中東情勢の緊張化やリスク回避の円買いなどが重しとなって戻りは鈍くなりそうだ。

CFTCが公表した8月6日時点の投機筋の円売りポジションは、ネットで1.1万枚の円売りと2023年1月31日時点の2.0万枚を下回る水準まで減少した。7月2日時点の18.4万枚(2007年以来の円売りポジション)から僅か1カ月と少しで17.1万枚も減少。金額換算では2.2兆円ほどの傾きがアンワインド(巻き戻し)となったことで、この円全面高は発生した。

ただ、ネットではなく円売りポジションそのものがまだ7.7万枚残っているので、この円売りポジションの解消はまだ終わっていないとの見方もできる。円買いポジションも6.6万枚とじりじりと増加していることから、円全面高が再加速する可能性はトルコリラの戻りを鈍くするだろう。

そして、もう一つの重しである地政学リスクの高まりについてだが、パレスチナ寄りのエルドアン大統領は、パレスチナ自治区ガザを巡る紛争ではイスラエル批判を繰り返してきた。イランとイスラエル間で緊張が高まりつつあるなか、エルドアン大統領の不規則発言で地政学リスクの高まりに伴うトルコリラ売りが入る可能性はあろう。また、地政学リスクの高まりでトルコリラが下落した場合、エルドアン大統領が金融政策の運営に口を出し始める可能性もある。

テクニカルでは、5日に長い下影(下ヒゲ)を残し反発基調が強まりそうな状況だが、週末にかけては動きが鈍くなっている。5日以降、下値を切り上げているが、7日の高値4.4239円をクリアできない状況だ。早いタイミングで日足の一目均衡表の転換線4.4729円水準を上回りたいところだが、積極的にはトルコリラ買いに動けない様子。一段安で史上最安値を更新する可能性も意識しておきたい。

円全面高に地政学リスクも意識されて反発は鈍い、史上最安値更新に警戒

トルコリラ円日足

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