トルコリラ円週報:『史上最安値更新後に反発。高インフレ沈静化期待がリラの下値を支えるか』(8/10朝)

トルコリラの対円相場は、7/3に記録した約7ヵ月ぶり高値4.99円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、史上最安値4.24円まで急落しました。

トルコリラ円週報:『史上最安値更新後に反発。高インフレ沈静化期待がリラの下値を支えるか』(8/10朝)

『史上最安値更新後に反発。高インフレ沈静化期待がリラの下値を支えるか』

〇今週のトルコ円、ドル円急落等に、週明け早々史上最安値4.24に急落
〇日銀の追加利上げ、米経済の先行き懸念、中東情勢緊迫化からの地政学的リスクの高まりが暴落の背景
〇売り一巡後は株式市場の持ち直しやトルコインフレ指標の鈍化等に4.42台を回復、4.38前後で越週
〇トルコ円、円キャリーの再開期待、実質金利上昇・外国人投資家による資金流入によるリラ買いが支え
〇引き続き、トルコリラ円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.65

今週のレビュー(8/5−8/9)

今週のトルコリラ円相場は、週初4.41円で寄り付いた後、(1)日銀による追加利上げ観測に端を発した円キャリートレードの巻き戻しや、(2)株式市場の世界的な大暴落(日経平均株価が過去最大の下げ幅となる前営業日比4700円安を記録した他、米主要株価指数も米経済のハードランディング懸念を背景に大幅下落)、(3)中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクの高まり(イランがイスラエルへ報復攻撃)が重石となり、週明け早々に、史上最安値4.24円まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)株式市場の持ち直し(リスク回避ムード後退)、(6)トルコ7月消費者物価指数(結果+61.78%、予想+61.95%、前回+71.60%)の伸び率鈍化、(7)トルコ7月生産者物価指数(結果+41.37%、前回+50.09%)の伸び率鈍化、(8)上記6、7を背景とした実質金利のマイナス幅縮小(高インフレ沈静化期待)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値4.42円まで反発しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/10午前5時00分現在)では、4.38円前後で推移しております。尚、トルコ中銀カラハン総裁は今週、アンカラで開催された四半期報告会にて、2024年末のインフレ見通しを従来同様38%、2025年末を14%で維持しました。

来週の見通し(8/12−8/16)

トルコリラの対円相場は、7/3に記録した約7ヵ月ぶり高値4.99円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、史上最安値4.24円まで急落しました。日銀による追加利上げや、米経済のハードランディング懸念、中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクの高まりが同タイミングに重なったことが、トルコリラ円大暴落の背景と考えられます(テクニカル的にも強い売りシグナルを示唆する「21日線と90日線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」が成立済み)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの再開期待(トルコ中銀が引き締め姿勢の継続を示唆している他、今週は内田日銀副総裁より市場で高まる利上げ期待を牽制する発言あり→トルコリラと日本円の金利差は当面縮まらない公算大)や、(2)実質金利上昇に伴うリラ買い圧力(今週発表されたトルコのCPI・PPIはいずれも前月比大幅鈍化→高インフレ沈静化期待は実質金利のマイナス幅縮小を通じてトルコリラに上昇圧力)、(3)外国人投資家による資金流入期待(大手格付け会社がトルコの格上げを相次いで実施している他、資産運用大手もトルコアセットの保有に積極的→外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入再開期待)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。世界的なリスクオフにも一服感が見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ6月失業率や、トルコ6月経常収支が予定されています。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.30ー4.65

注:ポイント要約は編集部

『史上最安値更新後に反発。高インフレ沈静化期待がリラの下値を支えるか』

トルコリラ円日足

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